ブルックリン級軽巡洋艦

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ブルックリン級軽巡洋艦
H97779.jpg
竣工当時のブルックリン級軽巡洋艦「ボイシ」
艦級概観
艦種 軽巡洋艦
艦名 都市名 一番艦はニューヨーク州ブルックリンに因む
前級 ポートランド級軽巡洋艦
次級 セントルイス級軽巡洋艦
性能諸元
排水量 基準:9,700トン
満載:12,300トン
全長 185.4m
全幅 18.9m
吃水 6.9m(基準)
7.3m(満載)
機関 バブコック・アンド・ウィルコックス重油専焼水管缶8基
+パーソンズギヤードタービン4基4軸推進
最大
出力
100,000hp
最大
速力
33.6ノット
航続
距離
15ノット/10,000海里
乗員 868人
兵装 15.2cm(47口径)三連装速射砲5基15門
12.7cm(25口径)単装高角砲8基8門
ボフォース 4cm(56口径)四連装機関砲4連装4基16門
エリコン 20mm機銃24門
12.7mm単装機銃8基8門
装甲 舷側:83~127mm
甲板:51mm
主砲塔:165mm(前盾)
38~76(側盾)
51mm(天蓋)
司令塔:125~150mm
搭載機 水上機4機
カタパルト2基

ブルックリン級軽巡洋艦(ブルックリンきゅう けいじゅんようかん Brooklyn class Light cruiser)は、アメリカ海軍軽巡洋艦の艦級。1933年~1935年海軍計画において9隻が整備され1937年から1938年にかけて竣工した。

概要[編集]

写真は1944年に撮られた後期型のセントルイス級軽巡洋艦「ヘレナ」。高角砲が連装砲架となっていた。

本級は日本海軍最上型重巡洋艦(竣工当時は軽巡洋艦であった)に対抗すべく15cm砲15門の砲戦型巡洋艦として要求性能が決まり、基準排水量はロンドン条約制限一杯の10,000トン台の大型軽巡洋艦で設計された。艦体防御は舷側は最厚部で127mmにもなる重防御で同世代の自国重巡洋艦よりも重防御であった。更に偵察能力強化のために水上機4機とカタパルト2基を搭載したが、防御上弱点となる航空設備はバイタルパート外のトランサム型の艦尾部に集中配置する念の入りようであった。機関配置もオマハ級と同じくシフト配置で優れた生存性能を与えられていた。本級はCL-40~48までが前期型、49と50が後期型に分かれており、外観では低重心の艦橋構造、2番煙突直後に配置する後檣、連装形式の12.7cm(38口径)高角砲で見分ける事が出来る。

最上型は条約の制限が無くなった段階で、主砲塔の15.5cm三連装砲を20.3cm連装砲に換装したが、本級は15.2cm三連装砲のほうが20.3cm連装砲よりも投射砲弾重量が大きいとして、換装は行っていない。第二次世界大戦での戦没艦はなく、1947年までに全艦退役した。

その後、サバンナ、ホノルル以外の5隻はアルゼンチンブラジルチリの南米三か国に売却された。これら3国では実用艦というより、旧式戦艦に代わる海軍の象徴的な大型艦として現地で運用された。このうち、アルゼンチンに売却されたフェニックス(アルゼンチン名はヘネラル・ベルグラノ)はフォークランド戦争で同海軍の旗艦として用いられたが、同艦がイギリス海軍原子力潜水艦コンカラー」によって撃沈された事で、国民の意気消沈は激しくアルゼンチン軍全体の士気低下は著しかったと言われる。

艦形[編集]

写真は1939年に撮られた「ブルックリン」。竣工後の艦容が判る

船体形状は前級に引き続き平甲板型船体を採用していた。艦首甲板上には新設計の「Mark 16 15.2cm(47口径)速射砲」を新設計の三連装砲塔に収めて2番主砲塔を背中合わせの1番・3番主砲塔で挟み込むかのように3基を配置した。その背後に司令塔を組み込んだ艦橋塔型艦橋を基部に単脚式の前部マストが1本立つ。その背後に2本の煙突が近接して立っているが、本級の機関は前級に引き続き「シフト配置」を採用している。煙突の周囲は艦載艇置き場となっており、2本のクレーンにより運用された。艦載艇置き場の後ろに後部マストと後部見張所が建てられ、後部甲板上に後向きの4番・5番主砲塔が背負式に2基、艦尾部に水上機用クレーン1基を挟んで射出カタパルトが片舷に1基ずつ計2基が配置されて水上機施設となっていた。舷側甲板上には対空火器の「12.7cm(25口径)高角砲」が露天で片舷4基ずつ計8基が配置されていた。

武装[編集]

主砲[編集]

ブルックリンの艦首主砲塔。甲板に散らばっているのは15.2cm砲弾の空薬莢。

本級の主砲には新設計の「Mark 16 15.2cm(47口径)速射砲」を採用している。その性能は重量59.0kgの砲弾を仰角47.5度で射程23,881mまで届かせることが出来た。砲架の俯仰能力は設計段階では仰角60度であったが実際には仰角60度・俯角10度である、旋回角度は首尾線方向を0度として左右に150度旋回できたが、実際は上部構造物により射界に制限があった。砲身の俯仰・砲塔の旋回・砲弾の揚弾・装填は主に電力で補助に人力を必要とした。発射速度は毎分8~10発である。前級では連装砲塔と単装砲架舷側ケースメイト配置の混載であったが、本級において全主砲塔を3連装砲塔に統一した。これにより主要防御長の短縮に繫がり防御重量の節約となった。

高角砲、その他の備砲[編集]

「フェニックス」の舷側の写真。12.7cm単装高角砲と機関砲の配置が判る写真

高角砲は12.7cm(25口径)高角砲」を採用した。この砲は24.43kgの砲弾を最大仰角85度で高度8,352m、対艦用として仰角45度で13,259mまで届かせる性能があった。旋回と俯仰は電動と人力で行われ、左右方向に150度旋回でき、俯仰は仰角85度・俯角15度で発射速度は毎分15~20発だった。これを単装砲架で片舷4基計8門を搭載した。

防御[編集]

サバンナ」が1943年にドイツ空軍誘導爆弾フリッツXを被弾した時の写真。同爆弾を受けたイギリス海軍の「ウォースパイト」は航行不能となったが本艦は生還できた。

前述の主砲塔の搭載形式の改良による武装重量減少により、防御重量を増加することが出来た。これにより、本級の防御力は更なる強化が行われ舷側の水線部装甲は前級の76mmから127mmへと強化され、甲板防御も38mmから51mmへと増厚された。

機関[編集]

本級の機関は高温蒸気を使用するバブコック・アンド・ウィルコックス式重油専焼水管缶を8基とパーソンズ式ギヤード・タービン4基4軸推進で最大出力100,000馬力、速力33.6ノットを発揮した。本級の機関配置は前述の通りシフト配置方式で艦首からボイラー2基ずつ収める第1缶室と第2缶室の背後にタービン機関2基を収める第1機械室、水密隔壁を挟んで第3缶室と第4缶室の背後に第2機械室の順番で配置した。本級はオマハ級より継承されたシフト配置により前述の脆弱な水中防御を機関配置で補っていた。


同型艦[編集]

  1. ブルックリン (USS Brooklyn, CL-40)
    • 1937年9月30日就役。1947年1月3日退役。
    • 1951年1月9日チリへ売却。O'Higginsと改名。1991年スクラップ
  2. フィラデルフィア (USS Philadelphia, CL-41)
    • 1937年9月23日就役。1947年2月3日退役。
    • 1951年1月9日ブラジルへ売却。Barrosoと改名。1973年廃棄される。
  3. サバンナ (USS Savannah, CL-42)
    • 1938年3月10日就役。1947年2月3日退役。
  4. ナッシュビル (USS Nashville, CL-43)
    • 1938年6月6日就役。1946年6月24日退役。
    • 1951年1月9日チリへ売却。Capitan Protと改名。
  5. フェニックス (USS Phoenix, CL-46)
    • 1938年10月3日就役。1946年7月3日退役。
    • 1951年4月9日アルゼンチンへ売却。Diecisiete de Octubreと改名。1956年General Belgrano と改名。1982年5月2日フォークランド戦争で沈没。
  6. ボイシ (USS Boise, CL-47)
    • 1938年8月2日就役。1946年7月1日退役。
    • 1951年1月11日アルゼンチンへ売却。Nueve de Julioと改名。1978年退役し、日本で解体。
  7. ホノルル (USS Honolulu, CL-48)
    • 1938年6月15日就役。1947年2月3日退役。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 世界の艦船 2010年1月増刊号 近代巡洋艦史 海人社