ボンバーマン (PCエンジン)

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ボンバーマン
BOMBER MAN
ジャンル アクション
対応機種 PCエンジン (PCE)
開発元 ハドソン
発売元 日本 ハドソン
アメリカ合衆国 NEC-HE
ディレクター 藤原茂樹
デザイナー 桑原司
プログラマー 永田淳夫
室屋勇治
音楽 竹間ジュン
美術 小倉英之
佐々木みか
シリーズ ボンバーマンシリーズ
人数 1人(ノーマルゲーム)
2 - 5人(バトルゲーム)
2人(バトル通信)
メディア 2メガビットHuCARD[1]
発売日 日本 199012071990年12月7日
アメリカ合衆国 1991年
デバイス マルチタップ対応
その他 型式:日本 HC90036
アメリカ合衆国 TGX020053
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ボンバーマン』(BOMBER MAN)は、1990年12月7日に日本のハドソンから発売されたPCエンジンアクションゲーム。『ボンバーマンシリーズ』第4作目、そしてPCエンジンのボンバーマンシリーズ第一作目。

PCエンジン主人公の「ホワイトボンバーマン」を操作し、悪の心を持った「ブラックボンバーマン」に攫われた三森博士の娘である理沙を救出する事を目的としたゲーム。開発はハドソンが行い、ディレクターは藤原茂樹、ゲーム・デザインは後に『ボンバーマン'93』(1992年)を手掛ける事となる桑原司、音楽はファミコン版と同様に竹間ジュンが担当している。

また、本作はシリーズで初めてプレイヤー5人での対戦が可能になった作品として知られている[注 1]。過去の3作品[注 2]では不定であったキャラクターデザインや世界観を一新し、後のシリーズに近いコミカルで可愛らしいものへと変更になったタイトルである。また、バトルゲームの提案を始めシリーズの発展に大きな貢献をし、後にシリーズプロデューサーを務めた藤原が初めて関わったシリーズタイトルでもある[2]

日本国外では、AmigaAtari STPC/AT互換機において『Dyna Blaster』のタイトルで発売された[3][4][5]

ゲーム内容[編集]

ノーマルゲーム[編集]

一人用のゲームモード。タイトル画面で「GAME START」を選ぶとこのモードが始まる。ゲームシステム自体は初代ボンバーマン(以下、「ファミコン版」と表記する)とほぼ同じであるが、ステージの数え方がラウンド制に変更され、各ラウンドの最終ステージにボスが出現するようになった。またファミコン版では横スクロールのステージのみであったが、本作では1画面に収まるステージや縦スクロールのステージも存在する。ステージの敵を全滅させるとアイテムが隠れているソフトブロックが光る。

バトルゲーム[編集]

対戦モード。タイトル画面で「BATTLE」を選ぶと開始。最大の特徴としてはマルチタップを用いて最大5人までの対戦が可能なことが挙げられる。本作品ではまだコンピューター(COM)との対戦はできず、5人未満での対戦の際はノーマルゲームにも登場する敵キャラが登場する。パワーアップアイテムは「火力アップ」と「爆弾数アップ」の2つだけ。また「ノーマルモード」と「ドクロモード」のいずれかを選択でき、「ドクロモード」の場合取ると様々な効果(移動速度が低下するなど、ほとんどは対戦に不利な効果)が起こる「ドクロアイテム」が登場する[注 3]。プレッシャーブロック(残り時間が少なくなると出現する、フィールドを狭める破壊不能のブロック)も本作では登場しない。

マルチタップではなくPCエンジンGTを使用して対戦する『バトル通信』というモードもあり、こちらは2人対戦専用。

ゲームデザインを手がけた桑原司によると、当初は4人同時対戦として開発されていたが、ベーシックゲームデザイナー(ボンバーマンの生みの親・ファミコン版の開発者)の中本伸一の提案で5人同時対戦になったという[6]

設定[編集]

ストーリー[編集]

時は未来世紀、思考能力を持ったロボットの2号機、ブラックボンバーマンが三森博士によって完成された。しかし博士のプログラムミスにより、ブラックボンバーマンは悪の心を持ってしまい、遂には博士の娘である理沙をさらい機械城に立てこもってしまった。理沙を助けるべくホワイトボンバーマンは山や川を越え、ブラックボンバーマンの居城である機械城へと向かうのだった。

ステージ構成[編集]

全8ラウンド。各ラウンドにはそれぞれ8つのステージがあり、8ステージ目にはボスが待ち構えている。

  • ラウンド1 - 国境の壁
  • ラウンド2 - 岩山
  • ラウンド3 -
  • ラウンド4 -
  • ラウンド5 - 溶岩洞
  • ラウンド6 - 城内1
  • ラウンド7 - 城内2
  • ラウンド8 - 機械城内(最終ラウンド)

敵キャラクター[編集]

一部の敵は説明書イラスト付きで紹介されており、これらの他にも多数の敵が登場する。一度の爆発で複数の敵を倒すと獲得スコアが上昇するシステムは本作でも健在。ちなみに本作のボスキャラは説明書には「ボス」と明記されておらず、「最終ステージの恐怖」と書かれている。

バロム
ファミコン版から引き続き登場のオレンジ色の風船形の敵。本作ではブロックに当たった時以外方向転換することがなくなり、倒しやすくなった。ラウンド1と8のほか、後述のバトルゲームにも登場する。
ボヨン
丸い目玉と縦長の口、青色の体が特徴で、伸び縮みしながら移動する。序盤から終盤まで、あらゆるラウンドに登場する。
ナガチャム
帽子をかぶった幽霊のような敵。ラウンド6に登場。
シャシャキン
ペンギンカモノハシを思わせる口が特徴。ラウンド5に登場。
オジン
ボヨンに似た姿だが色は黄色で、歯を剥き出しにしたような表情をしている。ラウンド7に登場。
パース
ファミコン版から引き続き登場。トラの顔のような敵で、ファミコン版と同じく最速クラスのスピードで的確に追いかけてくる。序盤から終盤まで、あらゆるラウンドに登場する。
ポンタン
ファミコン版から引き続き登場の円盤状の敵。こちらも性能はファミコン版に準じており、ソフトブロックをすり抜けながら猛スピードで追いかけてくる。ラウンド8の後半のほか、全ステージでタイムオーバーになった時にも登場する。
コンドリア
ファミコン版から引き続き登場のスライム状の敵。やはり性能はファミコン版に準じており、ソフトブロックをすり抜けて移動する。本作ではバトルゲームにのみ登場する。
アーロン
ボス級のキャラクター。ラウンド1と3に登場する。通常の敵キャラサイズの胴体が連なったヘビ状体型の敵。攻撃手段は体当たりのみだが、時おり怒り顔になって移動速度が速くなる。耐久力は2だが、1回目のダメージを体全体に与えるまでは2回目のダメージを与えられない。また、爆弾を食べる。なお、ボスステージにはソフトブロックが全く無いが、敵を全滅させれば何も無いところに出口が出現する。ラウンド1は1匹、ラウンド3は2匹登場する。
バブルズ
ボス級のキャラクター。ラウンド2と5に登場する。「親」と「子」がいて、どちらも体当たりで攻撃してくる。耐久力は親が3で子が1となっており、親を放っておくと子を産み出したり産み出した子とフォーメーションを組んで迫ってきたりする。親はラウンド2は1匹、ラウンド5は3匹出現する。
ワープマン
ボス級のキャラクター。ラウンド4と6に登場する。「親」と「子」がいてどちらも名前の通りワープして移動する。耐久力は親が4で子が2となっており、親を倒すと子も自滅する。親はラウンド4は1匹、ラウンド6は2匹出現する。
テルピョー
ボス級のキャラクターとともに登場する敵。黄色いタコのような見た目が特徴。全ラウンドに登場する。ソフトブロックを通過する。
スピッドファイヤー
ボス級のキャラクター。ラウンド7に登場する。4匹出現し、バリアを張ったり4方向に炎を放つ。耐久力は3。
ブラックボンバーマン
最終ボス。攻撃手段はバリア、火炎、テレポート、爆弾設置。耐久力は4。なお、配下にレッド・ブルー・グリーン・イエロー各色のボンバーマン(いずれも耐久力は2)を従え、炎に化けている時は無敵であり、壁まで到達する炎を放ち、爆弾を誘爆させる。4体倒すまでブラックボンバーマンは常にバリアを張っている。

移植版[編集]

No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 備考
1 ボンバーマン 日本 199104191991年4月19日
X68000 システムソフト システムソフト フロッピーディスク -
2 Dyna Blaster ヨーロッパ 1991年
Amiga アメリカ合衆国 Turbo Technologies
ヨーロッパ ユービーアイソフト
アメリカ合衆国 Turbo Technologies
ヨーロッパ ユービーアイソフト
フロッピーディスク
カセットテープ
-
3 Dyna Blaster ヨーロッパ 1992年
Atari ST
PC/AT互換機
アメリカ合衆国 Turbo Technologies
ヨーロッパ ユービーアイソフト
アメリカ合衆国 Turbo Technologies
ヨーロッパ ユービーアイソフト
フロッピーディスク
カセットテープ
-
4 ボンバーマンコレクションVOL.1 2002年12月19日 Windows 98Windows 2000Windows MeWindows XP ハドソン ハドソン 北米版「BOMBERMAN COLLECTION」と同一内容のため、海外版を収録。
X68000版
  • システムソフト1991年に発売した。こちらは対戦モードが最大4人で、音源の違いはあるものの音楽やグラフィック、ゲームシステムともほぼ同じ内容となっている。

スタッフ[編集]

  • ベーシック・ゲーム・デザイナー:中本伸一
  • ゲームディレクター:藤原茂樹
  • ゲームデザイナー:桑原司
  • メインプログラマー:永田淳夫
  • サブプログラマー:Wrecker Muroya(室屋勇治)
  • グラフィックデザイナー:小倉英之、佐々木みか
  • ミュージックコンポーザー:竹間ジュン
  • サウンドプログラマー:星恵太

評価[編集]

評価
レビュー結果
媒体結果
Computer and Video Games93% (PCE)[7]
ファミ通29/40点 (PCE)[8]
月刊PCエンジン93/100点 (PCE)
マル勝PCエンジン33/40点 (PCE)
PC Engine FAN23.78/30点 (PCE)[1]
(総合51位)
Amiga Format87% (Amiga)[3]
Amiga Power83% (Amiga)[3]
Aktueller Software Markt9/12点 (Amiga)[3]
ST Action92% (ST)[4]
ST Format92% (ST)[4]
PCエンジン版

ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計29点(満40点)[8]、『月刊PCエンジン』では85・95・90・100・95の平均93点、『マル勝PCエンジン』では8・7・9・9の合計33点(満40点)、『PC Engine FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、23.78点(満30点)となっている[1]。また、この得点はPCエンジン全ソフトの中で51位(485本中、1993年時点)となっている[1]

項目 キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
得点 4.26 3.43 4.09 4.36 4.15 3.49 23.78

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ シリーズで最初に対戦そのものを搭載したのは、ゲームボーイの『ボンバーボーイ』(1990年)である。こちらは通信ケーブルを用いた2人対戦が可能。
  2. ^ ここでは『ボンバーマン (ファミリーコンピュータ)』(1985年)、『ボンバーキング』(1987年)、『ボンバーボーイ』(1990年)を指す。
  3. ^ 後のシリーズ作品では基本的にこのような設定は出来ず、ドクロ有りで固定となっている。

出典[編集]

  1. ^ a b c d 「10月号特別付録 PCエンジンオールカタログ'93」『PC Engine FAN』第6巻第10号、徳間書店、1993年10月1日、29頁。 
  2. ^ 藤原茂樹プロフィール | 株式会社ゼロイチ
  3. ^ a b c d Bomberman for Amiga (1992)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月13日閲覧。
  4. ^ a b c Bomberman for Atari ST (1992)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月13日閲覧。
  5. ^ Bomberman for DOS (1992)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月13日閲覧。
  6. ^ 開発者がボンバーマン実況<1990年 PCエンジン版>前編 - リベルタつかさの流儀 - YouTube
  7. ^ Bomberman TurboGrafx-16 (1990)” (英語). MobyGames. Blue Flame Labs. 2018年5月13日閲覧。
  8. ^ a b ボンバーマン まとめ [PCエンジン]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2015年8月2日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]