ヘッケ作用素

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ヘッケ作用素(-さようそ、Hecke operator)とは、ウェイトk正則保型形式に作用する作用素のことである。モーデル作用素を拡張して定義される。

定義[編集]

fをウェイトkの正則保型形式M_{k}(\Gamma)と仮定する。 (ただし、\Gamma := SL_2(Z)である。) このとき、m\ge 1に対して、ヘッケ作用素T_k(m): M_{k}(\Gamma)\rightarrow M_{k}(\Gamma)は、

\begin{align}(T_k (m)f)(z) &:= m^{k-1}\sum_{ad=m}\sum^{d-1}_{b=0}d^{-k}f\left(\frac{az+b}{d}\right)\\
&=\sum^\infty_{n=0}\left(\sum_{d|(m,n)}d^{k-1}a\left(\frac{mn}{d^2}, f\right)\right)q^n\\
&=\sigma_{k-1}(m) a(0,f) + \sum^\infty_{n=1}\left(\sum_{d|(m,n)}d^{k-1}a\left(\frac{mn}{d^2}, f\right)\right)q^n,\end{align}

によって定義される [1]。 ただし、\sigma_{k}(n) := \sum_{d|n}d^k[2]、また、a(n,f)は 正則保型形式fのフーリエ係数である[3]

f = \sum^\infty_{n=0} a(n,f) q^n.

ヘッケ環[編集]

作用素T_{k}(m)は関係式

T_{k}(m) T_{k}(n) = T_{k}(n) T_{k} (m) = \sum_{d|(m,n)}d^{k-1} T_{k}\left(\frac{mn}{d^2}\right),

を満足するので、\mathbb{T}_{k}:=\mathbb{C}\left[T_{k}(m)|m=1,2\cdots\right]は可換な\mathbb{C} 代数を構成する[1]。この\mathbb{T}_{k}ヘッケ環と呼ぶ。 (ただし、ヘッケ環は、制限を加えたものや、局所的な類似など他にもいろいろとある[1]。)

出典[編集]

  1. ^ a b c 黒川信重、栗原将人、斎藤毅共著「数論Ⅱ:岩澤理論と保型形式」岩波書店、2005年、ISBN 4-00-005528-3, p.454.
  2. ^ 黒川他「数論Ⅱ」p.390.
  3. ^ 黒川他「数論Ⅱ」p.451.