ベントレー・ステートリムジン

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ベントレー・ステートリムジン
後部
運転席
概要
販売期間 2002年
ボディ
ボディタイプ 4ドアリムジン
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン 6,747 ccツインターボロールス・ロイス=ベントレー LシリーズV8エンジン
車両寸法
ホイールベース 3,844mm
全長 6,220mm
全幅 2,000mm
全高 1,770mm
車両重量 3,390kg
その他
生産数 2台(2002年)
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ステートリムジン英語: State Limousine )は、ベントレーが2002年に製造したイギリス王室向け公用車である。

2002年のエリザベス2世在位50周年記念に、イギリスの自動車製造者協会から進呈された。

概要[編集]

ツインターボロールス・ロイス製6,747ccV型8気筒エンジンを搭載している。これは、ベントレー・アルナージR用をベースにしており、400馬力の最高出力と85.14kgm (835N·m) の最大トルクを発生し、最高速度は210km/hである。ボディのタイプは4ドアのリムジンのみである。

ベースとなったアルナージの標準モデルよりも全長で83.0cm長く、ホイールベースで72.8cm長く、全幅で6.8cm広く、全高で25.5cm高いボディを持つ。キャビンには観音開きドアを採用しており、特に後部座席用ドアは後方へほぼ90開く。

後部座席

ボディには装甲が施されている。耐地雷構造の車体底部や防弾ガラスを備え、車内は毒ガス攻撃対策のため気密構造になっている。これらの構造と安全装備により車両重量は3,390kgに達しており、ケブラーで補強されたタイヤを履いている。

前席は革張りであるが、後席にはイギリスの織物製造業者ヒールド・ブラザーズが製造した「ラムウールサテン」が使用されている[1]。なお前席は革張り・後部座席はという組み合わせは、最高クラスのリムジンとしての様式に則った措置である[注釈 1]

この車は2台が製造されたのみで、王室や国家元首用に僅か18台しか製造されなかった1950年代のロールス・ロイス・ファントムIVよりも更に希少である。

公式行事や女王が国外訪問へ出かける時のみに使用されていた。リムジンには地元警察の車両やオートバイおよび選抜されたロンドン警視庁のパトカーが常に帯同し警護されている。女王はバルモラルサンドリンガム・ハウスに滞在中に教会へ赴くときにもこの車を使用していた。

全ての英国の御料車と同様に、このベントレーは屋根に点灯するクレストと室内から立てるペナントが取り付けてある。その他のシンボルは国賓の訪問時に使用されるが、これら2つは女王の証(Royal Standard)として取り付けられる。女王が乗車しているときは、ボンネット上のベントレーのオーナメントである「B(Flying B)」が女王のマスコットである「を退治する聖ジョージ」像に交換される。

2009年1月に、この2台をバイオ燃料で走行できるよう改修することが発表された[2]

注釈[編集]

  1. ^ リムジン馬車の一形式を由来とし、かつては馬車同様に雨ざらしというボディ形式もあり、前席は耐久性を重んじた革張りで、貴賓席である後席には滑りにくく柔らかな手触りの布を使用するのが古典的な伝統様式である。

出典[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]