ペミカン

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アウトドア・ショーであるカルガリー・スタンピード英語版で作られているペミカン

ペミカン(英語:pemmican)は、カナダ及びアメリカに先住するインディアンたちの伝統的な保存食。 携帯保存食の一種である。

概要[編集]

ペミカンは、加熱溶解した動物性脂肪に、粉砕した干し肉ドライフルーツなどを混ぜ、密封して固めることで保存性を高めた食品である。毛皮交易の際に携帯保存食として広く利用され、後にロバート・スコットロアール・アムンセンのような極地探検家の間で高カロリー食品として利用された。適切に包装されたペミカンは、長期間保存することができた。日本においても、大学山岳部などによる長期に及ぶ冬季登山などにおいてよく利用されている。

ペミカンの材料は、使用可能なものなら何でも用いられた。例えば、ペミカン用の肉としてしばしばアメリカバイソンヘラジカシカアメリカアカシカオジロジカなど)の肉が使われた。果物はクランベリー、サスカトゥーンベリー(saskatoon berryザイフリボク属)がよく使われた。チェリースグリセイヨウカマツカの実、ブルーベリーが使われたペミカンは、インディアンたちの間でもっぱら冠婚葬祭などの特別な場合に、現在でも食べられている。パウワウにも供されることが多い。

脂肪分の少ない肉と骨髄の脂肪で作られたペミカンが最上級とされるなど、毛皮交易時代のペミカン購入者の間では厳格な仕様が存在していた。

語源はクリー語の「ピミーカーン」(pimîhkân)で、「pimî」は「脂肪」を意味する。

犬用のペミカン[編集]

イギリス北極探検隊は、犬ぞりを引く牛肉で作られたペミカンを与えた。このペミカンは「ボブリル・ペミカン (Bovril pemmican)」、または単純に「犬用のペミカン」と呼ばれた。成分は2/3が蛋白質、1/3が脂肪であり、炭水化物は含まなかった。このペミカンは蛋白質の割合が高すぎて犬の健康に良くないことが後に確かめられた。[1]

アーネスト・シャクルトン帝国南極横断探検隊1914年-1916年)の隊員たちは、船が氷塊に阻まれ身動きが取れなくなった時に犬用のペミカンを食べて生き延びた。[2]

その他のペミカン[編集]

コンアグラ・フーズネブラスカ州オマハで製造販売しているビーフジャーキーと、カリフォルニア州オールバニのインターマウンテン・トレーディング社(Intermountain Trading Co. Ltd.)が製造販売しているスナックバー型の携帯食に「ペミカン」というブランド名が使用されているが、どちらも上記の伝統的なペミカンとは異なる食品である。

カカオ豆の脂肪分であるカカオバターから作られたホワイトチョコレートを溶かし、ナッツ類とドライフルーツを混ぜ、冷やし固めた物を、ペミカンの代用品とすることができる。家庭で手軽に作ることができ、純植物性なのでベジタリアンにも適している。

脚注[編集]

  1. ^ Taylor R.J.F. "The physiology of sledge dogs", Polar Record 8 (55): 317-321 (January 1957), reprinted The Fan Hitch Volume 5, Number 2 (March 2003) [1]
  2. ^ Endurance by Alfred Lansing (McGraw Hill, 1969) Library of Congress Catalog Card Number: 58-59666

関連項目[編集]