ポリブタジエン

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ポリブタジエン: polybutadiene)は1.3-ブタジエン重合により作られる、汎用合成ゴムの一種[1]。別名、ブタジエンゴム[1]BRの略号で呼ばれる[1]。天然ゴム、ソ連の化学者セルゲイ・V・レーベジェフ英語版が見つける。ドイツのヒュルス社が量産化を果たした。自動車生産台数の増加に伴い生産量が増加しており、特に中国の生産能力は2011年から急増した[1]

製法[編集]

1.3-ブタジエンを溶液重合または乳化重合することにより得られる。溶液重合法ではニッケル系、コバルト系、チタン系やアルキルリチウム触媒が使われ、触媒の種類によりミクロ構造が変化する[1]。分子構造により、シス1,4が90%以上を占める高シスタイプとシス1,4が40%以下の低シスタイプに大別され、それぞれが工業化されている[1]。スチレンと共重合したものはスチレン・ブタジエンゴムとなる。一方、乳化重合法で作られたものは主としてABS樹脂の原料となる[1]。乳化重合法で製造されたものは加工性に劣るとされる。

用途[編集]

弾性、耐摩耗性、低温特性に優れ、タイヤやゴムホースゴルフボールスーパーボールなどに用いられる。他種のゴムと混合されることも多く、タイヤに用いる場合には天然ゴムやSBRと混合する[1]。混合により耐チッピング性や耐ウエットスキッド性が補われる。

関連項目[編集]

出典[編集]

  • 田中康之・浅井治海『ゴム・エラストマー』大日本図書、1993年。ISBN 4-477-00395-1 
  1. ^ a b c d e f g h 曽根卓男「特論講座 ゴムの工業的合成法 第1回 ブタジエンゴム」『日本ゴム協会誌』第88巻第5号、日本ゴム協会、2015年、178-183頁、doi:10.2324/gomu.88.178