ペナント

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東ドイツの政府用船舶旗。
長旗の掲揚(マストのいちばん上)。
海上自衛隊の長旗。
イギリス海軍の長旗。

ペナント: Pennant)は、細長いの一種。

細長い二等辺三角形をした「長三角旗」が多いが、長方形台形燕尾型(先が二又に分かれた形)などもある。いずれの場合も細長い形をしており、非常に細長いものではアスペクト比は10:1以上にもなる。普通の旗のように掲げるほか、垂らしたり、非常に細長いものは普通の旗と組み合わせて使うこともある。

ペナントはペノンPennon)とペンダント(pendant)の合成語である。ペノンは下級ナイト(knight bachelor)がにつけた長三角旗、ペンダントは軍艦が掲げる長三角旗の一種である(いずれも、三角形以外のものもある)。現在ではこれらの用語ははっきりと区別されないこともある。歴史的には、ペノンやペンダントはかなり長い旗であり、それほど長くない旗はペノンセル(pennoncel)と呼ばれたが、現在のペナントにはペノンセルくらいの長さのものもある。

船舶のペナント[編集]

船舶は、所属やメッセージなどを表すため、さまざまなペナントを使う。

ペノンストリーマー(pennon streamer)、または単にストリーマー(streamer)は、軍艦国籍を示すために掲げる非常に長大なペナントである。「長旗」と訳すこともある。必ずしも三角形とは限らず、たとえば海上自衛隊の長旗は長方形である。

国際信号書英語版(International Code of Signals; INTERCO)では、数十種類のペナントやバナー(正方形ないし長方形の旗)を使い、船舶が簡単なメッセージを伝える方法を定めている。

その他のペナント[編集]

  • 日本プロ野球メジャーリーグベースボールでは、優勝旗にペナントが使われ、優勝ペナントと呼ばれる。リーグ戦を、ペナントを奪い合うことから、ペナントレースと呼ぶ。
  • 日本の高度経済成長期には観光名所などをあしらった土産品のペナントが流行していた(携帯電話の普及と共に消費趣向が変化し1990年代より減少傾向に転じて、現在ではほぼ消滅)。1959年頃より間タオル(神奈川県鎌倉市)が土産品として企画開発し、第一段として当時完成間近だった東京タワーをあしらったペナントが発売されて人気を博したのを皮切りに、各観光地でも発売されるようになったのである[1]
  • 厳密には旗ではないが、優勝トロフィーなどに歴代の受賞記録などを書いて結びつけるのに、非常に細長い長方形のリボンが使われ、これをペナントと呼ぶ。大会を重ねていくごとに追加して結び加える。
  • 祝賀会等の室内装飾に用いられるものとしてウェーブペナントがある。

画像[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 藤田慶仁 (2023年7月20日). “昭和の定番お土産『ペナント』誕生の裏には社運を賭けた挑戦が!? 野球の「ペナントレース」語源”. ラジオ関西トピックス. ラジオ関西. 2023年9月27日閲覧。