ポリアセタール
ポリアセタール (polyacetal, polyoxymethylene) とは、オキシメチレン (oxymethylene, −CH2O−) 構造を単位構造にもつポリマーであり、略号はPOMである。ホルムアルデヒドのみが重合したホモポリマー(パラホルムアルデヒド、[−CH2O−]n、均質重合体)と、約2モル% のオキシエチレン単位 (oxyethylene, −CH2CH2O−) を含むコポリマー ([−CH2O−]n[−CH2CH2O−]m、共重合体) の双方の製品があり、両者ともポリアセタール、またはアセタール樹脂、あるいはポリアセタール樹脂と呼ばれる。
ホモポリマーは精製されたホルムアルデヒドより触媒存在下、アニオン重合により合成する。一方、コポリマーは 1,3,5-トリオキサンとエチレンオキシドあるいは 1,3-ジオキソランの混合物に、三フッ化ホウ素などのカチオン重合開始剤を添加した開環重合により合成する。
モノマーであるホルムアルデヒド、あるいは1,3,5-トリオキサンに水などの不純物(連鎖移動剤)が含まれると連鎖移動反応によりポリマー末端はオキシメタノール構造 (−OCH2OH) となる。末端がオキシメタノール構造 (−OCH2OH)のままであると融点以上で容易に末端からホルムアルデヒドが順次外れるアンジッピング反応(解重合)が引き起こされる。そこで、ホモポリマーの場合は無水酢酸を用いたアセチル化などのエンドキャップ処理が施され、熱安定性が改善されている。また、コポリマーの場合は、融点以上で末端の不安定部([−CH2O−]n H)を解重合させて、安定な末端(−CH2CH2OH)で終わらせる処理が行われる。
最近の技術では、モノマーであるホルムアルデヒド、あるいは1,3,5-トリオキサンに水などの不純物が含まれていないようにする高度精製の技術が開発されている。ホモポリマーの場合には無水酢酸を連鎖移動剤としてホルムアルデヒドの重合を行うと、連鎖移動反応によりポリマー末端がアセチル基(−COCH3)でエンドキャップされた安定な重合体が得られる。また、コポリマーの場合はメチラール(CH3OCH2CH3)を連鎖移動剤として1,3,5-トリオキサンとコモノマーとの共重合を行うと、連鎖移動反応によりポリマー末端がメトキシ基(−OCH3)でエンドキャップされた安定な共重合体が得られる。
なお、オキシメチレンを繰り返し単位とする環状化合物には、3量体である1,3,5-トリオキサン、4量体である1,3,5,7-テトラオキサン、5量体である1,3,5,7,9-ペンタオキサンなどがある。また、ホルムアルデヒドの水溶液であるホルマリンから水を加熱・蒸発させた高濃度ホルマリンを固化させると直鎖状の構造を持ったパラホルムアルデヒド(重合度8-100)が得られる。なお、一般にプラスチックとして使用されているポリアセタール樹脂(アセタール樹脂)の重合度は700-2,000程度である。
ポリアセタールは非晶部分と結晶部分が混在するために、強度、弾性率、耐衝撃性に優れたエンジニアリングプラスチックである。また摺動特性に優れている為、軸受け部品としても利用されている。分子構造に酸素原子が多く含まれているため酸素指数は15であり、最も燃えやすいポリマーのひとつである。
市販されているポリアセタールの例として、ティコナ社のCelcon® と Hostaform®、デュポン社のデルリン(ホモポリマー)とポリプラスチックス社のDURACON(ジュラコン)(コポリマー)、旭化成のテナック(ホモポリマー、コポリマーおよびブロックコポリマー)、三菱ガス化学のユピタ-ル(コポリマー)などが挙げられる。
ホモポリマーであるデルリンを成形機で扱う場合には特に注意が必要である。機械故障等によって機械が停止して、融点以上の温度に長時間さらされると、アンジッピング反応(解重合)が引き起こされる場合がある。
デルリン以外のものはすべて乳白色であり、着色する場合には、マスターバッチという染料を1.25%ほど加えて融解させる。
成形の前に、80~90℃で3~4時間の乾燥が必要である。
用途 [編集]
家電や電気電子製品の各種外装・筐体・機構部品類、自動車パネルなど内装部品、文具・雑貨類、事務用家具部材、ブラシの柄など。息による結露対策として、リコーダーをはじめとする木管楽器や金管楽器にも使用されている。 また模型の可動部部品や、樹脂製の鉄道模型の車輪や透明部品を除いた大部分など、さまざまな用途で使用される。
トレードネームとシェア [編集]
主なPOMプロデューサー: