プレイステーション・ポータブルの自作ソフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プレイステーション・ポータブルの自作ソフト(PlayStation Portable homebrew)とは、プレイステーション・ポータブル(PSP)上で動作する自作ソフトのこと。PSPの販売、サポートの担当であるソニー・コンピュータエンタテイメント(SCE)社がPSP上での動作を推奨していないために非正規ソフトとも言われる。本項では同時に、カスタムファームウェア(CFW)についても記述する。
目次 |
[編集] 概要
PSPの初期のファームウェアには、未署名コードが実行できてしまうという致命的なセキュリティホールが存在したため、世界中の有志開発者たちにより、このセキュリティホールを衝いて実行されるSCE非公認の自作ソフトが開発され、そのセキュリティホールが修正された現在でも、少なからず様々なゲームソフトやツールなどがリリースされている。[1]
旧来までの家庭用携帯ゲーム機では外部のツールやソフトウェアに頼らず非常に安易に独自のプログラムを作動させる事ができる製品はいままで存在していなかったが、本体であるPSPの基本性能の高さとシステムの柔軟性、さらに発見されたセキュリティホールとの相乗効果と相まって、PSP本体の解析と改造が加速した。
製作されたソフトは簡素なパズルゲームに始まり、さらに高度なファミリーコンピュータやメガドライブのエミュレータソフト、JPEG等の画像ファイル閲覧に特化したビューア、本体内蔵のフラッシュプレイヤーの制約により直接再生・閲覧に対応していないYouTube等の動画サイトを再生できるソフト[2]、簡素ながら絵を描く事のできるペイントツールなど、多用なプログラムが動作し、更にはリッピングしたPSP専用のコピーゲームソフトを起動できるようになるなど、リリースされているソフトウェアのジャンルや用途は幅広い。
しかし、PSPの製造元であるSCEはこの行為を容認しておらず、定期的に行われるシステムソフトウェアのアップデートや本体を構成する基板を改良する事で、機能追加の他に、このような非正規なプログラムの実行やインストールを阻止するようなセキュリティ面での改善が施されていった。そのため、新規に製造されるPSPの全ては出荷時において最新のシステムソフトウェアがインストールされ、自作された非正規のプログラムが動作しないよう対策された状態で出荷されている。そのため、上記に記載されているような自作プログラムを動作させるためには、正規のシステムソフトウェアではなく後述する自作プログラムの動作のためにシステムを改変したPSP本体が必要となる。
このようなプログラムの実行や改変、インストールはPSPの発売元であり修理保証等を一括して担当しているSCEによって定義された使用許諾契約書[3]に違反する行為であるため、これらのプログラムを導入・使用、もしくはそれらを行った形跡のあるPSP本体はSCEによるメーカー保証および修理の対象外になるとされている。
しかし純正のファームウェアで上書きし、正規の動作を行うように戻す方法等も発見・利用されており[4]、システムを戻されてしまうと外側を見て、普通に起動した程度では本当に改造された物なのか、純正のものなのかの判別は難しい。しかし、純正のシステムソフトウェアに戻したとしてもシステムの改造履歴が残っているらしく、修理を断られたという報告も散見されている。基本的にユーザーはその本体が以前に改造されたかどうかを知る術は無く、中古品で購入する場合は注意が必要である。
また、著作権法上「プログラムの著作物」としての保護を受けている公式システムソフトウェアに対し、プログラムの改変行為やユーティリティ(外部プログラム・ツール)を用いることにより、プログラム上において本来予定されていた範囲を超えた動作をさせることは、「著作者の意に反して著作物を改変することとなり、同一性保持権の侵害となり法律に違反する行為となる」(著作権法20条)という法律的解釈を主張する者もいるが、コンピュータプログラムに関する同一性保持権の主張はその性質上難しいとされている。詳しくは同項目を参照されたし。
現在のところ個人の使用の範囲に限って(自分でPSPを改造し、自分やその身内だけで楽しむ事)法的措置をとられたという報道は無いが、改造したPSP本体をネットオークションで転売していた男が商標法違反で逮捕されたケースは存在する。これらのことから一般的にインターネット上のPSPに関しての情報を扱うコミュニティでは中古転売を含め、破損や公式の修理が出来なくなるなどのリスクについて「自作プログラムの実行やインストールは全て使用者の自己責任」とされている。
[編集] 開発環境
PSPでの自作ソフト開発環境は、主にプレイステーション2の開発環境を提供していたPS2DEV.ORGによって提供されている。ほとんどのソフトウェアは、この環境で開発されたものである。
- psptoolchain
- PSPでの自作ソフト開発環境のtoolchain。Binutils、GCC、GDB、Newlib(標準Cライブラリ)、PSPSDKで構成されている。
- PSP Software Development Kit(PSPSDK)
- PSPのAPIを利用するためのヘッダファイル、ライブラリ、ツール、サンプルを含んでいるSDK。
[編集] ダウングレード
初期の公式システムソフトウェア1.50には前述の通り、自作のプログラムを動作できるバグが存在していた。しかしPSPのシステムソフトウェアは最新の物が出るたびに店頭へ出荷される新品には常に最新の物が導入されており、加えて一度でもバージョンアップさせると普通の手段では以前のシステムの状態に戻す事はできず、様々な手段を用いてシステムソフトウェアのダウングレードが試みられた。また、こうしたダウングレードは後述するカスタムファームウェアの導入にも必要なプロセスの一つであった。ちなみに、バージョン毎に手順や手段が異なり、型番が2000のPSPの一部と3000のPSPにはシステムの制約上、ダウングレード作業が不可能である。
- メモリースティックを用いたダウングレード(2.00/2.01→1.50)(2.71→1.50)(2.80→1.50)(1.50→ 1.0)
- GTA:LCSを用いたダウングレード(3.03→1.50)(2.50/2.60→1.50)
- Grand Theft Auto : Liberty City Storiesというゲームソフトの初期ロットバージョンを用いてダウングレードする方法。2006年4月以降のバージョンでは修正されており[7]、同ソフトを用いたダウングレードは不可能になっている。
- ルミネスを用いたダウングレード(3.50→1.50)(3.11→1.50)
- パンドラバッテリーを用いたダウングレード(全てのバージョン→1.50)
- 詳しくは後述する「カスタムファームウェア」の項を参照。一部を除いたほぼすべてのPSPのシステムソフトウェアをバージョンに関係なく1.50にまでダウングレードできる。
[編集] カスタムファームウェア
カスタムファームウェア(Custom firmware)とは、広義ではPSPで動作する公式ファームウェアを改造した非公式ファームウェアのこと。狭義では、Dark AleXが製作したカスタムファームウェアを指す。これは、Dark AleX氏が最初にカスタムファームウェアの概念を示した事や過去にDark AleX以外が製作したカスタムファームウェアが普及しなかったためである。CFW(Custom FirmWare)と略される。
なお、SCEはPSPの制御を行うソフトウェアをシステムソフトウェアと呼称しているが、自作ソフト開発のコミュニティではカスタムファームウェアの存在によりファームウェアと呼称される。
[編集] カスタムファームウェアの導入
PSPの旧型(1000番系)と中期型(2000番系)では導入方法が若干異なる場合があるが、大抵は以下の物が準備されていないと導入することは出来ない。システムソフトウェアのバージョンが2.80以下の場合で無い限り、PSP本体だけではカスタムファームウェアを導入することは不可能である。
また、UMDスロットの裏に記載されている基板のナンバーが"TA-082"であるPSP(PSP-1000)の場合、CFW等の導入時に不具合が起こることが確認されており、この不具合が発生しないよう更なる改変が必要となる。また、2008年7月中旬以降に出荷された外箱シールのシリアルナンバーの頭に記載されている文字が「G」となっている物については、CPUの改良によって物理的に対策処理が施されており、初期ファームウェアがVer4.00以上の場合はパンドラバッテリーでのCFW導入は不可能となっている[9]。しかし、2009年5月に公開されたCFWEnabler 1.0 for ChickHENにより、TA-088 v3基板上でのISOの起動に成功した
加えて、現在最新機種である「PSP-3000」シリーズでは、2000番系シリーズの対策基盤よりも改良されたより強固な対策が行われており、ダウングレードもカスタムファームウェアを導入する事もできない状態である。ただ、Custom Firmware 5.03GEN-A for HENにより、TA-090 v2基板上でのISOの起動に成功した。
[編集] パンドラバッテリー
SCE純正の電池パックには回路が組み込まれており、この回路をシステム的に改変することで、システムの深部を強制的に変更できる、「サービスモード」を起動させる事ができるキーとなる。前述の通り、通常純正のシステムソフトウェアはバージョンダウンが不可能であるが、サービスモードを利用し、強制的にファームウェアのダウングレードを行った上でカスタムファームウェアを導入するか、そのままカスタムファームウェアを導入するかという形になる。
なお、パンドラバッテリー(Pandora`s Battery)とはジグキックバッテリー(JigKick Battery)とマジックメモリースティック(Magic Memory Stick)の二つセットでの呼び名である。 しかし、サービスモードを起動させるためのバッテリー単体で「パンドラバッテリー」と誤用されているケースの方が圧倒的に多い傾向にあるため、「パンドラバッテリー=ジグキックバッテリー」で意味が通じる場合が大半である(日本国内に限っての話ではあるが)。また、ジグキックバッテリーその他にも「ツールバッテリー」「サービスモードバッテリー」等と呼ばれることもあるが、いずれも基本的な動作原理などは同一である。
ちなみにパンドラバッテリーを用いる事で、システムソフトウェアのアップデートやカスタムファームウェアの導入ミス、後述するPSP用のコンピュータウイルスに感染した場合などのソフトウェア的な故障に関して、内部のシステムを完全に書き換える事でユーザーが自分で修理する事が可能である。ただし、このケースの場合アフターサービス規定の「不当な修理」に該当する事になるので、以後の公式修理は望めなくなる可能性が高いので注意するべきである。
- ジグキックバッテリー(JigKick Battery)
- サービスモードを起動できるバッテリーは「ジグキックバッテリー」と呼ばれている。システムソフトウェア1.50で動作しているPSPか、カスタムファームウェアが導入されているPSPにおいてインターネット上などで配布されているソフトウェアを動作させると純正のバッテリーのシステムを変更させ、ジグキックバッテリー化することができる。
- 通常ジグキックバッテリーは、最初期のPSPかカスタムファームウェアが搭載されたPSP上でしか製作できないが、旧型PSP用(1000番台用)バッテリーパックの外装をこじ開けて内部の制御基板を若干改変する事で、物理的にジグキックバッテリー化させる事も可能である[10]。ただし、PSPに採用されているリチウムイオン二次電池のバッテリー・セルは作動電圧に非常にシビアという特性を持ち、あくまで普通に使う分に関してはまったく安全な物であるが、電気的知識と経験を持たずに制御基板に下手に弄ると、最悪バッテリー・セルが爆発する可能性が高いため大変危険である。状況化にもよるが破壊力は相当に高く、大きな火柱を上げたり爆風で手足を損壊する可能性もあるため、安全な場所が確保できない限り、安易に挑戦しない方が良い。ファームウェアによって異なる可能性があるが、上記の物理的にではなく、システム的にジグキックバッテリー化させた物は、その後再び通常のバッテリーに戻す事ができる。
- なお、純正バッテリーには内部構造の改訂版があり、最近流通しているバッテリーでは物理変更やシステム改変によるジグキック化ができなくなっている製品もあるという報告がいくつかされている。
- カスタムファームウェアを導入したり、ダウングレードするために必要なジグキックバッテリーを作るのにはカスタムファームウェアかバージョン1.50のPSPを所有していなければならないという矛盾した性質上、ジグキックバッテリーは非常に入手が困難で(物理的改造でジグキック化する方法はリスクを伴う上、後期になってから判明した)、カスタムファームウェア導入の最大の障壁であったが、最近ではジグキックバッテリーそのものがサードパーティにより生産/販売されており(純正バッテリーを改造したものではなく、初めからジグキックバッテリーとして使うことを前提に生産されたものである)、元手こそかかるが、入手は比較的安易になった。それ以前は純正バッテリーを改造した違法品(理論上は著作権法や商標法違反である)があまり目立たない場所やサイト、ネットオークションを中心に販売されていたが、一から作られた製品に関してはあくまで非公式の周辺機器という扱いになるため、最近ではAmazonや楽天等の一般的なネット通販サイトでも堂々と販売されるようになっている。
- マジックメモリースティック(Magic Memory Stick)
- マジックメモリースティックとはメモリースティックの特定領域にPSPの起動コードを書き込んだメモリースティックの事である。ジグキックバッテリーによってサービスモードが起動されたPSPは自動的にマジックメモリースティック上の起動コードを読み込み、内蔵ファームウェア以外のソフトウェアを起動する為、この起動コードにシステム改変用のソフトウェアを組み込むことで、カスタムファームウェアの導入が可能となる。
- マジックメモリースティックの内部設定は一般的なメモリースティックとは異なり特殊な状態になっているため、単純にファイルをコンピュータ上からコピーするだけでは製作することはできない。何らかの専用ソフトか、特殊な手順を踏む必要がある。また、現状ではマジックメモリースティックを作成するソフトウェアはWindows用だけが公開されており、MacintoshやLinux用ソフトウェアは公開されていない。
- マジックメモリースティックの作成には旧オフィシャルシステムソフトウェアのアップデートプログラムが必要で、一部サイトでこの内部データを含めたデータを配布している場合があるが、ソニーで公式に配布されているシステムソフトウェアは常に最新のものだけであり、これは著作者の意図に反しての二次配布であることが大半のため、著作権法違反に該当する。
- なお、マジックメモリースティックの起動にはメモリースティックの個体差などによる若干の相性問題がある為注意が必要である。
[編集] CFWの主要な開発者
- Team M33(Dark Alex)
- カスタムファームウェアの開発者。愛称はDAX。何度も引退宣言をしているが、活動を継続している。本名は、Alejandroでスペイン人の学生[11]。最初はDark Alexの名で活動していたが、SCEからの圧力と、家族からの冷たい視線から逃れるためにハンドルネームを変えてTeam M33となった。
- BOOSTER
- DeviceHookの開発者。日本人。DeviceHookの現行仕様の開発終了を宣言しているが、パンドラバッテリーの開発に参加しており、開発活動の明確な引退宣言は行っていない。[12]
- Team GEN
- フランスのハッカーチーム。Miriamが主導となって開発をしていたが、5.50GEN-AよりGENyUSが開発を引き継いでいる。3.95GENや5.02GEN-A、5.50GEN-A、5.50GEN-Bをリリースしている。
- Team OMEGA
- 5.02 OMEをリリースしている。
[編集] 主要なCFW
- M33系
- Dark Alex氏がリリースしているCFW。最新版は5.00M33-6。
- DeviceHook
- GEN系
- Team GENがリリースしているCFW。M33をアレンジしたものであり、M33からのアップデートも可能。最新版は5.50GEN-B。
- OME系
- Team OMEによりリリースされているCFW。最新版は5.02OMEである。
- TDP系
- ToboPSP TeamがリリースしているCFW。M33の派生版。オリジナルのRecovery Menuを備える。最新版は5.03TDP-4
- HX系
- _HellDashX_氏がリリースしているCFW。最新版は3.73 HXであり、数年前のものであるため、開発は中止されていると見られる。
[編集] 機能
公式ファームウェアを基本として、それに改造を行うという形をとっているため、基本的に公式ファームウェアの機能は全て利用することができる。他にも改造独特の機能もできる。
[編集] ソフトウェアのコピーおよびコピーソフトウェアの起動
- ISO、CSO(独自の圧縮形式)形式でリッピングされたUMDのイメージデータをメモリースティックから読み込む事で、ゲーム機本体にUMDを挿入する必要なくPSP専用のゲームを起動できる。UMDのデータの吸出しはカスタムファームウェアの基本機能として提供されているリッピングシステムで安易に可能である。
- メモリースティックからのゲームデータ(ISO)のロードはUMDからデータを読み込む速度より圧倒的に速く、同様に独自の圧縮ファイルであるCSOのロードも、ISOほどではないものの、UMDからの読み込み速度よりは格段に速い。さらに駆動部分が少ないため本体にかかる負荷が少なく、バッテリーの持続時間も通常の約1.5倍[要出典]になるという大きな利点がある。
- しかしながら、リッピング、動作させる方法ともに極めて容易であるが故に違法コピーが氾濫しており、特殊なルートを通じて入手されたソフトのコピーが発売日前やその直前後に流出し、インターネット等で"遊べる状態"で公開されるという事態も珍しくなく、「本体が売れているのにソフトウェアが売れない」という異常な現象が発生している原因となっている[13][14]。
- なお、日本国内に限ってゲームソフトの複製自体は個人で楽しむ範疇にある限り許されており[15]、コピーガードを回避するプログラムや機器に関しても、「販売や他者に譲渡してはならない」だけであり[16]、それを入手したり利用すること自体は違法性が無く、罪を問えないのが現状である。ただし、これらは新品、中古品問わずに正規にソフトウェアを購入し、かつそれを自身の手でコピーした場合に限られており、当然ながらインターネット上等でダウンロードしたり譲渡された物に関してはまた別である。
[編集] 自作ソフトの実行・エミュレータ
- Homebrew Enablerと呼ばれる、最新のファームウェアで自作ソフトの実行を可能にするプログラムが組み込まれている。具体的な例は様々なゲームのエミュレータなどが挙げられる。しかし、最新のファームウェアには制約が多く、自由度の高い開発ができないため、制約の無いファームウェアバージョン1.50で実行できる環境が構築されている。PSP-2000ではファームウェアバージョン1.50の環境が構築できないため、最新のファームウェアに対応した自作ソフトの開発も活発になっている。
- TimeMachineのリリースによりPSP-2000でのファームウェアバージョン3.40とバージョン1.50との混合バージョンにより1.50カーネルでの動作を可能とさせた。
[編集] リカバリーモード
- PSPの改造などにより、正式なメニューであるクロスメディアバー(XMB)が起動しなくなった場合に簡易的な回復メニューを起動することができる。またCFWの設定をかえたり、プラグインを有効にするなどのこともできる。
[編集] プラグイン
- PSPのGUIであるクロスメディアバーの拡張や、ゲームにスクリーンショットなどの機能を追加することができる。開発環境が整っているため、多くの開発者によってプラグインが公開されている。
[編集] Time Machine
Time Machine(タイムマシーン)はDark Alexが開発した、Pandora's Batteryを使って様々なPSPのファームウェアをブートできるようにするソフトウエアである。ウイルスなどによって起動不能になったPSPを起動したり、PSP-2000上で擬似的なシステムソフトウェア バージョン1.50が動作するなどの特徴がある。Time Machine v0.1でサポートされているファームウェアのバージョンは1.50(PSP-1000のみ)、1.50と3.40のミックス、3.40 OE(PSP-1000のみ)、3.60 M33(PSP-2000のみ)である。また、Time Machineではない別のツールを使って、4.01 M33、5.00 M33をメモリースティックから起動することもできる。
[編集] SCEの姿勢
概要にあるように、SCEから配信されているもの以外のプログラムを使用し、PSPのシステムソフトウェアを不正に書き換えることはシステムソフトウェア使用許諾契約に違反する。また、それを野放しにしておくのは違法コピー増加などの原因ともなるため、SCEとしても幾度か対策が行われている。
[編集] システムソフトウェア
Pandora's Batteryが発表されるまでは不正なプログラムを使用することにより、システムが書き換え可能な脆弱性は主にシステムソフトウェアによって対策されてきた。
- バージョン1.51
自作ソフトが実行できる脆弱性が修正されている。
- バージョン2.01
TIFFの脆弱性が修正されている。
- バージョン2.81
TIFFの脆弱性が修正されている。
- バージョン3.51
ルミネスを利用することにより、任意のコードが実行できる脆弱性が修正されている。
- バージョン5.50
TIFFの脆弱性が修正されている。
[編集] 基板
自作ソフト対策のために基板を変更することもあるが、単にコストの削減の場合もある。
- PSP-1000シリーズ
- TA-079
PSP-1000シリーズの最初の基板。一定の手順をふむことにより不具合なくすべてのバージョンにダウングレード可能な基板。
- TA-082
システムソフトウエアバージョン1.50が動作不可になっている。本体の特殊な領域を書き換えることにより動作可能なことが判明した。
- TA-086
PSP-1000シリーズの最新の基板。恐らくPSP-1000シリーズ最後の基板だと思われる。TA-082のような操作で1.50が動作するが、輝度調整に問題が発生する。
- PSP-2000シリーズ
- TA-085 v1
PSP-2000シリーズの最初の基板。バッテリーのシリアルナンバーは書き換え可能となっている。パンドラバッテリー発売後に出回ったため、対策基盤である可能性が危惧されたが、実際はパンドラバッテリーに対する対策はほぼ何もされていない。これは、根本的な対策をするために時間が必要だったためであるとされている。(本格的に対策されたのは、2008年7月以降のTA-088 v3基板からである)
- TA-085 v2
TA-085のマイナーチェンジ。バッテリーのシリアルが書き換え不可能になっている。
- TA-088 v1
TA-085 v2と特に変更点が見られないためTA-085 v3とも呼ばれる。バッテリーのシリアルが書き換え不可能。
- TA-088 v2
以前の手法でジグキックバッテリーが使えないようになっているが、新たな手法を用いることにより動作する。
- TA-088 v3
初めて本格的にパンドラ対策がされた基板。2008年7月中旬以降のPSP-2000に導入されており、署名のない(自作の)IPLをロードできる脆弱性が修正されている。この脆弱性を利用してカスタムファームウェアをブートしていたため、2009年5月までこの基板ではカスタムファームウェアを実行することはできなかった。しかし、2009年5月に公開されたCFWEnabler 1.0 for ChickHENにより、ISOの起動に成功した。(この基盤の見分け方としては、外箱のシリアルナンバーの冒頭の文字が「G」以降となっている。)
- TA-090 v1
TA-088 v3に次いで、2008年9月に少量出回ったとされる基板。TA-088 v3で施されていた対策がされておらず、カスタムファームウェアを導入することができるとされている。 しかし、この基板については様々な説がネット上で流れているため、詳細は確認できていない。 [17]。
- PSP-3000シリーズ
- TA-090 v2
PSP-3000シリーズの最初の基板。TA-088 v3基板の対策に加え、バッテリー読取部にも対策が施され、Magic Memory StickだけでなくJigKick Battery自体が機能せず、パンドラバッテリーは完全に対策された。2009年5月現在この基板へのカスタムファームウェアの導入は不可能である。しかし、Custom Firmware 5.03GEN-A for HENにより、CFW導入時と同程度の機能を使用することができる。
- TA-090 v3
TA-090 v2基盤に続く新型対策基板。前基板の対策に加え、新たに登場したChickHENへの対策がされているとみられている。発見されて間もないため詳しいことは不明。
[編集] カスタムファームウェアの歴史
- 2004年
- 12月12日 - PSP-1000が日本で発売。
- 2005年
- 2006年
- 2007年
- 1月4日 - 3.03 OE-A 公開。
- 1月6日 - 3.03 OE-A' 公開。
- 1月10日 - 3.03 OE-B 公開。
- 1月25日 - 3.03 OE-C 公開。
- 2月4日 - 3.10 OE-A 公開。
- 2月6日 - 3.10 OE-A' 公開。
- 4月15日 - 3.30 OE-A 公開。
- 4月20日 - 3.30 OE-A'、3.40 OE-A 公開。
- 7月3日 - Dark Alex氏 引退宣言。
- 7月14日 - 3.51 M33 公開。
- 7月30日 - 3.52 M33-2 公開。
- 8月19日 - 3.52 M33-3 公開。
- 8月21日 - 3.52 M33-4 公開。
- 8月23日 - Pandora's Batteryが公開される。
- 9月10日 - 3.60 M33 公開。
- 9月20日 - PSP-2000が日本で発売。
- 9月23日 - 3.71 M33、1.50 kernel addon for 3.71 公開。(Dark Alex氏=Team M33であることが判明)
- 10月2日 - 3.71 M33-2、1.50 kernel addon for 3.71 Ver.2 公開。
- 11月8日 - 3.71 M33-3 公開。
- 11月17日 - 3.72 HX-1、3.72 HX-2 公開。
- 12月12日 - 3.71 M33-4 公開。
- 12月13日 - 3.73 HX 公開。
- 2008年
- 1月15日 - 3.80 M33、3.80 M33-2 公開。
- 1月17日 - 3.80 M33-3、3.80 M33-4 公開。
- 1月21日 - 3.80 M33-5 公開。
- 1月31日 - 3.90 M33、1.50 kernel addon for 3.90 公開。
- 2月10日 - 1.50 kernel addon for 3.90 Ver.2 公開。
- 2月14日 - 3.90 M33-2 公開。
- 2月16日 - TimeMachine V0.1 公開。
- 4月1日 - 3.90 M33-3 公開。
- 6月2日 - 3.95 GEN 公開。
- 6月3日 - 3.95 GEN-2 公開。
- 6月28日 - 4.01 M33 公開。
- 6月29日 - 4.01 M33-2、1.50 kernel addon for 4.01 公開。
- 9月16日 - 4.05 TDP-2 公開。
- 10月16日 - PSP-3000が日本で発売。
- 10月17日 - 5.00 M33 公開。
- 10月19日 - 1.50 karnel addon for 5.00 公開。
- 10月23日 - 5.00 M33-2、5.00 M33-3 公開。
- 12月6日 - 5.00 M33-4 公開。
- 2009年
- 1月1日 - 5.02 GEN-A 公開。
- 1月6日 - PSP-3000上での自作ソフトの起動に成功。
- 1月21日 - 5.00 M33-5、5.00 M33-6 公開。
- 4月11日 - 5.03にてHello,Worldの表示に成功。
- 5月5日 -5.03 ChickHEN 公開。
- 5月25日 - CFWEnabler 1.0 for ChickHEN 公開(TA-088 v3上でのISO起動成功)
- 6月5日 - Custom Firmware 5.03GEN-A for HEN 公開(TA-090 v2(PSP-3000)上でのISO起動成功)
- 6月13日 - 5.50GEN-A 公開。5.50GEN-A導入済みPSP-2000でPlayStation Storeにアクセスできない不具合を解消するパッチ 5.50GEN-A bulid4 公開。
- 6月30日 - PlayStation Storeのアップデートにより、5.50 GEN-A以下のバージョンでアクセスできなくなった。
- 7月2日 - 5.50GEN-B 公開。
[編集] トロイの木馬
自作ソフトが実行できるということは、当然悪意を持った者がPSPを起動不能にするコードを紛れ込ませる可能性がある。そして、実際にPSPを標的としたトロイの木馬が確認されているが、2009年現在のところ、1種類しか確認されていない。
- Trojan.PSPBrick
- Trojan.PSPBrickは、PSP上でユーザーが作成したプログラムを実行可能にする「ハックツール」であると偽ったプログラム。実際には、このプログラムをPSPにインストールすると、PSPの動作に必要な4つのファイルが削除され、PSPが起動しなくなってしまう。
[編集] 脚注
- ^ QJ.net等ではPSP用の個人作成ソフトウェアが多数リリースされている。
- ^ にゃんとかちゅ~ぶ現状では直接PSP内蔵のウェブブラウザで再生できないYouTubeやその他動画サイトの再生を可能としている。リンク先は現在閲覧不可。
- ^ PSPの使用許諾契約書 SCEI.co.jp
- ^ PSP Nand バックアップ ※カスタムファームウェアで変更された内容は変更前の「nand」を上書きしたり、正規システムソフトウェアで上書きしてしまうと、ほぼの正規の状態に戻ってしまう。
- ^ 2.00→1.50 ダウングレード(eloader)~PSP究極活用
- ^ 2.80→1.50 ダウングレード(TA-079~TA-081)~PSP究極活用
- ^ 3.03→1.50 ダウングレード(GTA)~PSP究極活用
- ^ 3.50→1.50ダウングレード(N00bz)~PSP究極活用
- ^ TA-088基板CFW対策CPUが登場?Vol.8
- ^ バッテリー分解でジグキックバッテリーにする方法
- ^ BBCのインタビュー
- ^ DevHook総合 その2
- ^ 「PSPの違法行為はもう許さん!(本体が売れても)」~ Game Spark
- ^ IT-PLUS PSP好調を蝕む「パンドラバッテリー」の猛威
- ^ 著作権法 複製権~「私的使用を目的とする複製(私的使用)は許諾を得ないで行うことができます(著作権法30条)。」
- ^ 不正防止競争法 第二条十 最終改正:平成一八年六月七日法律第五五号の時点
- ^
PSPにCFW導入可能な新基板登場~TA-090基板~リンク切れ
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Dark-AleX - PSP Developer - カスタムファームウェア作者の公式サイト
- PS2DEV.ORG
- forums.ps2dev.org - 開発フォーラム
- Qj.net - ニュースサイト
- Noobzの公式サイト
- PSPnfo - BOOSTERが活動していたウィキサイト

