プッシュバック

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成田国際空港KLMオランダ航空ボーイング777がスポットからプッシュバックされる様子
松山空港でプッシュバックされる全日空

プッシュバック(: pushback)とは、航空機に特殊車両を接続してその動力により後方へ押し出して移動させることをいう。

概要[編集]

空港で旅客の乗降などのために駐機している航空機エプロンから離れて滑走路に向かう際、機体の大きさや空港建物のレイアウトの都合により、機体を後退させて移動する必要が生じる場合ある。しかし、航空機自身の動力で後退することができない場合はプッシュバックが行われる。

飛行機には、ジェットエンジン逆噴射させたり、プロペラのピッチを反転をさせたりして、自力で後退する、パワーバックが可能なものもあるが、周囲の航空機や建物、設備などに強風が当たることで損害を与える可能性があることから、一部の例を除いて空港内でのパワーバックは禁じられている。あるいは、強風によって巻き上げられた砂や塵をエンジンが吸い込むことでエンジンにダメージを与える可能性があるため、逆噴射を利用した後退を運用上認めていない航空機も多い[要出典]

用いられる特殊車両[編集]

トーイングトラクターの例
AIR DOコマツ WT250E
( GPU羽田空港配備 )
トーバーのバリエーション
ボーイング737型機に接続されたトーバー
トーバーレストラクターの例
メーカーによって前脚の抱え込み機構が異なる

プッシュバックで用いられる特殊車両は、日本では「トーイングトラクター」もしくは「トーイングカー」と呼ばれ、英語では: pushback truckあるいは: tugと呼ばれる。これらは空港内で機体を牽引して移動させる場合など、プッシュバック以外においても用いられる。大型機の牽引に用いられるものは、長さ約 7メートル、幅約 2.8メートル、自重は 40 - 50トン程、エンジン排気量は14,000 - 15,000 cc 程である。[要出典]

航空機の前脚と車両を接続する方法によって、2種類に分類することができる。

トーバー・トラクター
トーバー((: Tow bar、トウバーとも)という棒を、航空機の前脚と車両の間に接続する方式。航空機との接続点と車両との接続点との両方が屈折する。最高速度は時速15キロメートルと決められている[1]。大きな荷重が加わった際、破断することでトラクターと航空機の双方をダメージから守る、シアピン(シアボルト、ヒューズピン)が用いられる。シアピンのせん断限界は、機体ごとに異なるノーズランディングギアのストラクチャーダーメージ許容度に合わせ、数種類設定されている。同様に、ランディングギア側のトーバー取り付け部も、機種により形状が異なる場合が多い(B767、B777、DC10、A330、A340等は、オプションにより形状が統一されているエアラインもある)[要出典]。そのため、機種によりトーバーを付け替える必要があり、複数の機種をもつ航空会社は、必要な種類のトーバーを用意しなければならない。
トーバーレス・トラクター
航空機の前脚を十数センチメートル持ち上げ、トラクターが抱え込むようにして移動させる。移動速度は時速およそ30キロメートル[要出典]と、トーバーを用いるタイプに比べて速い。機種のハンドリングデータさえあればトーバーレストラクター1台でどの機種もハンドリングできるが、トラクターにも大きさが様々あり、小型なトーバーレストラクターでは大型機はハンドリングできず、また大型のトラクターであっても小型機はハンドリングができない[要出典]

いずれも運用時には飛行機側のコックピットにブレーキマンが乗り込み、トラクター側と飛行機側でブレーキをかけ合う。[要出典]機体を円滑に停止させるため、または機体へのダメージ軽減のため、この方法を採るハンドリング会社が多い。[要出典]例えばトラクター側だけでブレーキをかけた場合、飛行機の惰性によってノーズランディングギアに慣性力が集中してジャックナイフ現象を起こす場合がある[独自研究?]。その場合のためのシアピンではあるが、シアピンの破断方向によっては、トーバー本体に応力が作用し、結果的にノーズランディングギアが損傷してしまう[独自研究?]

プッシュバックを必要としない例[編集]

小規模な空港や小型機は機材やスペースの関係で自走で地上旋回して方向転換を行うことが多い。また、格安航空会社向けの空港ターミナルビルでは、コスト削減のために自走で旋回して方向転換することを前提に設計されていることがある[2]。このように航空機が自走で出発可能な空港はスポットに障害物が少ないことが前提となるので、オープンスポットになっていることが一般的であり、この場合はタラップや航空機に内蔵されたステーで乗降することになる。例外として、大阪国際空港の一部のスポットなどではターミナルに対して横向きに駐機することにより、B767クラスの飛行機でもプッシュバックすることなく、方向転換もあまり必要とせずに自力で走行開始が可能である。これらのスポットはボーディング・ブリッジを備えている等、使い勝手は他のスポットとほとんど変わらないが、例外的存在といってよい。アメリカでは MD-80ボーイング737 のような比較的小型な航空機に限っては、地方によっては逆噴射で後退することを認めている空港もある。

脚注[編集]

  1. ^ 飛行機に乗るのがおもしろくなる本 (扶桑社文庫)
  2. ^ フランクフルト・ハーン空港、パリ・ボーヴェ空港(:en:)、ロンドン・ルートン空港茨城空港関西国際空港第2ターミナルなど

関連項目[編集]