ブロモピルビン酸

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ブロモピルビン酸
識別情報
CAS登録番号 1113-59-3
PubChem 70684
ChemSpider 63850
日化辞番号 J138.327B
ChEMBL CHEMBL177837
特性
化学式 C3H3BrO3
モル質量 166.96 g mol−1
融点

79-82 °C (水和物)

危険性
Rフレーズ R34
Sフレーズ S25 S36/37/39 S45
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ブロモピルビン酸(ブロモピルビンさん)あるいは3-ブロモピルビン酸は、ピルビン酸の合成臭素化誘導体である。本化合物は、ある種のがんに対する治療薬候補として研究されている。動物を用いた初期の研究では、ブロモピルビン酸は進行性肝がんに対して有効であることが示された[1]

ワールブルク仮説英語版によれば、ミトコンドリアにおけるエネルギー産生でグルコースあるいは脂肪酸の代謝によってアデノシン三リン酸 (ATP) の形でエネルギーのほとんどを得る正常組織とは異なり、進行性がんはグルコースを直接乳酸に代謝することでATPの大半を得る[2]。ブロモピルビン酸の作用機構には、ヘキソキナーゼII酵素の阻害によるこの後者の過程の妨害が関与している。これは、ブロモピルビン酸が乳酸の化学構造に類似しているためである[1]

ブロモピルビン酸が腫瘍部位へ直接、動脈内輸送されることは、副作用を最小化した状態で肝がんの成長を止める新たな戦略を提示している[3]

脚注[編集]

  1. ^ a b Ko YH, Pedersen PL, Geschwind JF (2001). “Glucose catabolism in the rabbit VX2 tumor model for liver cancer: characterization and targeting hexokinase”. Cancer Lett. 173 (1): 83–91. doi:10.1016/S0304-3835(01)00667-X. PMID 11578813. 
  2. ^ Pedersen PL (2007). “Warburg, me and Hexokinase 2: Multiple discoveries of key molecular events underlying one of cancers' most common phenotypes, the "Warburg Effect", i.e., elevated glycolysis in the presence of oxygen”. Journal of Bioenergetics and Biomembranes 39 (3): 211–22. doi:10.1007/s10863-007-9094-x. PMID 17879147. 
  3. ^ Geschwind JF, et al. (2002). “Novel therapy for liver cancer: direct intraarterial injection of a potent inhibitor of ATP production”. Cancer Res. 62 (14): 3909–13. PMID 12124317. 

外部リンク[編集]