ベア級カッター

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ベア級カッター
USCGC Escanaba WMEC-907.jpg
「エスカナーバ」
船級概観
船種 WMEC: 中距離用カッター
(Medium Endurance Cutter)
就役期間 1983年 - 就役中
前級 リライアンス級カッター
次級 外洋哨戒カッター
(Offshore Patrol Cutter: OPC)
性能諸元
排水量 軽荷: 1,200 t
満載: 1,780 t
全長 82.3 m (270 ft)
全幅 11.6 m
深さ 4.3 m
機関 アルコ18V-251ディーゼルエンジン (3,650hp) 2基
スクリュープロペラ 2軸
航続距離 9,900~10,250海里
速力 19.5ノット
乗員 105名
(士官14名/曹士86名/航空要員5名)
兵装 Mk.75 76mm単装速射砲 1基
M2 12.7mm単装機銃 2基
艦載機 HH-65 ドルフィン 1機
HH-60J ジェイホーク
C4I AN/USQ-119A2 JMCIS
海軍戦術情報システム
(SCCS-270+リンク 11)
レーダー Mk.92 mod.1射撃指揮/低空警戒用 1基
AN/SPS-64(V)1 航法用 1基
AN/SPS-64(V)6 航法用 1基
電子戦
対抗手段
AN/SLQ-32電波探知装置
Mk.137 6連装デコイ発射機 2基

ベア級カッター(ベアきゅうカッター、USCG WMEC-901 Bear class)は、アメリカ沿岸警備隊の保有する中距離用カッター(USCG Medium Endurance Cutter: WMEC)である。本級の艦名は、いずれも著名なカッターからとられていることからフェイマス級 (Famous Class)とも呼ばれるほか、その全長から、270フィート級とも呼ばれている。1983年より就役を開始し、最終的に13隻が就役した。

装備[編集]

C4ISRシステム[編集]

沿岸警備隊はアメリカ海軍のC4Iシステムに準じた作戦級C4Iシステムを構築しており、本級も、その端末としてAN/USQ-119A2 JMCISを搭載している。これは、衛星通信システムとしてOTCIXSTADIXSに対応している[1]

また本級は、沿岸警備隊の艦艇としては初めて、建造された当初より統合された指揮管制システムを備えており、戦術情報処理装置としてSCCS-270(Shipboard Command Control System)、統合化船橋システムとしてCOMDAC(Command Display and Control)を備えている。SCCS-270はJMCISの技術に準拠して、フリゲート統合艦載戦術システムと同様に民生用のコンピュータを利用して構築されている。武器管制機能とは連接されていないものの、Mk.92 mod.1砲射撃指揮システム(GFCS)の低空警戒レーダーやSPS-73対水上レーダーからの情報を融合し、またMX-512端末によりリンク 11にも対応する[1]

武器システム[編集]

本級の主兵装は、艦首に備えたオート・メラーラ社製 76mmコンパクト砲(Mk.75 76mm単装速射砲) 1門である。これは極めて優れた速射能力・追随能力を有する両用速射砲で、より大型のハミルトン級カッターにも近代化改装の際に搭載されており、本級は2例目の採用となる。また、その射撃指揮にはMk.92 mod.1 GFCSが用いられているが、これには簡易的な捜索機能が付加されている。これらは、対空・対水上において、切迫した脅威に対して直接の攻撃を加え、ハード・キルを行なうことができる。また、洋上での警備任務および対テロ作戦に用いるため、ブローニングM2重機関銃2基も装備している。

一方、ソフト・キル用として、Mk 36 SRBOC急速展開欺瞞システムを備えている。これは、海軍などで標準的に使用されているもので、AN/SLQ-32電波探知装置(当初は(V)1、後に(V)2に更新)と連携し、チャフフレアを迅速に自艦の周囲に展開することができる。

このように軍艦色が強い本級ではあるが、平時は水測装置・対潜兵装を有していない。冷戦期には、有事の際に戦術曳航ソナーMk 32 短魚雷発射管、さらにLAMPS(ヘリコプターおよびデータ・リンク)を搭載し、戦闘任務に投入されることが計画されていた。しかし冷戦構造が崩壊し、正規戦よりは対テロ戦が重視されるようになった現在では、この計画はほぼ凍結されている。

航空機[編集]

本級は、艦の中部にヘリコプター甲板および伸縮式のヘリコプター格納庫を備えており、中型ヘリコプター1機を搭載・運用できる。

ここで運用される機体は、通常は警備救難用のHH-65 ドルフィン、またはHH-60J ジェイホークであり、これらのヘリコプター1機および5名の要員による分遣隊が配置されている。また、有事にはLAMPSの搭載に伴い、SH-2F/GまたはSH-60Bの運用も考慮されていた。

同型艦[編集]

「モホーク」
 
「和星」(台湾1,800t型)
# 艦名 起工 就役 母港
WMEC-901 ベア
USCGC Bear
1979年8月 1983年2月 ポーツマス
WMEC-902 タンパ
USCGC Tampa
1980年4月 1984年3月
WMEC-903 ハリエット・レーン
USCGC Harriet Lane
1980年10月 1984年9月
WMEC-904 ノースランド
USCGC Northland
1981年4月 1984年12月
WMEC-905 スペンサー
USCGC Spencer
1982年6月 1986年6月 ボストン
WMEC-906 セネカ
USCGC Seneca
1982年9月 1987年5月
WMEC-907 エスカナーバ
USCGC Escanaba
1983年4月 1987年8月
WMEC-908 タホーマ
USCGC Tahoma
1983年6月 1988年4月 キタリー
WMEC-909 キャンベル
USCGC Campbell
1984年8月 1988年8月
WMEC-910 セティス
USCGC Thetis
1989年6月 キーウェスト
WMEC-911 フォワード
USCGC Forward
1986年7月 1990年8月 ポーツマス
WMEC-912 リガーレ
USCGC Legare
WMEC-913 モホーク
USCGC Mohawk
1987年6月 1990年3月 キーウェスト

なお、中華民国行政院海岸巡防署は、本級の設計を元に、艦載機運用能力とバーターで高速艇4隻を搭載した巡視船として1,800t型巡防救難艦を建造しており、「和星」(CG101 Ho Hsing)、「偉星」(CG102 Wei Hsing)の2隻を配備している。

参考文献[編集]

関連項目[編集]