ブラックウォーター (陸水学)
陸水学におけるブラックウォーター(英語:blackwater)とは、木の茂った湿地や沼地を通る、水深が深く、流れが遅い河川のことである。枯れ葉などが川底に堆積しているので、それからタンニンがしみ出して、流れている水は透明な黒〜茶色に着色され、酸性河川となっている。代表的なブラックウォーターは、南アメリカのアマゾン川水系に多い。ここでいう"ブラックウォーター"とは、陸水学、地質学、地理学、そして生物学的な研究によって定義される物であるから、流れている水が黒い川がすべてブラックウォーターであるという訳ではない。
ブラックウォーターは、他の河川よりも栄養が豊富で、イオン強度も雨水よりわずかに高い[1][2]。この特徴によって、ブラックウォーターでは、他の河川とは大きく異なる動植物相がみられる。ブラックウォーターと、その他の河川が集まっている地域では、特に多様な生物が生息していることが多い。
目次 |
ブラックウォーターと他の河川の比較 [編集]
| Solimoes川 | ネグロ川 – ブラックウォーター | |
|---|---|---|
| Na (mg/L) | 2.3 ± 0.8 | 0.380 ± 0.124 |
| K (mg/L) | 0.9 ± 0.2 | 0.327 ± 0.107 |
| Mg (mg/L) | 1.1 ± 0.2 | 0.114 ± 0.035 |
| Ca (mg/L) | 7.2 ± 1.6 | 0.212 ± 0.066 |
| Cl (mg/L) | 3.1 ± 2.1 | 1.7 ± 0.7 |
| Si (mg/L) | 4.0 ± 0.9 | 2.0 ± 0.5 |
| Sr (μg/L) | 37.8 ± 8.8 | 3.6 ± 1.0 |
| Ba (μg/L) | 22.7 ± 5.9 | 8.1 ± 2.1 |
| Al (μg/L) | 44 ± 37 | 112 ± 29 |
| Fe (μg/L) | 109 ± 76 | 178 ± 58 |
| Mn (μg/L) | 5.9 ± 5.1 | 9.0 ± 2.4 |
| Cu (μg/L) | 2.4 ± 0.6 | 1.8 ± 0.5 |
| Zn (μg/L) | 3.2 ± 1.5 | 4.1 ± 1.8 |
| P (μg/L) | 105 ± 58 | 25 ± 17 |
| C (mg/L) | 13.5 ± 3.1 | 10.5 ± 1.3 |
| 炭酸塩中のC (mg/L) | 6.7 ± 0.8 | 1.7 ± 0.5 |
| 伝導度 | 57 ± 8 | 9 ± 2 |
| pH | 6.9 ± 0.4 | 5.1±0.6 |
ブラックウォーターと、他の河川では、表1に示されるように、イオン組成が大きく異なる。ブラックウォーターは、酸性が強いため、土壌中のアルミニウムがイオン化しやすい状態にあり、結果としてその質量濃度が他の河川よりも大幅に高くなっている。他にみられる大きな違いとしては、他の河川と比べて、ナトリウム、カルシウム、カリウムの濃度が非常に低いことがある。このため、それらの金属を殻の形成のために必要とする、巻貝類などは、ブラックウォーターではあまりみられない。溶存イオン量が少ないことで、ブラックウォーターで流れている水の電気伝導度も、雨水と同じような低い値になっている。
ブラックウォーターと、そうでない河川は、生息している動植物プランクトンについても違いが有る。表2では、位置的に数メートルほどしか離れていないそれぞれの河川で捕獲されたプランクトンの数を比較している。この表で取り上げているJapura川は、ネグロ川ほど極端なブラックウォーターではないのだが、ワムシ類の豊富さや、ミジンコ類や、昆虫の幼虫、ダニ類の少なさなど、他河川とのブラックウォーター特有の違いがみられる。また、ブラックウォーターと他河川が合流している地点では、豊富な種類の生物が棲息していることが分かる。このような合流地点は、森林の外でも幼魚の餌となる甲殻類が豊富なため、この地点にやってきて産卵をする魚も多くいる [4]。
| ブラックウォーター | 合流点 | 他河川 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 生物種 | 森林外 | 森林内 | 森林外 | 森林内 | 森林外 | 森林内 |
| ボルボックス類 | 42 | 38 | ||||
| ワムシ類 | 87 | 5 | 34 | |||
| ミジンコ類 | 6 | 5 | 8 | 1 | ||
| 貝虫類 | 2 | 11 | 3 | 7 | ||
| カイアシ類カラヌス目 | 23 | 3 | 10 | |||
| カイアシ類キクロプス目 | 5 | 27 | 19 | 1 | 13 | 1 |
| アミ類 | 1 | |||||
| ハエ目の幼虫 | 1 | |||||
| (ミズ)ダニ類 | 1 | 1 | ||||
世界のブラックウォーター [編集]
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画像 [編集]
関連項目 [編集]
出典 [編集]
- ^ Janzen, D H (July 1974). “Tropical Blackwater Rivers, Animals, and Mast Fruiting by the Dipterocarpaceae”. Biotropica 6 (2): pp. 69–103. doi:10.2307/2989823. JSTOR 2989823.
- ^ Sioli, Harald (1975). “Tropical rivers as expressions of their terrestrial environments”. Tropical Ecological Systems/Trends in Terrestrial and Aquatic Research (New York City: Springer Science+Business Media): pp. 275–288.
- ^ a b J S B, Ribeiro; A J Darwich (1993). “Phytoplanktonic primary production of a fluvial island lake in the Central Amazon (Lago do Rei, Ilha do Careiro)”. Amazoniana (Kiel) 12 (3-4): pp. 365–383.
- ^ “Comparison between white and black waters”. Amazonian Fishes and their Habitats. Pisces Conservation Ltd. 2006年5月21日閲覧。