ベッセルフィルタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ベッセルフィルタ: Bessel filter)は、電子工学信号処理における線形フィルタの一種で、群遅延が最大限平坦(線形位相応答)であることが特徴である。ベッセルフィルタはクロスオーバー(高音域と低音域などの分離を行う回路)によく使われる。アナログのベッセルフィルタは通過帯域ではほぼ一定の群遅延を示すので、通過帯域の信号の波形をそのまま保つことができる。名称の由来は、ドイツの数学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセル

また、特定のフィルタ回路構成を指す用語ではなく、フィルタの応答特性を指す用語であるため、ベッセルフィルタ特性(あるいはベッセル特性)と呼ぶ場合もある。

伝達関数[編集]

4次ローパス・ベッセルフィルタの利得と群遅延の図。通過帯域から除去帯域への変化は他のフィルタよりもゆるやかだが、通過帯域の群遅延はほとんど一定である。ベッセルフィルタの群遅延曲線の平坦性はゼロ周波数付近で最大となる。

ベッセル・ローパスフィルタの伝達関数は以下のようになる。

H(s) = \frac{\theta_n(0)}{\theta_n(s/\omega_0)}\,

ここで、\theta_n(s) は逆ベッセル多項式であり、これが命名の由来である。また、\omega_0遮断周波数である。

単純な例[編集]

3次ベッセル・ローパスフィルタの伝達関数は次の通り。

H(s)=\frac{15}{s^3+6s^2+15s+15}\,

利得は以下の通り。

G(\omega) = |H(j\omega)| = \frac{15}{\sqrt{\omega^6+6\omega^4+45\omega^2+225}}

位相は以下の通り。

\phi(\omega)=-\mathrm{arg}(H(j\omega))=
-\mathrm{arctan}\left(\frac{15\omega-\omega^3}{15-6\omega^2}\right)\,

すると、群遅延は以下のようになる。

D(\omega)=-\frac{d\phi}{d\omega} =
\frac{6 \omega^4+ 45 \omega^2+225}{\omega^6+6\omega^4+45\omega^2+225}

群遅延をテイラー展開すると、次のようになる。

D(\omega) = 1-\frac{\omega^6}{225}+\frac{\omega^8}{1125}+\cdots

ω=0 のとき、\omega^2\omega^4 の項がゼロになるため、非常に平坦な群遅延が得られる。3次ベッセル多項式には全部で4つの係数があるため、定義するには4つの方程式が必要とされるので、これはゼロになる最大の項数である。一方の方程式で \omega=0 で利得が変化しないことを示し、第2の方程式で \omega=\infty で利得がゼロになることを示すため、展開したとき2つの項が残るように方程式が残る必要がある。一般にn次のベッセルフィルタの群遅延を展開すると、最初の n-1 個の項はゼロとなり、\omega=0 における群遅延の平坦性が最大化する。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]