フレンチ・ブリタニー・スパニエル

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フレンチ・ブリタニー・スパニエル

フレンチ・ブリタニー・スパニエル(英:French Britany Spaniel)は、フランスブリュターニュ地方原産のスパニエル/鳥猟犬種である。別名はエパニョール・ブルトン(英:Epagneul Breton)、フレンチ・ブリタニーなど。アメリカ種と区別をしない場合は単にブリタニーとも呼ばれている。

歴史[編集]

フレンチ・ブリタニー・スパニエルの原種17世紀ごろからブリュターニュ地方に存在していたスパニエル犬種である。その犬は主にフラッシングとレトリービングを行っていて、現在はオールド・ブリタニー・スパニエルと呼ばれている。19世紀になり、その原種にイギリスから輸入されたイングリッシュ・ポインターイングリッシュ・セッターが異種交配され、多目的に使えるように改良したことで誕生したのが本種である。尚、この異種交配によってスパニエルのものであった外見が、スパニエルと他種の鳥猟犬種との中間のものに変わっていった。

本種は鳥猟犬として多目的に使われる。主に狩る獲物はヤマシギキジイワシャコカモで、嗅覚を駆使してそれらを発見し、見つけるとセッティング又はポインティング(それは犬によってどちらか一方を習得させる)を行って主人に獲物のありかを知らせた。主人は犬がセッティングを行う場合は投網を行ってを捕らえ、ポインティングを行う場合は加えて犬にフラッシング(追い出し)の指示を出し、鳥が飛び立ったら猟銃を犬の指す方向へ向けて打ち、しとめる。打ち落とされた獲物はもちろん、本種がレトリーヴして回収を行う。

本種は多芸さから完成後にすぐ人気の犬種となり、1896年にはフランス国内でショードッグとしてもデビューを果たした。このとき本種はショートテイルド・ブリタニー(Short-tailled Britany)という名でショーリンクに上がったが、この名前は正式名称でも別名でもない。この名が使われたのは一度きりで、単に尾が断尾されていたことからそう呼ばれていたようである。

その後も人気は衰えず、1930年代になるとアメリカ合衆国にも輸出が行われ、アメリカン・ブリタニー・スパニエルの基礎も築いた。然し、20世紀の後半になる狩猟の縮小や乱繁殖によって頭数が激減、加えて犬質も低下してしまった。だが愛好家の手によって犬質を取り戻し、頭数もなんとか回復することが出来た。1907年にフランスで公認犬種として登録され、後にFCIにも公認登録された。

現在は世界的な人気も取り戻し、実猟犬としても、ショードッグ・ペットとしても非常に人気が高い。日本でも数頭飼育されていて、2009年度の国内登録頭数順位(一年度間で日本国内で仔犬が産まれ、登録された数を基にした順位)は134位中109位であった。それらはペットやショードッグとして飼われているものだが、このほかに実用犬としても使役されている(ただし外国出身の犬はJKCに出生登録はされていない)。

特徴[編集]

スパニエルの名を持つが、外見はスパニエルとポインター/セッターの中間である。マズルは中ぐらいの長さで頭部は小さめ、脚は長い。体は筋肉質で引き締まっていて、均等が取れた美しい体つきをしている。耳は垂れ耳、尾はサーベル型の垂れ尾だが、実猟犬として使われている際にはかなり短めに断尾することが多い。時には生まれつき尾の無い犬もいる。尾を断尾するのは先祖がフラッシングを行うスパニエル犬種であったことの名残で、使役時に興奮して尾を激しく振ることで鳥を警戒させることが無いように行われていたものである。尚、同じく使役柄により断尾を施されていた犬種はアメリカン・コッカー・スパニエルイングリッシュ・コッカー・スパニエルなど、多数存在する。コートは滑らかなショートコートで、胸、臀部、尾などにはフリッジ(飾り毛)がある。毛色はレット・アンド・ホワイトが多数派である。この毛色の場合、胴体などにレッドローン(赤かす毛)が入ったり、メインの色となったりすることも多い。この他にはブラウン・アンド・ ホワイトやブラック・アンド・ホワイト、トライカラー(白・黒・茶)の毛色も存在するが、こちらは極めて珍しい。体高44〜52cm、体重13〜18kgの中型犬で、性格は陽気で人懐こく、愛情深い。子供や他の犬とも仲良くすることが出来、温厚で平和主義の性格であり、小さな子供や仔犬に対しても寛容である。しつけの飲み込みや状況判断力に優れ、運動量も普通であるため、ペットとして飼うのにもよく適した犬種である。かかりやすい病気は股関節形成不全口蓋裂血友病などがある。

参考文献[編集]

  • 『犬のカタログ2004』(学研)中島眞理 監督・写真
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2007』(辰巳出版)佐草一優監修
  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2009』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2010』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著

関連項目[編集]