ブラック・サンデー (映画)

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ブラック・サンデー
Black Sunday
監督 ジョン・フランケンハイマー
脚本 アーネスト・レーマン
ケネス・ロス
アイヴァン・モファット
原作 トマス・ハリス
製作 ロバート・エヴァンス
製作総指揮 ロバート・L・ローゼン
出演者 ロバート・ショウ
ブルース・ダーン
音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ジョン・A・アロンゾ
編集 トム・ロルフ
配給 パラマウント映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1977年3月11日
日本の旗 2011年2月5日
上映時間 143分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 アメリカ合衆国の旗 $15,769,322[1]
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ブラック・サンデー』(Black Sunday)は、1977年制作のアメリカ映画トマス・ハリス同名小説の映画化。

概要[編集]

1970年代のアメリカ。軍人としてベトナム戦争で戦った男が祖国に裏切られた復讐からアラブのテロリストと手を結び、国内での数万人規模の大量殺戮に着手。テロリスト暗殺を仕事とするイスラエル諜報特務庁の殺し屋、カバコフ少佐はアメリカ国内でのテロ行為により市民感情がイスラエル支持から離れるのを防ぐために、海を渡り大義のない死闘を繰り広げることになる。

ブラック・サンデーのブラックとは復讐者のランダーが手を組む実在のテロリストグループ「黒い九月」をさし、当時アメリカ国内でのテロ活動がされていない時期に、来たるべき恐怖を予見している。また、サンデーとは休日のテレビに映らない社会の影となった人間たちの怨念を表している。

ストーリー[編集]

ベトナム戦争捕虜となったマイケル・ランダーは屈辱の境遇で精神的に切り刻まれる。さらに解放され帰国した彼を祖国で待っていたのは、妻の裏切りと世間の冷たい視線だった。

裏切られた事実に静かな怒りを燃やす彼が思いついたのは、アメリカ最大の娯楽であるフットボールの最高峰、スーパーボウルの観客皆殺しだった。すり鉢型の観客席の上空を飛ぶコマーシャル用の飛行船を操船するランダーは船の下部に船底型に成型したプラスチック爆弾を取り付け、爆発の威力で外側に埋め込んだ22万のライフルダーツ(フレシェット弾)が隙間なく客席へ飛来し、同時に人間の体を破壊するアイデアを着想する。

しかし国内で強い爆発力を持つプラスチック爆弾を入手するのは困難であり、伝手を辿ったランダーが実行したのは黒い九月の指導者への協力要請だった。そんな折、モサド工作員のカバコフ少佐はアメリカ国内でのテロ活動を察知、正体不明の影を追ってアメリカに渡る。

キャスト[編集]

日本公開[編集]

日本では、1977年7月30日から劇場公開の予定だったが、上映中止を求める脅迫状が届いた。脅迫状は葉書にペンで「ジェット・ローラー・コースターの上映を即刻中止せよ」、「無視されれば対抗手段としてテロなどの実力行使をもってする以外にはない」と書かれており、東京の神田郵便局管内から21日に投函されていた。宛先は配給元のCIC関西支社と東京都内の有楽座渋谷東宝会館新宿プラザ劇場の3つの映画館で、差出人はそれぞれ「京大C線」、「大谷大学京都C線」、「愛工大C線」となっていたが、いずれも実体のないグループ名だった。

警視庁の調べでは、脅迫状には「関係各機関からの自粛の訴えを黙視したことは絶対に許せない」との文面があったが、『ジェット・ローラー・コースター』にはそのような訴えはなく、本作の7月初旬の試写会の後、中東諸国の駐日大使から「内容が偏向しているため、上映を中止して欲しい」と要望があったことが判明し、犯人が作品名を誤認したものと考えられた。しかし、東宝系の映画館は「万一を考え、やむなく中止」と上映を断念した[2][3]。その後、ビデオなどは販売されている。なお、『ジェット・ローラー・コースター』は予定通り公開された。

2006年には、DVDの発売を記念した特別試写会が、東京・新宿明治安田生命ホールで行なわれた。2011年には、第2回「午前十時の映画祭」の上映作品に選ばれ、日本で初めて正式に映画館で上映された[4]

備考[編集]

  • 1991年に発表されたトム・クランシーの『恐怖の総和』において、スーパーボウル開催中のスタジアムでのテロというアイデアに登場人物が言及するシーンがある。

出典[編集]

  1. ^ Black Sunday (1977)” (英語). Box Office Mojo. 2010年7月27日閲覧。
  2. ^ 「映画『ブラック・サンデー』 脅迫受け上映中止」『中日新聞』1977年7月23日付夕刊
  3. ^ 斉藤守彦『映画宣伝ミラクルワールド 東和・ヘラルド・松竹富士 独立系配給会社黄金時代』洋泉社、2013年、pp.48-50
  4. ^ 「決定 第二回 午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本」『キネマ旬報』2010年12月下旬号、p.182

外部リンク[編集]