フロリダアカハラガメ

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フロリダアカハラガメ
フロリダアカハラガメ
フロリダアカハラガメ Pseudemys nelsoni
保全状況評価[a 1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : リクガメ上科 Testudinoidea
: ヌマガメ科 Emydidae
亜科 : アミメガメ亜科 Deirochlyinae
: クーターガメ属 Pseudemys
: フロリダアカハラガメ P. nelsoni
学名
Pseudemys nelsoni Carr, 1938
和名
フロリダアカハラガメ
英名
Florida red-bellied turtle

フロリダアカハラガメPseudemys nelsoni)は、爬虫綱カメ目ヌマガメ科クーターガメ属に分類されるカメ。

分布[編集]

アメリカ合衆国ジョージア州南部、フロリダ州[1][2][3]

模式標本の産地(模式産地)はインディアンリバー郡(フロリダ州)[3]。和名や英名は主にフロリダ州に分布することに由来する[3]

形態[編集]

最大甲長34センチメートル[2][3]。オスよりもメスの方が大型になりオスは最大甲長30センチメートル[3]背甲は第3椎甲板の前部が最も高くなるドーム状で、上から見ると第7縁甲板付近で最も幅広い細長い卵型[3]。ドーム状の背甲は同所的に分布するアメリカアリゲーターに対して捕食しづらくなる効果があると考えられている[1][3]項甲板はやや大型で、やや細長く後方が幅広い等脚台形[3]。項甲板が背甲の最も前部に位置せず、背甲の前端が凹む[3]。第1椎甲板は縦幅と横幅が同じかやや縦幅が長いが、第2-5椎甲板は横幅の方が長い[3]。背甲の色彩は黒や暗褐色で、肋甲板や縁甲板に黄色や橙色のやや細い横縞が入るが大型個体では消失することが多い[3]腹甲の色彩は赤みの強い橙色一色[3]

上顎の先端が凹み、その両脇が突出し牙状になる[3]。頭部や頸部、四肢、尾の色彩は黒く、黄色い筋模様が入る[3]。筋模様が消失し黒一色になる個体もいる[3]。頭部背面の正中線両脇に入る縦縞は眼より後方から入る[3]。喉に入る縦縞は太く、喉後部の正中線に入る縦縞の太さは頭部の幅の9%以上[3]

卵は長径3.7-4.7センチメートル、短径1.9-2.6センチメートル[3]。孵化直後の幼体は甲長2.8-3.2センチメートル[3]。幼体は腹甲の甲板の継ぎ目(シーム)に沿って暗色斑が入る個体もいるが、成長に伴い斑紋は消失する[3]

生態[編集]

流れの緩やかな河川湿原などに生息し、水生植物の繁茂した止水域を好む[2][3]。同属他種が生息する場所では、生息数が減少する[3]昼行性だが、夏季に気温の高い日は薄明薄暮性傾向が強くなる[3]。岸辺や岩、水生植物、倒木の上などで、日光浴を行うことを好む[3]

食性は植物性の強い雑食で、水生植物(アオウキクサ属イバラモ属オオカナダモ属オモダカ属クロモ属セキショウモ属ドクゼリ属ホテイアオイ属ミカニア属など)、藻類を食べるが、魚類の死骸を食べることもある[3]。幼体は動物食傾向の強い雑食で昆虫なども食べるが、成長に伴い植物食傾向が強くなる[3]

繁殖形態は卵生。周年交尾を行うと考えられているが、主に10-翌3月に交尾を行う[3]。オスはメスを追いかけメスの後肢や尾の匂いを嗅いで、メスの前方に回り込み頸部を伸ばして曲げメスの頭部に自分の頭部を近づけ前肢を伸ばして細かく動かし求愛する[3]。オスはメスの上に乗り、メスはオスを受け入れると尾を上げ交尾する[3]。周年繁殖し水辺の砂地に穴を掘り、1回に6-31個の卵を年に3-6回に分けて産む[3]。アメリカアリゲーターの産卵巣の中に卵を産むこともある[1][2][3]。ワニの巣に卵を産むことは発酵熱により卵が早く孵化する(50日ほど)、卵の捕食を防ぐなどの利点があるが、ワニによる捕食や卵が潰されるといった欠点がある[3]。ワニの巣を除いて卵は60-75日で孵化する[3]。オスは生後3-4年(腹甲の直線距離にして17-21センチメートル)、メスは生後5-7年(腹甲の直線距離にして26-27.5センチメートル)で性成熟する[3]

人間との関係[編集]

逸出個体の発見例があること、在来種との競合などの生態系への懸念、アカミミガメの代替となる可能性があることから属単位で要注意外来生物に指定されている[3][a 2]

ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている。流通量は多く、主に飼育下繁殖個体や養殖個体の幼体が安価で流通する[1][3]。日本では山間部を除いた関東地方以南では野外飼育も可能で、野生下では冬眠しないが寒冷地の飼育下では冬眠も行う[3]

参考文献[編集]

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  1. ^ a b c d 海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ1 アメリカ大陸のミズガメ』、誠文堂新光社2005年、32-33頁。
  2. ^ a b c d 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、212頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak 安川雄一郎 「クーターガメ属、ニシキガメ属、アミメガメ属の分類と自然史(II)」『クリーパー』第44号、クリーパー社、2008年、6-7、39-43頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  1. ^ The IUCN Red List of Threatened Species
    • van Dijk, P.P. 2010. Pseudemys nelsoni. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1
  2. ^ 環境省