ホライズン計画

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フランスのフリゲート艦 Forbin (D620)
艦級概観
名前: ホライズン
建造: ホライズン Sas (DCN, タレス, フィンカンティエリ, フィンメッカニカ)
運用:  イタリア海軍
 フランス海軍
次級: FREMM計画
就役期間: 2008年
所属期間: 2007年
計画: 8隻
完工: 4隻
中止: 4隻
現役: 4隻

ホライズン計画(ホライズンけいかく、フランス語: Programme Horizon英語: Horizon Common New Generation Frigateイタリア語: Programma Orizzonte)とは、フランスイギリスイタリアの3国による、防空駆逐艦防空艦ミサイル駆逐艦)建造計画である(当初は、汎用フリゲート)。計画途上でイギリスが離脱したため、残る両国の共同計画となり、フランス海軍フォルバン級駆逐艦と、イタリア海軍アンドレア・ドーリア級駆逐艦が建造された。

概要[編集]

搭載装備などの細部がフランスとイタリアで異なっているが、EMPARレーダーを格納したドームが上部に載る前方マストと、対照的に長方形のS1850Mレーダーの取り付けられた後部マスト、艦橋構造物前方左右のオート・メラーラ 76 mm 砲が特徴的な防空駆逐艦。前方中央にはシルヴァー VLSが搭載され、ステルス性に配慮して凹凸を減らし、側面は開口部を減らすなど全体的には平坦である。

英語による計画名がホライズン新型共通フリゲート計画であり、フランス語のFrégate antiaérienne Type Horizonを直訳するとホライズン型対空フリゲートと訳されることから、フリゲートの建造計画と誤認されることが多い。しかし、計画進行と共に大型化した結果、実際に建造された艦艇はすべて全て駆逐艦である。なお、フランスのフォルバン級はFrégates antiaériennes de classe Forbinと称されているが、これはフランス海軍では大型水上艦をFrégateに統一しているためであり、艦種記号としては駆逐艦を表す「D」を付されている。

歴史[編集]

1980年代後半、NATO加盟8カ国(フランス西ドイツイタリアオランダスペインカナダイギリスアメリカ)の海軍は、NFR-90 (NATO Frigate Replacement for 1990s) 構想を開始した。これは、各国海軍が保有する1960年代型水上戦闘艦の老朽化が進んでいたことから、これらの代替艦として、NATOで共通のフリゲートを設計・採用し、50隻以上におよぶ大量建造を行なうことによって、相互運用性を向上させ、またコストを削減しようというものであった。イギリス海軍42型駆逐艦フランス海軍シュフラン級駆逐艦イタリア海軍アウダーチェ級駆逐艦西ドイツ海軍(現 ドイツ連邦軍海軍)ハンブルク級駆逐艦及びリュッチェンス級駆逐艦オランダ海軍トロンプ級フリゲートコルテノール級フリゲートの一部の更新を目的として、この計画に加わっていた。

しかし、NFR-90計画は事前調整から難航しており、また、他国との運用要求の差異から、イギリス海軍はNFR-90計画艦では42型駆逐艦の代替には不適であると判断、1989年に計画より脱退した。その後もNFR-90計画は多くの困難に直面し、90年にはフランス、イタリア、さらにはスペイン、ドイツが相次いで離脱し、さらにオランダまで脱退を決定するにおよび、本格始動からわずか2年でNFR-90計画は空中分解することになった。

一方、NFR-90計画より最初に脱退したイギリスは、独自に次期防空艦の開発を進めていた。1990年にはこれにフランスが合流し、英仏将来フリゲート(A3F: Anglo-French Future Frigate)計画が開始された。イタリアは当初、この計画にオブザーバーとして参加していたが、1992年、本格的な開発参加を決定、計画はホライズン計画と改名されて、具体的な作業が開始された。

ホライズン計画では、独自の艦対空ミサイルを採用した対空武器システムとしてのPAAMSを共同開発し、これを共通設計の船体に搭載することとしていたが、細部の武装については各国が独自のものを搭載する計画であった。しかし、航空母艦を護衛するための限定的な防空能力で良しとするフランスと、自国周辺の地中海で艦隊が活動することから、艦隊防空能力ではなく個艦防空能力を求めるイタリアに対して、外征的な要素が強く、より遠距離までの艦隊防空能力を必要としたイギリスの要求が合致しなかったことから、開発は難航した。この要求性能の差異は、PAAMSの中核となる多機能レーダーの機種選定で表面化し、フランス・イタリアがG (C) バンドを使用して精密走査に重点を置いたEMPARを推したのに対して、イギリスは長距離探知の可能なSバンドのSAMPSONを要求した。この時点で計画こそ汎用フリゲートではあるが、実態は防空駆逐艦へ近づきつつあった。

1995年には、共同事業会社が成立したが、VLSとしてシルヴァーとMk.41のいずれを選択するかでも対立した。これは、イギリスがトマホーク巡航ミサイルの発射能力を要求したことによるものであったが、最終的に、SYLVERが選定されて決着した。

1999年には、上記の要求性能の差異のためにイギリスが計画より離脱したが、PAAMSの開発には残留した。フランスとイタリアは事業を継続し、各2隻を建造。また、これらの2カ国は、汎用艦として、新たにFREMM計画Frégate Multi-MissionFregata Multi-Missione)の開発を開始している。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]