プロジェクト:アウトリーチ/GLAM/Wittylama

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会議録

これは2011年11月13日に京都で行われたGLAMプロジェクトに関する講演の会議録です。

講演会[編集]

演題 
GLAM meets MLAK and Lab
- ウィキペディアとGLAM(美術館、図書館、文書館、博物館など)との連携の可能性 -
日時 
2011-11-13T15:00+09:00
会場 
花園大学拈花館
花園大学(京都)拈花館(ねんげかん)202教室
講演者
Liam Wyatt
GLAMとウィキペディアの連携を積極的に模索するウィキペディアン。2010年に大英博物館の"Volunteer Wikipedian in Residence"となり、現在は ウィキメディア財団の特別研究(Cultural Parnerships Fellow)として活動している。
Ks aka 98
日本語版のアウトリーチ活動に詳しいウィキペディアン。
参加者数 
約15名

概要[編集]

Ks aka 98 講演 
ウィキメディアとMLAKの近況、連携の必要性について
Liam Wyatt 講演 
GLAM-wikiについて
懇親会 
市街地の居酒屋にて歓談。

Ks aka 98[編集]

日本のウィキメディアの最近の活動[編集]

WCJ2009[1] 
Wikimedia Conference Japan 2009 Logo.png
クリエイティブ・コモンズ
WCJ2010 
Ryan LaneによるTech関連講演やアウトリーチなど

MLAKの近況[編集]

saveMLAK[2] 
MLAK(ミュージアムライブラリーアーカイブ公民館)被災状況の共有把握など。Semantic MediaWikiを利用したが、使い方がわからずとっつきにくいとのことで、うきうきウィキ祭りが開催され、そこにウィキペディアな人が参加。メディアウィキの使い方を解説した。
saveMLAKでわかったこと
  • リストがない(博物館、公民館(自治体統廃合のせい))→混乱
  • 博物館内図書館をリストのどこに入れるか
  • MLAK間で「常識」が違ったことがわかった。
  • メディアウィキの編集が難しい、抵抗感があった。
  • 所属機関から外での活動に制限があることがあった。

ウィキペディア日本語版近況「WAQWAQプロジェクト」[編集]

準専門家~専門家によるjawp編集キャンペーン「WAQWAQプロジェクト:Wikipedia日本語版を充実させる2ヶ月間

『GLAM meets MLAK+Lab』 
公民館が入る理由は現地史料を持っているから。研究室が入る理由は、研究室には例えば標本でいえば、標本固定のMLAな要素が全部詰まっているから。
ウィキペディアウィキメディア 
ウィキペディアは百科事典。ウィキメディアはウィキペディアを含むmovementで、字引のウィクショナリーやファイル・アーカイブのコモンズ等の事業を含む。
参加方法は? 
マニアなら記事書き、カメラ持ちなら写真撮り、語学堪能なら翻訳、コード書けるならコード書くなど、各自のスキルや状況でできる・やりたいことから、参加する。
なぜオンラインだけで済まないのか 
ウィキペディアには「検証可能性」という方針があり、記事の根拠となる文献やメディアが必要となる。よって、オフラインでの撮影、既刊資料が必要となる。
日本における関連動向 
中小レポート, 長尾構想, ラーニングコモンズ(大学図書館), カーリル, 文化複合館「千代田区日比谷図書文化館」など
ウィキペディア日本語版の記事紹介「国立国会図書館

「人が集まる場所」を作ることが大事。

うきうきウィキ祭り 
saveMLAKのイベント。今年4月24日、特定時間帯にみんなでアクセスしてウィキの使い方を共有した。
出典をつけよう大会 
来年1月~3月いっぱいに開催。場所は東京、詳細は未定。

ウィキメディアとMLAKの連携の必要性[編集]

デジタルアーカイブを作った施設 
「保存する」と「展示する」は相反することだったが、デジタル化でこれがある程度解消される。

現状のデジタル・アーカイブの問題点[編集]

  • 施設ごとにデータベースが作られていて、検索がイマイチ
  • 横断検索もあるけど限度がある
  • 例えば能面について知りたいとき、3箇所に行かなければいけないのはこまる
引札を例に 
画像に出会いたい人がその画像に出会うために、どういう経路を辿るか。現在では検索してもひっかからない。ウィキペディアの記事に画像が掲載されることで、「引札」で検索した人が、その画像にめぐり合うことができる。死蔵せずに済む、保存資料が役に立てる瞬間。デジタルのオリジナルまで戻れることが大切(誤りを防ぐ)。ウィキメディアコモンズのdescriptionやウィキペディアの記事が、画像への仲立ちとなれる。
デジタル化を、ウィキメディア・コモンズでやりませんか? 
ボランティアが喜び勇んでデジタル化しに赴くし、サーバー管理費等の費用が浮きますよ。世界中でコピー保管されているので、バックアップ体制も抜群に良い。
  • 保存方法の解説
  • カテゴリの解説
  • jawpのカテゴリを、リッテル・ナビでカテゴリを整理、など。
英語圏の人にも日本の文化財を見てもらえる;ウィキペディア項目「能面」を例に 
「能面」というウィキペディアの記事自体が、画像へのパス(小路=仲立ち)になる。ウィキペディア英語版でも画像が掲載されており(en:Noh#Masks)、英語圏の人にも、日本の文化財を見てもらえる。
  • ウィキペディア・ヴィジュアライザーの紹介
  • リッテル・ナビ[3]の紹介
画像探索者の検索の流れ 
グーグル→ウィキペディア→画像・情報→資料・研究・施設・・・

実際にウィキメディアを使ってMLAKの資料をデジタル化するにあたって課題となる事項[編集]

権利処理
  • A: 企業アーカイブ→企業秘密は出せない
  • M, A: 個人情報、著作権、近現代資料に注意が必要。
  • Lab: 特許、生息地情報に注意が必要。
  • L, G: 著作権。
小さな施設では、使用料を取る貴重な所蔵品もある。けども。
そうでないものもたくさんあるのに、フリーで流通させていない、死蔵品がいっぱいある。それらのデジタル化にウィキメディアを利用する手もある。

顔真卿自書建中告身帖事件(判例)[編集]

顔真卿自書建中告身帖事件は、所有権と著作権の関係を明らかにした判例。

  1. カメラマンに撮影を許可
  2. 本を作った
  3. 博物館が差し止めようとした
  4. 最高裁は認めず

パブリックドメインなものは、一度世に出たらそれの流通を差し止めることはできない。

ウィキペディア日本語版のMLAK関係記事が薄い 
項目「公文書」がリダイレクトだったりする。今日お集まりの皆さんに書いてもらえれば幸い。

質疑応答[編集]

Q. 著作権以外への法的懸念をクリアするには?国土地理院の地図では、測量法の制限などもあるが。
A. 公開する時点で、公開する側が明らかにするのが理想。広めないでくださいと書いたり。施設にはいろんな資料がある。どうつかってもいいものもあれば、慎重に扱わないといけないものもある。慎重に扱わないものについては、コモンズには挙げないほうがいいけど、どうつかってもいいものについては提供して欲しい。どうつかってもいいものとそうでないものの線引きは、提供者が定めて、行なって欲しい。

ほか質疑応答多数。


Liam Wyatt[編集]

出席者の活発な質問に答えるLiam氏(左は通訳の方)

15:44~

このスライドに日本語関連情報を加味したものを提示しながら講演 (cf. Wikipedia & GLAMs, Europeana Keynote 14 October, 2010 Liam Wyatt )
  • 最初に地図。ウィキメディアの状況を地図で表示。
  • 日本語でのコンテンツをもっと良くしたい
ウィキペディア英語版の秀逸な記事紹介 
一つの主題で持って幾つかの記事がある(秀逸な分野)。すばらしい品質を保っている記事の一覧として、日本の国宝カテゴリを表示した後、秀逸な一覧として「日本の寺一覧」を表示。
GLAM-wikiとは
GLAM-wikiロゴ
  • G:ギャラリー
  • L:ライブラリー
  • A:アーカイブ(公文書館)
  • M:ミュージアム
  • glamwikiサイト紹介
ウィキペディアには姉妹プロジェクトがある 
コモンズ、ウィキソース、ウィキブックス、ウィクショナリー…。

Why you need to know. 知っ得情報[編集]

1. ウィキペディアは客を見つけに行くのに最も速い方法[編集]

  • いろんな図書館に行かずとも、ウィキペディアならそこ一箇所で全部見られる。
  • グーグル検索でもトップに来るから、客は真っ先に来る。
  • 「コンテクスト化する」がキーワード。

2. ウィキメディアはグローバルなコミュニティ[編集]

世界へアプローチできる!

  • アレクサンドリアのパーティー写真
  • エジプト人 オーストラリア人 世界的な文化交流が大事
  • wikipediaは280以上の言語で提供されている
  • 少数民族の言語でウィキペディアが提供できていることは大事
  • 教科書として。英語の教科書でなく、自分の民族の言語で勉強できるのは、ウィキペディア各国語版が大事。
  • 英語版記事の翻訳もあるけど、1から書き下ろした記事もある。
  • 10周年を祝った写真

3. ウィキメディアは大きく、そして小さい[編集]

big 
閲覧者数が世界第5位。日本のインターネット人口の40%がウィキペディアにアクセスしたことがある。途上国でのアクセスの伸びが著しい。
small
広告ゼロ。実は知られていない。
広告を載せない理由
  1. 公益財団だから
  2. 知識の独立性: 企業圧力などの影響を避ける。どんな企業からも、記事内容の支持を受けたくない。広告主を持つニュース・メディアよりも、ウィキペディアが信頼されるのは、ここに理由があると思う
毎月5回以上記事を編集している利用者数は10万人 
bigとも思えるだろうし、意外とsmallだと思うかもしれない。
small - ウィキメディア財団の職員 
80人
日本には財団職員はいない 
日本は完全ボランティア。財団は技術面と法律面の職員のみ。

4. フリー[編集]

財団には4つの使命がある。

フリーとは
  1. 読み手としてフリーである
  2. 自由である
  3. コピーできる
  4. 配布できる
  5. 改変できる
  6. 売ることもできる
英語「free」には2つの意味がある:無料と自由
  1. 1 ウィキペディアは無料
  2. 2 ウィキペディアは自由に使える コピーとか
自由利用Reuseの例
グーグルマップが地図でウィキペディア記事を引用。facebookもウィキペディアを引用。グーグルマップ、facebook、両者とも料金を払う必要がない。使用前に断る必要もなし、無断利用ok。shareは幼稚園で最初に習う概念で、とても基本的で大切なことだと思う。

free x 3 speech[編集]

ウィキメディアは、スピーチの自由(言論の自由)に立つ。 ウィキペディアにはどの国からも自由にアクセスできる。嫌がる国もある。

ウィキメディアとGLAM連携例[編集]

L: ライブラリー[編集]

図書館とやっているプロジェクトを紹介

フランス国立図書館[編集]

フランス国立図書館(BNF)では、古い文書のデジタル化にウィキメディアンが協力。

  1. 古文書をスキャニングしたかった
  2. 古すぎてOCR文字認識できず→コモンズではなく、ウィキソースへ
  • ウィキメディアは、手入力して、フリーコンテントを得た。
  • フランス国立図書館はテキスト化費用が浮いた
英国図書館でのedit-a-thon大会[編集]

英国図書館では毎月edit-a-thon編集マラソンを実施。司書の競技会。来館者が欲する情報を出せるかどうか競技。(Editathon, British Library)

オーストラリア国立図書館[編集]

オーストラリア国立図書館では、新聞アーカイブの書誌情報エクスポートに、ウィキペディアのcite newsテンプレートによる出力を付けてもらった。

新聞は検索が難しい。記事のテキストは主題と同じではない。図書館のデジタル化新聞のサイトに、ウィキペディア形式でのサイテーション・コード出力を追加してもらった。ウィキペディアからリンクを貼りやすくなった。ウィキペディアで引用する際のテンプレート形式での出力を、美術館側の出力に加えてもらった。

博物館[編集]

Liam個人の経験[編集]
大英博物館 ウィキペディアンin residence 
いろんなことができるんだぞとやってきた。ウィキペディアと博物館の間の障壁なんかないことを見せてきた。(en:Wikipedia:GLAM/BM/Wikipedian in Residence
大英博物館 backstage pass 博物館の裏を見る会 
逆に、その日の午後に、ウィキペディアの舞台裏を見せてもらった。ウィキメディアン側・GLAM側双方の、お互いの人格的な理解が深まった。
GLAM-wiki運動は、お見合いみたいなもの one-on-one collaborations 
個々のウィキペディアンが個々の施設と折衝することができる。GLAMの職員がウィキペディアンを求めることもできる。
Hoxne challange[編集]

ある特定のトピックを決めて、その記事を書いて競技会 1週間。

大英博物館におけるHoxne Hoard(ホクスン財宝)の展示ケース。発掘当時の内部の様子を再現している

トピックとしてHoxne Hoard(ホクスン財宝)を選んだ。ローマ帝国時代の金や銀や宝石がホクスンで見つかったことについてである。ウィキペディアンとGLAM職員を缶詰にして、記事を書かせた。ウィキペディア記事を書いている様子のビデオを放映紹介(ウィキペディア執筆の様子を撮影したビデオとしては、おそらく唯一とのこと)。重要なのは、出来上がったウィキペディアの記事の脚注で挙げられている参考文献は、その美術館の職員が書いた書籍であるということ。(en:Wikipedia:GLAM/BM/Hoxne challenge

3つめの例 school translations[編集]

フランスの学校で英語の授業の一環として。

  1. 大英博物館の資料 2つについて、ウィキペディアの項目をとりあげた。
  2. 学生にそれをフランス語に翻訳してもらう。
  3. それから大英博物館に行って、学生が現物を見た。
効果
  1. ウィキペディアに書きこむとみんなに見てもらえるから、学生の意欲もかなり良かった。
  2. 翻訳で愛着をもった博物館資料を、まじまじと真剣に見ていた。
  • residencies in 2011
QRペディア[編集]
QRペディアのQRコードが付された博物館の解説

QRペディア codesとは、ウィキペディアの記事を閲覧者の選択した言語で提供するQRコードを活用したモバイル・ウェブシステム。

QRコード 携帯が日本語モードだと日本語サイトに、英語モードだと英語版ウィキペディアへのリンクとなる。翻訳でウィキペディア記事も増強 40資料 小さい博物館で、いろいろな言語での解説を書くことが難しかったので、このようなシステムが開発された。

デジタル・ボランティアにウィキメディアンを[編集]
GLAMのボランティアに、デジタル・ボランティアを加えませんか? 
MLAで独自のボランティアを持っているところはあると思う。そこに、デジタル版のボランティアとして、ウィキメディアンはいませんか?と聞くと、いませんと言われる。すごく役に立ちますよ、と話すと、施設の人は衝撃を受ける。ぜひ衝撃を受けて、ウィキメディアンを活用して欲しい。

GLAM-wiki[編集]

詳細はwebで 
GLAM-wikiのURLを表示。http://outreach.wikimedia.org/wiki/GLAM

ウィキメディア関係者挨拶[編集]

来場していた関西ウィキメディアユーザー会関係者が自己紹介。今回の講演開催スタッフへの謝辞。関西ウィキメディア勉強会の宣伝。図書館や博物館情報の発信に、ウィキメディアンは役立てる、ぜひ活用して欲しいとの考えを示した。

質疑応答[編集]

Q. GLAMは何の略?
A. ギャラリー、ライブラリー、アーカイブ、ミュージアム。動物園、植物園、放送機関も含む。美術に関する活動ならなんでも。
Q. なぜMLAでなくGLAMという単語を使うのか?
A. Liam:GLAM発祥の詳細はわからないが、ウィキメディアのなかで広げたのはたぶん私。ギャラリーは国によって指すものが違う。日本では画廊だけど、オーストラリア等では「ナショナルギャラリー」があるし、意味合いがだいぶ異なる。GLAMという呼び名はかわいいので人気。
会場より:Industryなども加えた「MALUI」という呼称もある。
ドイツの新しいプロジェクト 
ウィキデータ 発足検討中。セマンティクで構造的なもの。http://meta.wikimedia.org/wiki/Wikidata http://dbpedia.org/ 。ISBNコレクションなど、各国が囲っているものを共有化したい。
Q. ウィキメディアとGLAM間の障壁を乗り越えるにはどうすればいいか?
A. ボランティアであり、ウィキペディアンの若い人が意欲を証明してほしい。
Q. ウィキメディアに参加するにあたって、注意点は?
A. 検証可能性について。ウィキペディアはあなたが誰か気にしない。脚注が大事。検証文献が大事。「俺は真実を知ってる」ではダメ。専門家だからといって信用してもらえない。「俺のこの本に書いてあるから」はいいけど、「おれ専門家だから信じろ」は通用しない。
最後にLiamより 
デジタル化にウィキメディアンの力を使えば、スタッフはなにもしなくていい。ウィキペディアを勉強しなくてはいけないわけではないことを理解してもらうのが大事。

締め[編集]

花園大学後藤さん挨拶(会場提供者) 
懇親会等について
ks aka 98さん挨拶

以上