マジックミラー
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マジックミラー(magic mirror)とは、明るいところで見ると鏡にしか見えないガラスや合成樹脂。ハーフミラーやミラーガラスとも言う。“magic mirror”というのは和製英語で、マジックミラーのことを英語では“two-way mirror”などという。
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[編集] 概要
マジックミラーは、鏡に張る金属の膜を通常より薄くしたり、板ガラスに錫や銀をめっきないし蒸着させたりして、半透明にしたものである。
通常の鏡では光を透過させずに反射させるため、厚い金属皮膜を形成した後に、皮膜を保護するための不透明な塗装を裏側に施すが、マジックミラーでは金属皮膜を薄くすることで光をある程度透過させる性質を持たせ、金属皮膜の保護には透明な樹脂や、ガラス、プラスチックフィルムなど透明な板を用いている。
[編集] 誤解
漫画や映像作品に於いて「マジックミラーとは表からは透視でき、裏からは鏡にしか見えないもの」と言う誤解が見られる[1]が、あくまで“暗い側からは見えやすく明るい側からは見えにくいガラス”なので、そもそも表や裏のあるものではない。
特に屋外に面して設置すると、昼と夜で透視できる面が逆転することになる。
[編集] 仕組み
マジックミラーは入射光の一部を反射し、一部を透過させる性質を持つ。
例えば電灯をつけた明るい部屋と電灯のない暗い部屋をマジックミラーで仕切った場合、明るい部屋からマジックミラーを見ても、暗い部屋から透過する弱い光に重なって、明るい部屋から反射した強い光が目に届くため、自分の居る部屋の様子が映った鏡のようにしか見えない。逆に暗い部屋からマジックミラーを見た時は、暗い部屋から反射する弱い光に重なって、明るい部屋から透過してくる強い光が目に届くので、マジックミラー越しに明るい部屋の様子が見える。これが、マジックミラーの仕組みである。
そのため、顔をマジックミラーに近づけて光を遮るように覗けば、明るい部屋からでも邪魔な反射光が弱くなって、向こう側が見えるようになる。
なお、一般のガラスでも夜になると鏡のように見えることがあるが、これも同じ原理である。マジックミラーと比べて反射する割合は低いものの、入射光の一部を反射して一部を透過させる性質は持っているので、同様の状態になり得る。この場合は当然、暗い外から明るい室内の様子を見ることが出来る。
[編集] 用途
マジックミラーは一般に、明るい環境では鏡にしか見えないが、マジックミラーをはさんで暗い側から見ると、鏡の向こう側を鏡ごしに見ることが出来る。この性質を様々な用途に応用している。
[編集] 匿名性保護
これは警察の取調室において被疑者の「面通し」のために目撃者に確認してもらうのに用いることがある(首実検)。またかつてはドアののぞき窓に用いられたこともある。これは見る側が見られる側に見られないためのプライバシー保護(→匿名)の意図があってのことで、これにより被疑者に逆恨みされることなく被害者や目撃者が確認できると考えられている。
[編集] 光線からの目の保護
サングラスに応用したものは、ミラーグラスと呼ばれる。これは光の透過量が極めて少なくなるため、強い光から目を守るために利用される。特に紫外線など波長が短く目に有害な光線を効率よく遮断することができる。
ヘルメットのバイザーに用いた場合、側面から光線が入るとバイザー内部で光が乱反射するなどして、場合によっては一瞬にして前方視界が全く見えなくなる危険性がある。このため宇宙服[2]や航空機用のヘルメット以外ではあまり用いられない。オートバイ用乗車ヘルメットでは光の透過率が高いミラーバイザーなどは存在するが、こちらは外から見ると光の反射加減で虹色に見えるなど、厳密な意味でのマジックミラーではない。なお放射線防護服では光線ではなく放射線から目や顔を防護するために金属皮膜を用いたバイザーも使われるが、これも外から見ると虹色に見える。
[編集] 建築物
窓ガラスのシールとして用いると、内側から見えるが外側からは見えない状況を作り出すことが出来る。もちろん夜間はその逆となってしまう。しかし赤外線を遮断することで断熱効果もあるため、高層ビルなどではビル装飾と省エネルギーなどの観点から利用されている。
[編集] 光学部品
例えば光ディスクなど光学記憶媒体の読み出しでは、媒体表面に照射した半導体レーザーを反射させて、その反射具合で記録された情報を読み出す。この過程でビームスプリッターと呼ばれる分光器の一種が使われるが、これは「ハーフミラー」とも呼ばれる。なおハーフミラーは厳密にはプリズムの一種であって、上に述べたマジックミラーとは異なるものもある。
その一方で、プロジェクタの内部部品として複数の光源からの映像を合成するためにハーフミラーと呼ばれる板状の光学部品が使われることもある。こちらは一方からの光のみ反射させ、直進してきた光線と合成させることで複数光源に拠る明るい映像を得るために利用される。
プロジェクターやスライド映写機に利用されるコールドミラーと呼ばれるものでは、赤外線は透過するが可視光線は反射するという選択性を利用して、プロジェクタ内の液晶パネルやスライド映写機のフィルムの過剰な温度上昇を防ぐ機能がある。
[編集] 手品での使用
マジックミラーの性質を利用して、手品に使用されていた。
舞台上の美女に手品師が呪文を唱えると徐々に骸骨に変わる、といった類のマジックである。仕組みは、観客からの死角に骸骨を用意しておき、照明の強弱を利用して合成して見せるものである。
今日ではマジックミラーの存在がそれほど珍しくなく一般にもよく知られているため、余りそのものとして見世物(興行)が行われることはないが、これを利用したお化け屋敷の出し物や玩具、あるいは視覚効果として利用した博物館の展示物もみられる。
[編集] その他の用途
- マジックミラー号やマジックミラー号ちびQと呼ばれる改造自動車がある。これは車内を撮影スタジオに仕立てたもので、車外から車内を覗うことはできないが、内部からは外が丸見えである。この状況で車内で「羞恥心を煽る行動」をさせるというアダルトビデオのシリーズがある。
[編集] 注釈
- ^ みこすり半劇場では女子更衣室に面する壁に表裏を間違えてマジックミラーを設置する、というネタがある。
- ^ 宇宙服の場合、熱と紫外線遮断と同時に可視光線の透過率を高めるために純金が蒸着されている。金は他の金属に比べて薄く貼り付けることが可能である。

