プッシュバック

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成田国際空港KLMオランダ航空ボーイング777がスポットからプッシュバックされる様子
松山空港でプッシュバックされる全日空

プッシュバックとは、航空機に特殊車両を接続してその動力により後方へ押し出して移動させることをいう。

プッシュバックを行う理由[編集]

旅客機をはじめとする航空機空港に到着すると、旅客の乗降などのためスポットに向かう。再び出発するに当たって滑走路に向かうには、後退もしくは旋回する必要がある。しかし、航空機が自身で後退もしくは旋回することはできない場合がある。具体的には次のとおり。

  • ジェットエンジン逆噴射、もしくはプロペラのピッチを反転をさせることで後退は可能なものもあるが、周囲の航空機、建物、設備等に強風が当たることで損害を与える可能性がある。そのため日本では空港内での逆噴射による後退は禁じられている。アメリカでは MD-80ボーイング737 のような比較的小型な航空機に限っては、地方によっては逆噴射で後退することを認めている空港もある。
    なお、強風によって巻き上げられた砂や塵をエンジンが吸い込むことでエンジンにダメージを与える可能性があるため、そもそも後退目的の逆噴射使用を運用限界上認めていない航空機も多い。
  • 十分な空間があればスポットで航空機が自力で地上旋回して方向転換を行うことも可能であるが、大型の航空機が旋回できるほどの十分なスペースを有するスポットは、大空港ではほとんどない。小規模な空港や小型機は機材やスペースの関係で自走で地上旋回して方向転換を行うことが多い。また、格安航空会社向けの空港ターミナルビルでは、コスト削減のために自走で旋回して方向転換することを前提に設計されていることがある[1]。このように航空機が自走で出発可能な空港はスポットに障害物が少ないことが前提となるので、オープンスポットになっていることが一般的であり、この場合はタラップや航空機に内蔵されたステーで乗降することになる。
    例外として、大阪国際空港の一部のスポットなどではターミナルに対して横向きに駐機することにより、B767クラスの飛行機でもプッシュバックすることなく、方向転換もあまり必要とせずに自力で走行開始が可能である。これらのスポットはボーディング・ブリッジを備えている等、使い勝手は他のスポットとほとんど変わらないが、例外的存在といってよい。

プッシュバックで用いられる特殊車両[編集]

トーイングトラクターの例
AIR DOコマツ WT250E
( GPU羽田空港配備 )
トーバーのバリエーション
ボーイング737型機に接続されたトーバー
トーバーレストラクターの例
メーカーによって前脚の抱え込み機構が異なる

プッシュバックで用いられる特殊車両は、日本では「トーイングトラクター」、もしくは「トーイングカー」と呼ばれる。英語ではプッシュバック・トラック (pushback truck) あるいは単にタグ (tug) と呼ばれる。これらはローディングエプロンから整備場への移動やスポット間の移動など、非営業時の牽引にも用いられる。大型機の牽引に用いられるものは、長さ約 7メートル、幅約 2.8メートル、自重は 40 - 50トン程、エンジン排気量は14,000 - 15,000 cc 程である。 航空機の前脚と車両を接続する方法によって、2 種類に分類することができる。

  • トーバー・トラクター:トーバー(Tow bar トウバーとも)という棒を、航空機の前脚に接続する。接点が車両側と航空機側の両方にあるため操作が難しい。最高速度は時速 10キロメートル程度に限られる。大きな荷重が加わった際、破断することでトラクターと航空機の双方をダメージから守る、シアピン(シアボルト、ヒューズピン)が用いられる。
  • トーバーレス・トラクター:航空機の前脚を十数センチメートル持ち上げ、トラクターが抱え込むようにして移動させる。移動速度は時速およそ 30キロメートルと、トーバーを用いるタイプに比べて速い。

どちらのハンドリングも、飛行機側のコックピットにブレーキマンが乗り込み、トラクター側と飛行機側でブレーキを掛合う。[要出典] 機体を円滑に停止させるため、または機体へのダメージ軽減のため、この方法を採るハンドリング会社が多い。 例えばトラクター側だけでブレーキをかけた場合、飛行機の惰性によってノーズランディングギアに慣性力が集中してジャックナイフ現象を起こす場合がある。 その場合のためのシアピンではあるが、シアピンの破断方向によっては、トーバー本体に応力が作用し、結果的にノーズランディングギアが損傷してしまう。

シアピンのせん断限界は、通常、各機種のノーズランディングギアのストラクチャーダーメージ許容度に合わせ、数種類設定されている。 また、ランディングギア側のトーバー取り付け部も、機種により形状が異なる場合が多い(B767、B777、DC10、A330、A340等は、オプションにより形状が統一されているエアラインもある)。 そのため、機種によりトーバーを付け替える事が必要となり、様々な形式の機種をもつエアラインは、その機種分だけトーバーの種類をそろえなければならない。

トーバーレスの場合には、機種のハンドリングデータさえあればトーバーレストラクター1台で各機種をハンドリングできるが、トラクターにも大きさが様々あり、小型なトーバーレストラクターでは大型機はハンドリングできず、また大型のトラクターであっても小型機はハンドリングができない。

トーバーを用いるトラクターに関しても大きさは、同じように関係している。

脚注[編集]

  1. ^ フランクフルト・ハーン空港、パリ・ボーヴェ空港(:en:)、ロンドン・ルートン空港茨城空港関西国際空港第2ターミナルなど

関連項目[編集]