ヘンリー・ガント
ヘンリー・ローレンス・ガント(英: Henry Laurence Gantt、1861年 - 1919年11月23日)は、アメリカ合衆国の機械工学者で経営コンサルタント。1910年代にガントチャートを考案したことで知られている。ガントチャートはフーバーダムや州間高速道路といった大型公共事業で使われ、現在でもプロジェクトマネジメントの重要なツールの1つとなっている[1]。
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経歴 [編集]
メリーランド州カルバート郡に生まれる。1878年、Mcdonough School を卒業。ジョンズ・ホプキンス大学に進学し、機械工学を学ぶ傍らで教師や製図工として働いた。1887年、フレデリック・テイラーの科学的管理法のチーム(Midvale Steel およびベスレヘム・スチール)に入り、1893年まで働いた。その後、経営コンサルタントとなり、ガントチャートや "task and bonus" と呼ばれる賃金体系を設計、労働者の生産性の測定法を開発した。
ガントチャート [編集]
以下のガントチャートの解説は Herrmann (2005) に基づいている[2]。
ガントは様々な種類のチャート(図)を考案した。さらにガントはそれらの図を使って、職場の監督者が進捗状況を即座に把握できるよう設計した。最近のプロジェクトマネジメント用ソフトウェアにもそのような機能が含まれている。
Gantt (1903)[3]では、2種類の「バランス」が解説されている。man's record は、各労働者がすべき事とした事を示す。daily balance of work は全体としてのすべき作業と実際になされた作業を示す。ガントは完了まで長期間かかる作業を例として示している。daily balance は表形式で、各行が実働日に対応し、各桁に個々の作業や操作が書かれる。各桁の先頭行部分に全体として必要な作業量が記される。各マスにはその作業をその日に行った量とそれまでの累計が記される。太い水平線で作業開始日と作業完了予定日を示す。ガントによれば、これは「仕事のスケジューリングと記録の方法」である。この論文の中でガントは、各作業員に作業を割り当て、日々の作業量を記録するための production cards の利用も解説している。
Work, Wages, and Profits(初版は1916年)[4]において、ガントはスケジューリングについて論じ、特に注文製作工場の環境を論じている。彼は現場監督に毎日 "order of work" というその日にすべき仕事をリストアップしたものを渡すことを提案している。さらに、外部からの干渉を排除するための活動の重要性を論じている。しかし同時に彼は、オフィスで作られたみごとなスケジュールの多くは、無視されてしまえば無用の長物であると自身の体験を交えて警告している。
Organizing for Work(初版は1919年)[5]において、ガントは自身の考案した図について2つの原則を与えた。1つは完了までにかかった時間で作業を測定すること、もう1つは図における空白に予定作業時間で行われるべきだった作業量を記入することである。ガントの進捗図では、一年を月ごとに分け、細い行で各月の生産された量を表し、太い行で一年で生産された量を表す。各行は特定の契約者からの注文に対応し、作業開始月と完了月が示される。これは今日使われているガントチャートに近い。
machine record chart と man record chart は、毎日の実働時間と一週間の累計を示す。図の各行は個々の機械や作業員に対応する。ただし、この図ではどの作業が実施されたのかは記されない。
プロセスの相互依存関係を示し、生産スケジュールを視覚化する手法を最初に考案したのは Karol Adamiecki(1896年)であり、1909年に "Przeglad Techniczny" No 17, 18, 19, 20 で発表された。Adamiecki は1931年にそれら図表(Harmonogram または Harmonograf)を一般に紹介する記事をいくつか書いた。その後若干の修正を経て Adamiecki の図をガントチャートと呼ぶことが一般的となった。
貢献 [編集]
ヘンリー・ガントの生産管理における貢献としては、次のものがある。
- ガントチャート: 今日でも管理ツールとして重要である。作業スケジュールの計画や制御を視覚的に行え、プロジェクトの進捗を記録できる。ガントチャートをより進化させたものとして Program Evaluation and Review Technique (PERT) がある。
- 産業能率(Industrial Efficiency): 作業をあらゆる観点で科学的に分析することで求められる。経営の役割は、偶然や事故を排除してシステムを効率化することである。
- Task And Bonus システム: ガントは、従業員の効率改善の程度によってマネージャへのボーナスを支給するという制度を提案した。
- ビジネスの社会的責任: ガントは、企業が社会福祉への義務を負っていると考えていた。
アメリカ機械工学会(ASME)は、ヘンリー・ガントの功績を讃え、彼の名を冠したメダルを毎年授与している[6]。
脚注 [編集]
- ^ Gantt chart history 2007年4月7日閲覧
- ^ Herrmann, Jeffrey W., History of Decision-Making Tools for Production Scheduling, Proceedings of the 2005 Multidisciplinary Conference on Scheduling: Theory and Applications, New York, July 18-21, 2005.
- ^ Gantt, Henry L., A graphical daily balance in manufacture, Transactions of the American Society of Mechanical Engineers, Volume XXIV, pages 1322-1336, 1903.
- ^ Gantt, Henry L., Work, Wages, and Profits, second edition, Engineering Magazine Co., New York, 1916. Reprinted by Hive Publishing Company, Easton, Maryland, 1973.
- ^ Gantt, Henry L., Organizing for Work, Harcourt, Brace, and Howe, New York, 1919. Reprinted by Hive Publishing Company, Easton, Maryland, 1973.
- ^ ASME Henry Laurence Gantt Medal 2007年4月7日閲覧