マトカ型ミサイル艇

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マトカ型ミサイル艇
U154Kakhovka&U209Ternopil&U153Pryluky-2007-Sevastopol.jpg
2007年8月14日セヴァストーポリにおける
U154 カホーウカ(左)とU153 プルィルークィ(右)
運用者
Naval Ensign of Ukraine 2006.png ウクライナ海軍
Naval Ensign of Georgia.svg グルジア海軍
Naval Ensign of the Soviet Union.svg ソ連海軍
Naval Ensign of Russia.svg ロシア海軍
要目
艦種 大型ミサイル艇
排水量 基準排水量 230 t
満載排水量 257 t
全長 38.6 m
全幅 7.6 m(艇体幅)
12.5 m(水中翼間)
喫水 2.1 m(艇体高)
3.26 m(水中翼高)
機関 3倍膨張式ディーゼルエンジンM-504 3 基 15000 馬力
推進 2推進
電源 ディーゼル発電機3 基 200 kWt
速力 最大速度 42.3 kn
巡航速度 14 kn
航続距離 1450 /14 kn
600 浬/37 kn
行動期間 5 日間
乗員 士官 5 名
水兵 24 名
武装 艦対艦ミサイルP-15M「テルミート」発射機 2 基
76 mm単装両用AK-176 1 基(弾数300 発)
30 mm6砲身高角複合AK-630 2 基(弾数1000 発)
個艦防空用艦対空ミサイル9K34「ストリラー3M」発射機 1 基(弾体16 発)
レーダー 水上策敵レーダー「ガルプーン」 1 基
射撃管制レーダーMR-123/176「ヴィーンペル」 1 基
航法レーダー「ドン」 1 基

マトカ型ミサイル艇(マトカがたミサイルてい Matka class Fast Attack Missile Craft)は、ソヴィエト/ロシア海軍水中翼ミサイル艇である。マトカ型の名称はNATOコードネームであり、ロシア語で「子宮」を意味する「マートカ」(матка)という単語に由来する。ソ連海軍の計画名は206MR型大型ミサイル艇(ヴィーフリБольшие ракетные катера проекта 206МR "Вихрь")である。

概要[編集]

開発[編集]

マトカ型ミサイル艇は、チューリャ型魚雷艇(206M型大型魚雷艇)の発展型として中央海事設計局「アルマース」(TsMKB「アルマース」)で1970年代に開発された。本型は沿岸海域における小型の水上戦闘艦艇との戦闘を目的に設計された小型戦闘艇であり、従来の魚雷艇の任務を代替するものであった。

構造[編集]

艇体は流線形状を有しており、鋼製であった。チューリャ型同様、艇首下面に小型の全没型水中翼とコントロール用小板を装備していた。艇体構造全体もチューリャ型のそれを継承しており、防水壁によって隔てられた10個の水防区画よりなっていた。ディーゼルエンジンは第5区画と第7区画に収められ、それらの間になる第6区画には主機のための遠隔制禦装置が搭載されていた。

外見上大きく異なった容貌を呈したのが上部構造で、複雑なミサイル運用システムを収めるため大幅に大型化されていた。上部構造は、トップヘビーを抑えるため軽量素材によって作られていた。

搭載武装は、40 knで波圧4 b、あるいは35 knで5 bまでの限度においては制限なしに使用できた。

発展型[編集]

マトカ型からは、幾つか発展型が開発されている。その一つは206.5号計画「ボゴモール / ヴィーフリ3」Проект 206.5 «Богомол / Вихрь-3»[1]であり、輸出向けに設計された警備艇であった。この計画に基づき10 隻が建造された。この派生型は、NATOコードネームには「モル」(Mol)が付けられている。ソ連国内でも使用され、1990年PSKR-726PSKR-727太平洋方面に配備されている。[2]

その後、206号計画の次の段階として206.6号計画Проект 206.6[3]が立案された。これは206MR型の近代化型試験艦で、試作艦対艦ミサイルKh-35/3M24「ウラーン」と防空システムAK-630M1-2「ローイ」を搭載した。

配備[編集]

1976年から1983年の間に11 隻が建造された。その内、R-25(のちボーロフスク)、R-50(のちカラチャーエヴォ=チェルケーシヤ)はカスピ小艦隊へ、R-30(のちブジョーノフスク)とR-221バルト艦隊へ、残る6 隻は黒海艦隊へ配属された。

ソ連が崩壊すると、ソ連海軍に所属していたマトカ型は、ロシア海軍ウクライナ海軍の間で分割された。実質的に、黒海艦隊に所属していた艇のうち、206.6型に改修されたR-44を除く5 隻すべてがウクライナ海軍に譲渡された。また1998年には、R-30はカスピ小艦隊へ移籍した。

マトカ型が少数しか生産されなかったことから、西側では未だに本型を失敗作と看做す傾向がある。しかし、実際には前型オーサ型ミサイル艇より洗練された設計を持ち、その優れた性能からその後の水中翼小型戦闘艇発展の可能性を確定した重要な舟艇であった。本型の成功以降、ソ連では多数の水中翼小型戦闘艇が開発され、対潜・対艦任務に投入されていった。

同型艦[編集]

竣工時の艇名 工場番号 起工 竣工 改称後の艇名 所属 現状(2007年時点) 備考
1 R-27
Р-27
第241 1976/ 1977/ - - - -
2 R-44
Р-44
第242 - 1978/
08/31
- ChF 退役 206.6号計画に基づき改修。
3 R-50
Р-50
第243 - - カラチャーエヴォ=チェルケーシヤ
Карачаево-Черкесия
KF - -
4 R-221
Р-221
第244 - - - BF - -
5 R-254
Р-254
第245 - - - - - -
6 R-260
Р-260
第246 - 1979/ U152 ウーマニ
U152 Умань
VMSU 予備役 元黒海艦隊艇。
7 R-262
Р-262
第247 - 1979/
11/30
U153 プルィルークィ
U153 Прилуки
UVMS 現役 元黒海艦隊艇。
8 R-265
Р-265
第248 - 1980/ U154 カホーウカ
U154 Каховка
UVMS 現役 元黒海艦隊艇。1992年までコムソモーレツ・タターリイ(Комсомолец Татарии)。
9 R-251
Р-251
第249 - 1981/ U151 ツュループィンシク
U151 Цюрупинськ
VMSU 退役 元黒海艦隊艇。
10 R-15
Р-15
第250 - 1981/
10/29
U150 コノトープ
U150 Конотоп
VMSU 沈没 元黒海艦隊艇。1999/06/30よりグルジア海軍所属の302 トビリシ(302 თბილისი)。2008/08/13ポチ港でロシア軍により破壊。
11 R-25
Р-25
第251 - - ボーロフスク
Боровск
KF - -
12 R-30
Р-30
第252 - 1983/ ブジョーノフスク
Буденновск
KF 現役 元バルト艦隊艇。

脚注[編集]

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  1. ^ 02065号計画とも呼ばれる。
  2. ^ Россия / Списочный состав (ロシア語)
  3. ^ 206ER号計画(Проект 206ЭР)、02066号計画とも呼ばれる。

外部リンク[編集]

画像ページ[編集]

解説ページ[編集]