ポアンカレ・ベンディクソンの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

数学におけるポアンカレ・ベンディクソンの定理とは、平面上の連続力学系における軌道の大域的構造(閉軌道の存在)に関する定理である。

概要[編集]

ポアンカレ・ベンディクソンの定理は次のような事を示している。二次元平面上の連続力学系に於いて任意の状態空間におけるコンパクト部分集合にとどまる軌道は 固定点周期軌道、有限個の固定点からなる連結空間のいずれかである。 together with homoclinic and heteroclinic orbits connecting these. ただし、 すべての固定点は孤立点で \omega-極限集合に漸近するとする。


従って、カオス的な挙動は3次以上の連続力学系でしか現れないことになる。 しかしながらこの定理は、1次や2次でもカオス的挙動が確認されている離散力学系に対しては適応することは出来ない。

より弱い仮定での定理はポアンカレによって不完全であるが示された。のちにベンディクソン(1901年)がこの定理に対して完全な証明を与えた。

定理[編集]

ポアンカレ・ベンディクソンの定理にはいくつかの表現方法があるが、その一つを挙げる。

平面上の次のように定義された力学系を考える。

(\dot x,\dot y)=(f(x,y),g(x,y)).

ここで S不動点を含まない有界閉集合とする。また S を含む開集合で f , g は C1級関数とする。もしある解軌道が S 上にとどまりつづけるならば、閉軌道か閉軌道に収束する。

別の表現[編集]

平面上の開集合かつ単連結空間な部分集合上の実連続力学系を考える。 このとき、固定点を含まない軌道のうち、すべての空でないコンパクトなα-極限集合(もしくはω-極限集合)は周期軌道である。


[編集]

つまり、この定理により閉軌道が存在することがわかる。 この定理は、3次元以上の場合や、離散力学系では成立しない。

平面という仮定は必要である。 トーラス上では、例えば、再帰性のある周期的でない軌道を作ることができる。

応用例[編集]

ひとつの重要な帰結は、二次元連続力学系では、ストレンジアトラクタが生じることはないという主張である。 もしストレンジアトラクタCがそのような系に存在するならば、 Cを含む有界閉集合が存在することになる。 十分に小さな部分集合を用意することで任意の不動点は除くことができる。 一方、ポアンカレ・ベンディクソンの定理によるとCはすでにストレンジアトラクタではない事を示したことになる。つまり、そのような軌道は、リミットサイクルもしくは、リミットサイクルに漸近する軌道である。

関連項目[編集]