フロログルシノール

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フロログルシノール
識別情報
CAS登録番号 108-73-6 チェック
PubChem 359
RTECS番号 UX1050000
特性
化学式 C6H6O3
モル質量 126.11 g/mol
精密質量 126.031694
外観 白色の固体
融点

218-220 °C

への溶解度 1 g/100 mL
危険性
EU分類 Hazard X.svg有害(Xn)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

フロログルシノール(phloroglucinol)は、医薬品爆薬の合成に使われる有機化合物である。フロログルシノールはフェノール型である1,3,5-トリヒドロキシベンゼンと、ケトン型である1,3,5-シクロヘキサトリオン(フロログルシン)の2種の互変異性体が存在し、それぞれ化学平衡の関係にある。フロログルシノールは多官能性であることから有機合成における中間体として便利である。

Phloroglucin Tautomerie.svg

フロログルシノール二水和物の結晶の融点は116-117 °Cであるが、無水和物の融点は218-220 °Cと高い。沸騰はせず、昇華性を持つ。

単離、合成および反応[編集]

フロログルシノールは、果樹の樹皮から初めて単離された。合成法はいくつかあるが、代表的なのはトリニトロベンゼンを経由した合成である[1]

Phlorosynth.png

普通、アニリン誘導体はヒドロキシド側に向かって不活性であるためこの合成法は注目に値する。また、トリアミノベンゼンはイミン体と互変異性を起こすため加水分解を受けやすい。

フロログルシノールは、ヒドロキシルアミンとの反応ではケトンのように振る舞い、トリス(オキシム)を形成する。また、ベンゼントリオール(Ka1 = 3.56 × 10−9, Ka2 1.32×10−9)としても振る舞い、3つのヒドロキシル基メチル化させると1,3,5-トリメトキシベンゼンが形成する[1]

天然での生成[編集]

フロログルシノール類はいくつかの植物生合成される。例えばそのアシル誘導体はオシダ属の一種であるドリオプテリス・アルグタ の葉状体に存在する[2]。また、褐藻でもフロログルシノール誘導体[3][4]、フロロタンニン[5]が合成される。

代謝[編集]

フロレチンヒドロラーゼフロレチンに使うと、フロレト酸とフロログルシノールが合成される。

利用[編集]

フロログルシノールはジアゾ染料と結合して速やかに黒色を与えるため、主に印刷のカップリング剤に使われる。

工業的には医薬品[6]爆薬[7]の合成に使われる。

医薬品[編集]

フロログルシノールは、平滑筋に対し非アトロピン性の鎮痙作用を有する[8][9]胆石やけいれん痛、その他消化器疾患の治療にも用いられる[8][9][10]。また、血管気管支尿管胆嚢に対し非特異的鎮痙作用を持つためそれらの疾患の治療にも使われる[要出典]

出典[編集]

  1. ^ a b Helmut Fiege, Heinz-Werner Voges, Toshikazu Hamamoto, Sumio Umemura, Tadao Iwata, Hisaya Miki, Yasuhiro Fujita, Hans-Josef Buysch, Dorothea Garbe, Wilfried Paulus "Phenol Derivatives" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Wiley-VCH, Wienheim, 2005. DOI: 10.1002/14356007.a19_313. Published online: 15 June 2002.
  2. ^ C. Michael Hogan. 2008. Coastal Woodfern (Dryopteris arguta), GlobalTwitcher, ed. N. Stromberg
  3. ^ A New Phloroglucinol Derivative from the Brown Alga Eisenia bicyclis: Potential for the Effective Treatment of Diabetic Complications. Yoshihito Okada, Akiko Ishimaru, Ryuichiro Suzuki and Toru Okuyama, J. Nat. Prod., 2004, 67 (1), pp 103–105, DOI: 10.1021/np030323j
  4. ^ Phloroglucinol Derivatives from Three Australian Marine Algae of the Genus Zonaria. Adrian J. Blackman, Glen I. Rogers and John K. Volkman, J. Nat. Prod., 1988, 51 (1), pp 158–160, DOI: 10.1021/np50055a027
  5. ^ Local and chemical distribution of phlorotannins in brown algae. Toshiyuki Shibata, Shigeo Kawaguchi, Yoichiro Hama, Masanori Inagaki, Kuniko Yamaguchi and Takashi Nakamura, Journal of Applied Phycology, Volume 16, Number 4, 291-296, DOI: 10.1023/B:JAPH.0000047781.24993.0a
  6. ^ Intermediate Pharmaceutical Ingredients - Flopropione (PDF)”. Univar Canada. 2009年4月24日閲覧。
  7. ^ Synthesis of trinitrophloroglucinol”. The United States Patent and Trademark Office (1984年). 2009年4月24日閲覧。
  8. ^ a b Phloroglucinol Summary Report (PDF)”. EMEA. 2009年4月24日閲覧。
  9. ^ a b Chassany O et al. (2007). “Acute exacerbation of pain in irritable bowel syndrome: efficacy of phloroglucinol/trimethylphloroglucinol. A randomized, double-blind, placebo-controlled study.”. Alimentary pharmacology & therapeutics 1 (25): 1115–23.  PMID: 17439513
  10. ^ PHLOROGLUCINOL”. Biam (1999年). 2009年4月24日閲覧。 (in French)