ブルーフォックス・レーダー
ブルーフォックス・レーダー(英語: Blue Fox radar)は、GECマルコーニ(現在のBAEシステムズ)社が開発した火器管制レーダー。
また本項目では、改良型のブルーヴィクセン(英: Blue Vixen)、ブルーホーク(英: Blue Hawk)およびPS-05/A、また派生型のCAPTORについても取り扱う。
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[編集] ブルーフォックス
ブルーフォックス・レーダー(ARI 5982)は、ホーカー・シドレー シーハリアーFRS.1向けに開発された火器管制レーダーである。原型機であるホーカー・シドレー ハリアーは世界初の実用V/STOL機であり、攻撃機としてイギリス空軍に採用されていたものの、アビオニクスは比較的簡素なもので、レーダーも備えていなかった。イギリス海軍は艦上戦闘機に全天候性能を求めたことから、レーダーの装備は必須とされていた。
ブルーフォックス・レーダーは、基本的に、対潜哨戒型アグスタウェストランド リンクスのシースプレー・レーダーを戦闘機用に改装するとともに、商用オフザシェルフ化したものとなっている。ブルーフォックスは、中~高高度対空捜索および対水上捜索、対地マッピング能力を備えているが、ルックダウン能力とTWS能力は備えていない。動作モードとしては、捜索、攻撃、ボアサイト、トランスポンダーの4モードを持つ。また、電子妨害やクラッターの影響を排除できるよう、周波数敏捷機能も持たされている。1984年には、プロセッサや受信機の性能を向上させた改良型(非公式にブルーフォックス-Bと称される)が配備に入った。
またのちには、全般的な性能向上策を施したブルーフォックスMk.2が開発された。これは、ブルーヴィクセン・レーダーやCAPTORの開発途上で得られた技術(ECCM関連の技術2つやILIC (In Loop Interpretative Control)など)をバックフィットしたものであり、実際、ブルーヴィクセン・レーダーの完成を受けて、Mk.2改修の直後より、ブルーフォックス・レーダーは順次に運用を終了した。上記のような新技術の漏洩を防ぐため、廃棄されるブルーフォックス・レーダーは念入りに破壊された。
[編集] 搭載機種
[編集] ブルーヴィクセン
| 開発国 | |
|---|---|
| 種別 | 火器管制レーダー |
| 周波数 | X (I)バンド(8〜10 GHz) |
| 探知距離 | 80海里 (150 km)(look-up) |
| 重量 | 141.5 kg |
| 別名 | ブルーファルコン |
ブルーヴィクセン・レーダー(ARI 50019)は、ブルーフォックス・レーダーの後継として、BAe シーハリアーFA.2向けに開発された火器管制レーダーであり、当初はブルーファルコン・レーダーと称されていた。設計は全面的に刷新され、パルス・ドップラー・レーダー送信機が導入されるとともに、TWSが可能とされた。これにより、ブルーヴィクセン・レーダーには、アクティブ・レーダー・ホーミングのミサイル(AMRAAM空対空ミサイルやシーイーグル空対艦ミサイルなど)の運用能力やルックダウン・シュートダウン能力が付与された。また整備性向上のため、列線交換ユニット(LRU)も導入されている。
本レーダーは、当初、12の目標を追尾できるように要求されたが、実際には、これを上回る28の目標を追尾することができる。また動作モードとしては、高PRF・中PRF・低PRFの各モードを選択することができる。高PRFモードはルックダウンおよび高クラッター環境での捜索に使用される。低PRFモードはルックダウンでの測距および全周捜索に使用される。高PRFモードの技術は、トーネード ADV戦闘機のフォックスハンター・レーダーから導入された。
[編集] 搭載機種
- BAe シーハリアー FA.2
[編集] ブルーホーク
| 開発国 | |
|---|---|
| 就役年 | 1995年 |
| 種別 | 火器管制レーダー |
| 周波数 | X (I)バンド(8〜10 GHz) |
| PRF | 800Hz〜90KHz |
| アンテナ | 平面アレイ |
| 探知距離 | 44海里 (81 km)(look-up) 27海里 (50 km)(look-down) |
| 出力 | 8kW(送信出力) 2.5kVA (電源) |
| 重量 | 107 kg |
ブルーホーク・レーダーは、ブルーヴィクセンを元に開発された、軽量な火器管制レーダーである。4個の列線交換ユニット(LRU)を含み、プログラミング言語としてはC言語、プロセッサーとしてはMC68020が採用されている。また、HOTAS概念にも対応しているほか、データ・バスとしては、新しい大容量のMIL-STD-1553に対応している。平均故障間隔(MTBF)は250時間であるとされている。
[編集] 搭載機種
- BAe ホーク Mk.200シリーズ
[編集] PS-05/A
| 開発国 | |
|---|---|
| 就役年 | 1992年 |
| 種別 | 火器管制レーダー |
| 周波数 | X (I)バンド (8-18/20 GHz) |
| アンテナ | 平面アレイ(60 cm) |
| 出力 | 10 kW(ピーク出力) |
| 重量 | 150 kg |
PS-05/Aは、ブルーヴィクセンを元に、サーブ 39 グリペン向けとして開発された火器管制レーダーである。開発は、スウェーデンのSAAB社と共同で行なわれた。
PS-05/Aは、前任者であるPS-46/A(サーブ 37 ビゲンに搭載)の60パーセントの重量・容積でありながら、その3倍の出力を備えている。7つの列線交換ユニット(LRU)を含み、各部の重量は、アンテナ・プラットフォーム部が25kg、電源・TWT送信管部が73kg、ソフトウェア受信機部が32kg、プロセッサが23kgである。動作モードも多様であり、PRFは高・中・低の3種類から選択できる。またTWS(追尾間捜索)能力およびミサイルに対する中間誘導能力も備えている。また、戦術情報データリンク・システム(TIDLS)が組み込まれており、TADIL-Jに参加することができる。平均故障間隔(MTBF)は250時間であるとされている。
[編集] 搭載機種
[編集] CAPTOR
| 開発国 | |
|---|---|
| 就役年 | 1997年 |
| 種別 | 火器管制レーダー |
| 周波数 | X (I/J)バンド (8〜20 GHz) |
| アンテナ | 平面アレイ(直径 70 cm) |
| 探知距離 | 160キロメートル (86 nmi)(対戦闘機) 320キロメートル (170 nmi)(対大型機) |
ユーロレーダー・CAPTOR(キャプター)は、ブルーヴィクセンを元に、ユーロファイター タイフーン向けとして開発されたマルチ・モードの火器管制レーダーである。開発は、SELEX ガリレオ社、EADS社およびインドラ社の合資企業であるユーロレーダー社によって行なわれた。
ユーロファイター タイフーン トランシェ1・2では、メカニカルスキャン方式のCAPTORが搭載される[1]。アンテナ直径約70cm[1]、6個の列線交換ユニット(LRU)を含んでいる。チャンネル数:3チャンネル[2]。戦闘機レベルの大きさの目標については約160km、大型目標では約320kmの探知能力があり、同時に20個の目標の追跡が出来るという[3][4]。
トランシェ3では、フロントエンドを改良したAESA方式のキャプターEが搭載される予定であるが、導入国間に意見の相違がある為、当初計画の約45%に当るトランシェ3Aにおける搭載は見送られる見通し[5]。キャプターEは2007年5月より飛行試験を開始しており、探索距離等、巡航ミサイルのような小型目標やステルス性のある目標を探知する能力に資する性能向上を目指すといわれる[2]。
なお、CAPTORは旧称をECR90、キャプターEは別名をCAESAR(カエサル、シーザー)と言い[2][6]、2015年に実用化される予定[7]。
[編集] 搭載機種
[編集] 参考文献
- ^ a b 「軍事研究」2008年12月号 ジャパンミリタリーレビュー 石川潤一著「ユーロファーター・タイフーン」節 59-71頁
- ^ a b c 「航空ファン」2009年1月号 文林堂
- ^ 「航空情報」2009年10月号 酣燈社
- ^ 「航空ファン」2008年9月号 文林堂
- ^ 「航空ファン」2009年6月号 文林堂
- ^ 「軍事研究」2009年1月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー
- ^ 「航空ファン」2010年10月号 文林堂
- Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. ISBN 9781557502629.
- International Defense Review, 8&9 1992.