ホテル・カリフォルニア (曲)

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ホテル・カリフォルニア」 (Hotel California) は、アルバム『ホテル・カリフォルニア』に収録されているイーグルスの楽曲で、架空のホテルを舞台としている(アルバム記事も参照)。1976年作品。作詞作曲は、ドン・フェルダードン・ヘンリーグレン・フライ。なお、イントロの印象的なギター、メロディー、後半のツインギターソロも含め、作曲したのはドン・フェルダーであり、ドン・ヘンリーは作詞を手掛けた。グレン・フライのこの曲への作詞・作曲での貢献はほとんどないが、作詞のアイデアを出したとされる。(アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーヴァー」では、クレジットが、ヘンリー、フライ、フェルダーの順になっているが、これは正しくない)。1970年代のアメリカン・ロックを代表する楽曲のひとつ。

北米市場においては、「ニュー・キッド・イン・タウン」に次いでシングル・カットされ、ビルボード誌全米チャート第1位となった。

その印象的な旋律、暗喩に富んだ歌詞から広く愛聴され、現在では全世界的にロックスタンダードとして定着しており、数々のロック奏者にとどまらず、ポップス奏者やラップ奏者、果てはジプシー・キングスなどのラテン奏者、マジェック・ファシェックなどのレゲエ奏者に至るまで、ジャンルを超えて幅広く好んでカバーされている。

また日本では1977年に、フォークデュオのタンポポによってなかにし礼による日本語詞でカバーされた(シングル「過ぎし日の想い出」のB面に収録)。タンポポ版の歌詞の内容はイーグルス版(原曲)とはかなり異なっており、共通点は「ホテル・カリフォルニア」を舞台としていることくらいである。タンポポ版の「ホテル・カリフォルニア」は、2004年発売のオムニバスCD『伊集院光選曲 おバ歌謡』に収録されている。

概要[編集]

メロディーコードアレンジ
テーマメロはBm、F#7、A、E、G、Dの5度上がりのコード進行で、サビではG、D、F#7、Bm、G、D、Em、F#7となっている。基本的なコード進行を考えたのはドン・フェルダーで、元々は一音低いAmで作曲していたが、ドン・ヘンリーのキーに合わせてBmとなった。
イントロや曲内の一部に用いられる13本ものギターを重ねた巧みなアルペジオ・ワーク、ドン・ヘンリーのハスキーボイス、ドン・フェルダーならびにジョー・ウォルシュによるギターリフの巧みさなどとあいまって、極めて印象的なサウンドを展開する。ギターソロは、ドン・フェルダー、ジョー・ウォルシュの順で演奏され、フェルダーはギブソン・レスポール、ウォルシュはフェンダー・テレキャスターを使用した。ロック史上屈指のギターソロのほとんどのラインはフェルダーが作ったと言われ、彼のこの曲での貢献度は大きいものがある。
歌詞
歌詞のあらましは、主人公がコリタス(サボテンの一種だが、マリファナの隠語)の香りたつカリフォルニアの砂漠エリアのハイウェイで、長時間の運転に疲れて、休むために立ち寄った小綺麗なホテルに幾日か滞在し快適な日々を送ったが、堕落して快楽主義的なすごし方を続ける滞在客たちに嫌気して、以前の自分の日常生活に戻るためホテルを去ろうとしたものの、離れようにも離れられなくなった…という、一見伝奇譚的なミニストーリーであるが、歌詞の随所には言外に意味を滲ませる深みのあるものとなっているため、歌詞解釈について様々な憶測を呼び、評判となった。
作詞者の3人が属するウエストコースト・ロックひいてはロック産業の退廃を揶揄しているという解釈から、カリフォルニア州キャマリロにあったカリフォルニア州立精神病院を描写しているという解釈、さらには全汎的にアメリカ社会ないし現代文明のひずみに対する憂いを表現しているという解釈まで、聴き手に様々な印象を与える歌詞となっている。
  • 特に、主人公がホテルのボーイ長に対して注文した「自分の(好みの銘柄の)ワイン」がなく、
We haven't had that spirit here since nineteen sixty nine
(そのような酒はこちらにはご用意しておりません、1969年以来…)
と返答された、という一節があまりにも有名であり、spiritスピリット)という言葉を「(蒸留)酒」と「魂」との掛けことばに用いて、当時のロック界を揶揄したものであると解釈されることが多い。
これは、いわゆる ウッドストック・フェスティバルなどの大規模なコンサートが1969年以来行われるようになり、これ以降のロック界は いわゆる産業ロックと言われる商業至上主義に転向してゆき、各アーティストが求める表現の発露としての演奏ではなく、いかに好まれ大衆が購買し大量集客できるかを第一義においた曲の演奏を強制させられる時代となり、アーティストのスピリット(魂)など失われてしまった、と暗喩していると解釈するものである。そして同年12月、ロック界にとって外すことの出来ない事件「オルタモントの悲劇」が起こる。
  • 主人公のホテル滞在中に繰り返し聞こえ幻聴とも思われる
Welcome to the Hotel California
(ようこそホテル・カリフォルニアへ…)
の言葉の本質は何を意味するのか? また、従業員または滞在客が言った
We are all just prisoners here, of our own device
(しょせんみんなここの囚人だ、自分の意思で囚われた…)
の意味は?(リンダ・ロンシュタットのバックバンドとして共にカリフォルニアでデビューした経緯と商業主義とセックス・ドラッグ&ロックに堕ちてゆく自分達の事か?)さらに、大広間の祝宴に集まった滞在客らが鉄製のナイフで刺し付けるものの決して殺すことのできない「その獣(けもの)」(the beast )とは何のことを指すのか?(これは、歌詞のsteely knives(複数の鉄製ナイフ)がスティーリー・ダンを、the beastが音楽業界を指し、スティーリー・ダンをもってしても商業主義の音楽業界に立ち向かえなかったと揶揄している節がある。アルバム「ホテル・カリフォルニア」が発売される以前、スティーリー・ダンは自グループの曲中に(イーグルスの)うるさい曲をかけろと揶揄したことがあり、その当てつけに書き込んだとも)
I had to find the passage back to the place I was before
(前いた場所に戻る道筋を探さなければならなかった…)
の意味するところは?
など、聴き手の耳に残る比喩的な表現が極めて多い。
  • 歌詞の最後は、こんな環境に居続けると自分がダメになると気づいた主人公が、出口を求めてホテル館内を走り回っていた際に警備員にたしなめられ、
We are programmed to receive. You can checkout any time you like, but you can never leave!
(受け入れるのが運命(さだめ)なんだよ、好きなときにチェックアウトはできるが、決して立ち去ることは出来ないんだ!)
という印象的な言い切りの言葉で終わり、直後に続くフェルダーとウォルシュによるツイン・ギター・リフと そのフェイドアウト効果により、聴き手に深い余韻を与える構成となっている。
また、 checkout (チェックアウト)は、北米口語でしばしば「自殺する」の婉曲表現に用いられるため、この一節は「死ぬまで逃げられない」と掛け言葉になっていると解釈することもできる。

ホテル・カリフォルニア問題[編集]

1990年代から、米アップル社が、洗練された外観デザインを持つOSなどのソフトや、PCMacシリーズないし周辺機器iPodなどのハードを相次いで発売したのを受け、従来使用してきたマイクロソフト社ウィンドウズOSからMacOSに乗り換えるユーザーが増加した。

ところが、ウィンドウズOSからマックOS環境へ手持ちのデータを比較的簡単に移行できるように設計されていたものの、ひとたびマックユーザーとなった者が再度ウィンドウズ環境に再移行したくなっても、データ全体をウィンドウズ環境に戻すことは非常に煩雑で困難を極めることが知られるようになった。もちろん、個別のデータはその度に手作業で設定すれば、ウィンドウズ環境で使用できるのだが、包括的にレジストリやOSのシステムファイルへの関連付けを行うことは出来ず、何万何十万のファイルについて手作業で行う必要が生じる。

このため、この現象を表現するにあたって、「一度入ったら、好きな時にチェックアウトは出来ても、根本的に逃れることは決して出来ない」という、ホテル・カリフォルニアの歌詞に準えて「ホテル・カリフォルニア問題」(The Hotel California Factor)という自嘲気味な表現がマックユーザーの間で用いられた。

脚注[編集]