ボストン・ポップス・オーケストラ

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ボストン・ポップス・オーケストラ(2005年
タングルウッド音楽祭で演奏準備をするボストン・ポップス・オーケストラ

ボストン・ポップス・オーケストラ(Boston Pops Orchestra)は、アメリカ合衆国の名門オーケストラのひとつ。

概要[編集]

ボストン・ポップス・オーケストラは、ボストン交響楽団が夏のオフシーズンの間、音楽普及を目的としたポピュラーコンサートや音楽会で演奏するために編成を変えたもので、基本的なメンバーはボストン交響楽団と同じである。基本編成は96名と大規模だが、その時々に応じて人気のある曲や往年のスタンダードナンバーを演奏し、ポップス・オーケストラとして確固たる地位を築いている。

なお、ボストン・ポップス・オーケストラとは別に、フリーミュージシャンをメンバーの主としたボストン・ポップス・エスプラネード・オーケストラ(Boston Pops Esplanade Orchestra)が存在し、海外ツアーはこちらのほうが受け持っている。過去に数回来日しているが、そのうちボストン・ポップス・オーケストラの来日は2回である(指揮者はジョン・ウィリアムズ)。

ボストン・ポップス・オーケストラの歴史は古く、設立は1885年に遡る。特に重要なのは1930年から1979年、アーサー・フィードラーが常任指揮者を務めた時代である。この50年の間、フィードラーの下でボストン・ポップス・オーケストラは精力的な活動を行い、瞬く間に知名度を上げていった。1950年代後半から1970年代まで、フィードラー時代の録音は多くが今日でも入手可能である。またフィードラーは、作曲家ルロイ・アンダーソンを見出したことでも有名であり、その縁もあってアンダーソンの初期の作品は多くがボストン・ポップス・オーケストラによって初演された。アンダーソン自身が指揮したこともあり、今日でもアンダーソン作品の演奏でボストン・ポップス・オーケストラの右に出るオーケストラはない。

フィードラーの後、1980年から1993年までは映画音楽の分野で名高い作曲家ジョン・ウィリアムズが常任指揮者を務めた。ウィリアムズの時代のボストン・ポップス・オーケストラは、フィードラー時代に得意としていた軽音楽やオリジナルの現代作品に加え、ジャズムード音楽も取り入れるなどレパートリーの幅を広げた。特にジョン・ウィリアムズの自作、および彼を含む一流の編曲者が手がけた映画ミュージカルなどの編曲作品を収めたCDは高い人気を誇る。

ジョン・ウィリアムズが退いてからは2年ほど常任指揮者不在の期間があったが、1995年以後はキース・ロックハートが常任指揮者を務めている。以前はRCAビクターからCDをリリースしていたが、近年はオリジナルレーベルを立ち上げたためか、日本では新作の流通が少なく、華々しい活躍を続けている割には日本での知名度が上がらない。今日入手できるCDの多くは、フィードラーおよびジョン・ウィリアムズが指揮を務めたもの、または1950年代から1990年代前半にかけての客演指揮者を招いての録音である。

歴代指揮者・音楽監督[編集]

  • アドルフ・ノイエンドルフ(1885年・1887年 - 1889年)
  • John C. Mullaly (1886年)
  • Wilhelm Rietzel (1887年)
  • Franz Kneisel (1888年)
  • Eugen Gurenberg (1891年)
  • Timothee Adamowski (1891年 - 1894年・1903年 - 1907年)
  • Antonio de Novellis (1895年)
  • Max Zach (1896年 - 1902年・1906年 - 1907年)
  • Leo Schulz (1897年)
  • Arthur Kautzenbach (1908年 - 1909年)
  • André Maquarre (1909年 - 1917年)
  • Otto Urach (1913年 - 1916年)
  • Clement Lenom (1913年 - 1916年)
  • Ernst Schmidt (1915年 - 1916年)
  • Josef Pasternack (1916年)
  • Agide Jacchia (1917年 - 1926年)
  • アルフレード・カゼッラ(1927年 - 1929年)
  • アーサー・フィードラー(1930年 - 1979年)
  • ハリー・ディクソン(第1バイオリン奏者・1955年 - 1999年[1]
  • ジョン・ウィリアムズ(1980年 - 1993年・1995年から桂冠指揮者
  • Bruce Hangen (客演指揮者 2002年 - 2006年)
  • キース・ロックハート(1995年 - )

備考[編集]

TBS系列のテレビ番組『さんま・玉緒のお年玉あんたの夢をかなえたろかスペシャル』の企画の一つで、自衛隊音楽隊の隊員の一人の「ボストン・ポップスの一員になりたい」という夢を叶えさせ、ボストン・シンフォニー・ホールで、この隊員がオーケストラの一員としてトランペットを担当したことがある。曲はルロイ・アンダーソンの「そりすべり」で、演奏前に指揮者のキース・ロックハートより紹介を受け演奏、曲の最後の馬の嘶きを見事こなし、喝采を浴びた。

脚注[編集]

  1. ^ Harry Ellis Dickson, 94, Violinist and Conductor in Boston(英語・2012/03/25 閲覧)