フードファディズム

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フードファディズム (food faddism) とは、食べもの栄養健康病気に与える影響を、熱狂的、あるいは過大に信じること[1]。科学が立証したこと以上にその影響を信じ固執していることであり[1]、科学が立証したことに関係なく食べものや栄養が与える影響を過大に評価することである[1]。科学が立証したことよりもその影響を信じ固執していることである[1]マスコミで流されたり書籍・雑誌に書かれている「この食品を摂取すると健康になる」「この食品を口にすると病気になる」「あの種の食品は体に悪い」などというような情報を信じて、バランスを欠いた偏執的で異常な食行動をとること[2][注 1]

概説[編集]

「foodフード」とは食品のことである。「faddism ファディズム」とは、一時的な流行を熱心に追いかけること[3]、流行かぶれ[3]、あるいは流行傾れ、一時的流行・「のめり込み」という意味である[4]

米国では以前からあった概念である[2]

日本に「フードファディズム」を紹介した最初期の人は、食品安全委員会リスクコミュニケーション専門調査会専門委員である群馬大学教授の高橋久仁子で、1998年頃のことだといわれている[注 2]。1991年、高橋はその年に出版された Nutrition and Behavior を読み、"food faddism" という概念を認識し、その後この本を翻訳し『栄養と行動』として出版した[5]

なおフードファディズムの対象となりやすいものは、健康に好影響をもたらしそうな食品、有害性が疑わしい食品、ダイエット食品、健康食品ミネラルウォーターなど様々である[要出典]

フードファディズムを行うと、栄養素のバランスを欠いた食生活となり、健康には良くない。 フードファディズムに陥らないようにする方法、解決策は、食と健康に対するしっかりとした知識を身に着けることである[2]

フードファディズムを見てみぬふりをするわけにはいかないのは、健康被害という実害や、詐欺という実害があるからだと指摘されている[6]

フードファディズムの解決策:エビデンスの重視[編集]

『栄養と行動』によると、食事や栄養の影響を検証する唯一の方法は科学的研究による立証であるため、研究にも再現性客観性が求められ、また結果の偏りを最小にする被験者が多い研究や、偏見的な見方を排除するための二重盲検法のような方法をとっているかということも重要である[1]

1990年代より、医学領域において普及し始めた「根拠に基づいた医療」(EBM、 evidence-based medicine) の態度はこのような客観性を目的としている。こうした動きを受けて栄養学の領域でも、EBMが提唱されている[7]

ハーバード大学公衆衛生学部の栄養学部の教授が最新の科学を反映させ企業や団体の影響を受けずにつくった「健康な食事ピラミッド(healthy eating pyramid)」[8]は、健康に悪い影響を与える精白された穀物、赤肉・バター、砂糖がたくさん入った飲食品を控えるということが分かりやすく図示されている。

背景[編集]

「本当に健康に影響するのか」の根拠が曖昧なまま、特定の食べ物・栄養の影響を熱狂的に信じるフードファディズムの一因には、健康食品などの企業・業界や自称健康食品専門家が、自分たちに都合のいい情報や研究データだけを流す傾向があることが考えられる。また御用学者と呼ばれる特定の業界に偏った意見を述べる学者もいる。一般化されない偏った根拠を元に不安を煽るということがある。

食品業界によるロビー活動を告発したマリオン・ネスルによれば、健康への貢献に対して優れた食品とそうでない食品があるが、食品会社は良い食べもの、悪い食べものはない、自社の商品は悪くないと思わせようとしているということもある[9]

企業や業界はあらゆる商品を満遍なく扱っているわけではないので、自分の利益を増やすためにおのずと一方的に偏ったデータや情報だけを流す傾向がある。直接的にではなく間接的にであるにせよ、自社の製品さえ摂れば健康になれるといった印象を生む文言をちりばめたコマーシャル[10]や資料[11]を作成する傾向があり、それがマスコミや他の媒体を経由して人々のもとに届けられている。

まだ合理的な判断のできない子供など、宣伝の内容をそのまま信じこむ人々もいるために、フードファディズムが生まれる傾向がある。


事例[編集]

悪いとされるもの[編集]

このリストにあるのはフードファディズムとして判断されるものであって、実際に科学的な根拠に基づいたリスクがあるかどうかとは無関係である。

良いとされるもの[編集]

脚注・出典[編集]

  1. ^ 1952年のMartin Gardnerの著書In the Name of Scienceにすでにfood faddismという概念は紹介されている。1980年にその日本語訳本が出版された(『奇妙な論理』市場泰男(訳)、社会思想社、1980年。早川書房、2003年1月。ISBN 978-4150502720。)がそこでは市場泰男は「食物のあぶく流行」という翻訳表現をあてた。
  2. ^ 「砂糖を科学する会」のメンバーとして、砂糖を主とした解説を行った。今月の視点0008a/砂糖への疑惑の払拭[リンク切れ]事業団から9908b/砂糖類生産流通合理化等助成対象事業について(その1)[リンク切れ]独立行政法人ALIC-農畜産業振興機構 砂糖類情報)より。
出典
  1. ^ a b c d e Robin B. Kanarek、Robin Marks-Kaufman 『栄養と行動』 高橋久仁子(訳)、高橋勇二(訳)、アイピーシー、1994年、2–7頁。全国書誌番号 94057732。
  2. ^ a b c 『知恵蔵 2014』「フードファディズム」的場輝佳 執筆担当
  3. ^ a b デジタル大辞泉
  4. ^ 「がんばらない」の医師 鎌田實VS群馬大学教授・食の専門家 高橋久仁子さん”. がんサポート情報センター. 2011年12月24日閲覧。
  5. ^ 高橋久仁子 『フードファディズム-メディアに惑わされない食生活』 中央法規出版、シリーズCura、2007年9月、14頁。ISBN 978-4-8058-3004-8
  6. ^ 高橋久仁子 「フードファディズムにみるマスメディアと食」『食と教育』 ドメス出版、2001年10月、187頁。ISBN 978-4810705508
  7. ^ 佐々木敏「栄養学におけるエビデンスとはなにか」、『セラピューティック・リサーチ』第26巻第7号、2005年、 1343–1348頁、2011年12月24日閲覧。
  8. ^ Healthy Eating Plate and Healthy Eating Pyramid”. What sould I eat?. Harvard School of Public Health. 2011年12月24日閲覧。
  9. ^ マリオン・ネスル 『フード・ポリティクス-肥満社会と食品産業』 三宅真季子(訳)、鈴木眞理子(訳)、新曜社、2005年、24頁。ISBN 978-4788509313
  10. ^ 砂糖を科学する会の広告 [リンク切れ](砂糖を科学する会)
  11. ^ コマーシャル・資料の例 [リンク切れ](ダーボン・オーガニック・ジャパン)

参考文献[編集]

  • 高橋久仁子 『フードファディズム-メディアに惑わされない食生活』 中央法規出版、シリーズCura、2007年9月。ISBN 978-4-8058-3004-8
  • 高橋久仁子 『食べもの神話」の落とし穴-巷にはびこるフードファディズム』 講談社《ブルーバックス》 2003年9月。ISBN 4062574187
  • 高橋久仁子 『「食べもの情報」ウソ・ホント-氾濫する情報を正しく読み取る』 講談社《ブルーバックス》、1998年10月。ISBN 4062572311
  • 高橋久仁子 『食と健康Q&A-チョットおかしな情報の見分け方・接し方』フットワーク出版、2002年10月。ISBN 4-87689-447-7
  • マリオン・ネスル 『フード・ポリティクス-肥満社会と食品産業』 三宅真季子・鈴木眞理子訳、新曜社、2005年ISBN 978-4788509313
  • 松永和紀 『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』光文社新書、2007年。ISBN 978-4-334-03398-9

関連項目[編集]


外部リンク[編集]