ブルークリスマス

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ブルークリスマス
監督 岡本喜八
脚本 倉本聰
製作 嶋田親一
垣内健二
森岡道夫
出演者 勝野洋
竹下景子
田中邦衛
仲代達矢
音楽 佐藤勝
主題歌 チャー(Char)
「ブルークリスマス」
撮影 木村大作
編集 黒岩義民
配給 東宝
公開 日本の旗 1978年11月23日
上映時間 133分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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ブルークリスマス』は、東宝映画製作、岡本喜八監督により、倉本聰のオリジナルシナリオ『UFOブルークリスマス』を映画化した日本映画

アメリカ映画スター・ウォーズ』によるSFX映画ブームの渦中にあって、特撮映画の本家である東宝が「特撮を一切使わないSF映画」を目指した意欲作として知られる。1978年(昭和53年)11月23日に公開された。

あらすじ[編集]

国営放送の報道部員・南は、京都で開催された国際科学者会議でUFOの実在を訴えた直後に失踪した兵藤博士の行方を追ううちに、世界各地にUFOが頻繁に現われ、それと遭遇した人間の血が青く変質する事実を知る。南はその事実を報道しようとするが、放送局に政府の圧力がかかって頓挫せざるを得なくなる。青い血の人間が世界中で急激に増加する事実を各国の政府が隠蔽する裏には、ある謀略が隠されていた。

映画化の経緯[編集]

倉本聰のオリジナルシナリオは、UFOと地球人類の遭遇そのものよりも、それによってもたらされる変化を異物として排除しようとする国家の謀略に重点を置いた政治ドラマである。その謀略は、最終的には軍事力による青い血の人間根絶で達成されるが、その過程として倉本は、放送メディアを利用した政治的プロパガンダを執拗に描く。こうした形でのメディア批判が行われた背景には、NHK大河ドラマ勝海舟』におけるスタッフとの衝突などで倉本の中に芽生えたテレビ局不信がある。倉本はこの不信感を、テレビ局を舞台にしたテレビドラマ『6羽のかもめ』(1976年)にこめて既に描いており、『ブルークリスマス』はその路線を更に推し進めた作品となっている。

倉本のシナリオは製作の前年に『キネマ旬報』に掲載されて、それを当時東宝映像の社長だった田中友幸が目に留めたことが製作の契機になっている。クレジットタイトルからは外されているが(中堅プロデューサー3人の連名)、実質的なプロデューサーは田中であると言われている。田中は東宝特撮映画のプロデューサーであると同時に、『マタンゴ』(1963年)の頃にはSF作家を招いた企画会議を開催するなど大のSFマニアとしても知られる人物で、そうした性格が東宝のお家芸である特撮とは縁遠い倉本の脚本を「SFとして面白ければ」として受け入れる英断に繋がった。

岡本喜八の抜擢は長年コンビを組んできた田中の要望によるものだったが、岡本自身UFOとの遭遇を常に夢見ているような性格だったという。岡本は映画の公開に併せて出版されたシナリオ本の序文で、倉本の脚本を「プレゼント」として喜んで受け取ったことを述懐している。また、即座にカメラマンを手配してクリスマスの実景を撮りまくった(翌年クリスマス前公開の場合は実景撮影は不可能なため)。しかし「脚本の改変一切不可」という倉本の要望には岡本も相当難色を示したという。岡本は倉本の脚本を「電話帳のように分厚く、世界各地でロケ撮影をしなきゃいけない、莫大な予算と労力がかかる脚本」であり、一時は映画よりもテレビドラマでやるべきと不平を洩らしたこともあった。しかし、倉本と協議した結果、アメリカ合衆国大統領国務長官が青い血の人間の処理を画策するホワイトハウスのシーンと、暴走族が特殊部隊に襲撃される北海道のシーン(このシーンは、倉本の暴走族への私怨だけで書かれたという)をカットすることで、岡本は映画を完成させる自信を得ることとなった。なお、一般には仲代達矢主演の第一部が岡本タッチであり、第二部の勝野洋竹下景子のラブストーリーが倉本タッチと言われているが、むしろ後者の方に岡本タッチが如実に現われていると本人は語っている。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

  • 『ブルークリスマス』
作詞 - 阿久悠
作曲 - 佐藤勝
歌 - チャー(Char)

キャスト[編集]

その他[編集]

  • アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』で、使徒の波長パターンとして表示される「BLOOD TYPE:BLUE」が、『ブルークリスマス』の英語題名からの引用である。監督の庵野秀明は岡本喜八の大ファンで、『激動の昭和史 沖縄決戦』(1971年)がLD化された際にはライナーノートを書いている。
  • 竹下景子と田中邦衛は、この作品で初めて倉本聰の脚本作品に出演した。一方、倉本ドラマにレギュラー出演している俳優では、中条静夫が『6羽のかもめ』と同じくテレビ局員の役で、『うちのホンカン』の大滝秀治はイメージを変えて謎めいた解説委員の役で出演している。なお『北の国から』において原田美枝子がUFOに吸い込まれる幻想シーンは、『ブルークリスマス』において竹下景子がUFOと遭遇するシーンと同じく光線だけで表現している。
  • 興行的には不振に終わり、キネマ旬報ベストテンでも26位と評価も低かった。倉本自身も「映画宝庫」の石上三登志との対談で出来栄えに強い不満をもらしている(石上は買いの立場から必死でフォローしている)。不評の多くは、為政者たちが青い血の人々を恐れ虐殺に走る理由が説明不足というものだが、今日ではむしろそのあたりの省略の不気味さが再評価されている。
  • 批評家たちの評価が芳しくない中、三人の大物作家、都筑道夫星新一田中小実昌が当時から支持を公言している。星はエッセイ中で「名作」という言葉を冠し、田中は同年の日本映画1位に推した。都筑も弱点を指摘しつつ賛辞を呈し、特に劇中の「ユーエフオー」という発音(当時はユーフォーという読み方が完全に定着して久しかった)を褒めている。ちなみに、この3人は翻訳家としても知られている点が共通している。
  • 「カットされた」とされているホワイトハウスのシーンについて、青森県弘前市などで、「ホワイトハウスのシーンがあるバージョンが公開された」との目撃談がある。青森県青森市ではカットされており、詳細は明らかではない。
  • 予告にはホワイトハウスの場面があり、また倉本・石上の対談でも大統領役について両者とも不満を述べている。
  • また同様に「カットされた」とされる暴走族が特殊部隊に襲撃されるシーンについても、「キネマ旬報」に該当シーンの撮影時の写真が掲載されている。

参考文献[編集]

  • 「ブルークリスマス」倉本聰オリジナルシナリオ(青也書房)
  • DVD『ブルークリスマス』(東宝)

外部リンク[編集]