フォーミュラ・ルノー

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フォーミュラ・ルノーUK

フォーミュラ・ルノーFormula Renault )とは、ヨーロッパやその他の国で開催されている初級フォーミュラカーレースである。1968年フランスにおいて開催された国内選手権(フォーミュラ・フランス)を起源とし、1971年に初開催された。以来、新人レーサーの登竜門としての役割を果たしている。ルノー・スポールもしくは各国のルノーが主催ないし冠スポンサーとなって開催され、多くのシリーズは年間14戦ないし16戦前後で争われる。

概要[編集]

出場する全ての選手が同一のシャシー(車体)、エンジンを使用するいわゆるワンメイクのレースである。

シリーズによって若干の違いはあるが、現在フォーミュラ・ルノーで使用されている車は、市販車であるルノー・クリオRSの搭載エンジンをベースとした直列4気筒2,000ccエンジンと、イタリアのタトゥースTatuus )製のシャシー、F3で使用される物に若干の変更を加えたギアボックス、ミシュラン製タイヤの組み合わせが基本となっている。エンジンはおよそ190馬力を出力し、最高速度250km/h近くにまで達する。

資金力のあるチームとそれに所属するドライバーが、豊富な資金を背景にレース以外でテスト走行を重ねて他者に対して有利となることを予防するため、レースの公式日程以外での走行は規制されており、エンジンについても供給者であるルノー・スポールによって厳重に管理されている。

エンジンについて、かつては1,700ccのエンジンを使用していたが、1990年代半ばに2,000ccのエンジンに変更された。現在でも選手権によっては1,600cc前後の排気量のエンジンを使ったレースを別に設けているケースがあり、区別のため2,000ccのエンジンを使うカテゴリは「フォーミュラ・ルノー2000」と通称され、多くの選手権では、正式名称にも「2000」、「2.0」と加えることで排気量を示している。まま「FR2000」、「FR2.0」と略記される。

このシリーズはフォーミュラカーのピラミッドの中ではF3の下に位置し、以前から入門カテゴリとしての評価は高かったが、キミ・ライコネンを筆頭に、2000年代に入ってからはF3を経ずにGP2F1などの上位カテゴリにステップアップするドライバーも現れ、レース関係者からの注目度と評価はさらなる向上をみている。

フォーミュラ・ルノー3.5(ワールドシリーズ・バイ・ルノー)[編集]

フォーミュラ・ルノー3.5Formula Renault 3.5 )とは、ヨーロッパの各国を転戦する形で開催される選手権で「ワールドシリーズ・バイ・ルノー」の中でメインレースとなるシリーズであった。ルノー・スポールが主催。

「フォーミュラ・ルノー」の名が用いられている他のシリーズとは異なり、このシリーズはF3とF1の中間に位置付けられるカテゴリであり、シャシーなども他のフォーミュラ・ルノーで使用されるそれとは大きく異なっている。

なお、フォーミュラ・ルノー2.0各選手権のシリーズチャンピオンには、フォーミュラ・ルノー3.5をテストする特典が、例外なく与えられる。

欧州連合の旗 ユーロカップ・フォーミュラ・ルノー[編集]

ユーロカップ・フォーミュラ・ルノーEurocup Formula Renault 2.0)とは、ヨーロッパの各国を転戦する形で開催されるフォーミュラ・ルノー選手権。かつてのヨーロッパ・フォーミュラ・ルノー選手権と同じ名を名乗って1992年に初開催、1995年にユーロカップ(Eurocup Formula Renault)と名称を改称し、2003年のみマスターズ・フォーミュラ・ルノー(Masters Formula Renault )を名乗り、翌年以降はユーロカップ・フォーミュラ・ルノー2.0を正式名称としている。2005年から2015年までは、ワールドシリーズ・バイ・ルノーのサポートレースとして開催された。

開催レース数は年によって大きく異なり、2002年以前は各イベント1戦ずつで全9〜10戦、2003年は年間4イベント・各2戦で全8戦、2004年以降は基本的に年間7〜9イベント・各2戦ずつの計14〜18戦で争われている。

実力ある新人レーサーを見出すためF1などのレース関係者から特に注目されていた選手権のひとつで、フォーミュラ・ルノーの代表的なシリーズであった。ルノー・スポールが主催。かつて存在した旧「フォーミュラ・ルノー・ヨーロッパ」と直接的なつながりはない。

多くのドライバーはヨーロッパの他のフォーミュラ・ルノー選手権と平行して参戦するのが常である。

2020年限りでフォーミュラ・ルノー・ユーロカップは、フォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン・チャンピオンシップ英語版と統合した[1]

歴代チャンピオン[編集]

ドライバーズ・チャンピオン チーム・チャンピオン
2020年 フランスの旗 ヴィクトール・マルティンス フランスの旗 ARTグランプリ
2019年 イギリスの旗 オスカー・ピアストリ フランスの旗 R-エース GP
2018年 イギリスの旗 マックス・フュートレル フランスの旗 R-エース GP
2017年 フランスの旗 サッシャ・フェネストラズ フランスの旗 R-エース GP
2016年 イギリスの旗 ランド・ノリス ドイツの旗 ヨゼフ・カウフマン・レーシング
2015年 イギリスの旗 ジャック・エイトケン ドイツの旗 ヨゼフ・カウフマン・レーシング
2014年 オランダの旗 ニック・デ・ブリーズ フィンランドの旗 コイラネン GP
2013年 フランスの旗 ピエール・ガスリー フランスの旗 テック1・レーシング
2012年 ベルギーの旗 ストフェル・バンドーン ドイツの旗 ヨゼフ・カウフマン・レーシング
2011年 オランダの旗 ロビン・フラインス フィンランドの旗 コイラネン GP
2010年 エストニアの旗 ケビン・コリュス(Kevin Korjus) フランスの旗 テック1・レーシング
2009年 スペインの旗 アルバート・コスタ (Albert Costa) スペインの旗 エプシロン・ユースカディ
2008年 フィンランドの旗 バルテリ・ボッタス フランスの旗 SG・フォーミュラ
2007年 ニュージーランドの旗 ブレンドン・ハートレイ スペインの旗 エプシロン・ユースカディ
2006年 ポルトガルの旗 フェリペ・アルブケルケ イタリアの旗 JD・モータースポーツ
2005年 日本の旗 小林可夢偉 フランスの旗 SG・フォーミュラ
2004年 アメリカ合衆国の旗 スコット・スピード イタリアの旗 JD・モータースポーツ
2003年 アルゼンチンの旗 エステバン・グエリエリ(Esteban Guerreri) ドイツの旗 モトパーク・アカデミー
2002年 フランスの旗 エリック・サリニョン(Eric Salignon) フランスの旗 グラフ・レーシング
2001年 ブラジルの旗 アウグスト・ファルフス イタリアの旗 プレマ・パワーチーム
2000年 ブラジルの旗 フェリペ・マッサ イタリアの旗 JD・モータースポーツ
1999年 イタリアの旗 ジャンマリア・ブルーニ イタリアの旗 JD・モータースポーツ
1998年 フランスの旗 ブルーノ・ベッソン(Bruno Besson) イタリアの旗 JD・モータースポーツ
1997年 ベルギーの旗 ジェフ・ファン・ホーイドンク イタリアの旗 JD・モータースポーツ
1996年 ブラジルの旗 エンリケ・ベルノルディ イタリアの旗 JD・モータースポーツ
1995年 フランスの旗 シリル・サウヴァージュ フランスの旗 ミゲル
1994年 イギリスの旗 ジェイムス・マシューズ(James Matthews) イギリスの旗 マノー・モータースポーツ
1993年 フランスの旗 オリビエ・クヴレール(Olivier Couvreur) フランスの旗 シナージュ
1992年 スペインの旗 ペドロ・デ・ラ・ロサ スペインの旗 レーシング・フォー・スペイン
  • 歴代チャンピオンの中で、マシューズ(1994年、イギリス選手権)、サウヴァージュ(1995年、フランス選手権)、ベルノルディ(1996年、イギリス選手権)、マッサ(2000年、イタリア選手権)、スピード(2004年、ドイツ選手権)、小林可夢偉(2005年、イタリア選手権)、アルブケルケ(2006年、ノーザン・ヨーロピアン・カップ)、ボッタス(2008年、ノーザン・ヨーロピアン・カップ)、コスタ(2009年、ウェスト・ヨーロピアン・カップ)については、同年に他のフォーミュラ・ルノー選手権でもチャンピオンになっている。その他、1993年チャンピオンのクヴレールは1991年に、1997年チャンピオンのファン・ホーイドンクは1996年に、2002年チャンピオンのサリノンは2001年に、いずれもフランス選手権でチャンピオンタイトルの獲得経験がある。

欧州連合の旗 フォーミュラ・ルノー・ウェスト・ヨーロピアン・カップ[編集]

フォーミュラ・ルノー・ウェスト・ヨーロピアン・カップ (Formula Renault 2.0 West European Cup)は、2008年から開催されている、フランス・フォーミュラ・ルノーを引き継いだシリーズである。

開催サーキット[編集]

ウェスト・ヨーロピアン・カップという名前の通り、フランスのサーキット以外にも、ベルギースパ・フランコルシャンスペインカタロニア・サーキットポルトガルアルガルヴェなどで開催されている。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン チーム・チャンピオン
2009年 スペインの旗 アルベルト・コスタ (Albert Costa) スペインの旗 Epsilon Euskadi
2008年 オーストラリアの旗 ダニエル・リチャルド フランスの旗 SG Formula

欧州連合の旗 フォーミュラ・ルノー・ノーザン・ヨーロピアン・カップ[編集]

フォーミュラ・ルノー・ノーザン・ヨーロピアン・カップ(Formula Renault 2.0 Northern European Cup)は、ドイツ・フォーミュラ・ルノーとオランダ・フォーミュラ・ルノーを引き継いで2006年から始まったシリーズである。

開催サーキット[編集]

F1でも使用されたニュルブルクリンクホッケンハイムザントフォールトベルギースパ・フランコルシャンなどで開催されている。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン チーム・チャンピオン
2016年 イギリスの旗 ランド・ノリス ドイツの旗 Josef Kaufmann Racing
2015年 スイスの旗 ルイ・デレトラズ ドイツの旗 Josef Kaufmann Racing
2014年 イギリスの旗 ベン・バーニコート ドイツの旗 Josef Kaufmann Racing
2013年 イギリスの旗 マット・パリー イギリスの旗 Fortec Motorsport
2012年 イギリスの旗 ジェイク・デニス (Jake Dennis) イギリスの旗 Fortec Motorsport
2011年 スペインの旗 カルロス・サインツJr. フィンランドの旗 Koiranen bros.
2010年 ドイツの旗 Ludwig Ghidi オランダの旗 Van Amersfoort Racing
2009年 ポルトガルの旗 アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ ドイツの旗 Motopark Academy
2008年 フィンランドの旗 バルテリ・ボッタス ドイツの旗 Motopark Academy
2007年 ドイツの旗 フランク・ケーヒル (Frank Kechele) ドイツの旗 Motopark Academy
2006年 ポルトガルの旗 フェリペ・アルブケルケ イタリアの旗 JD Motorsport

フランスの旗 フランス・フォーミュラ・ルノー[編集]

フランス・フォーミュラ・ルノーChampionnat de France Formula Renault 2.0)とは、主にフランス国内で開催されていたフォーミュラ・ルノー選手権。ルノー・スポールが主催。初開催は1968年。「フォーミュラ・ルノー」という名称が使われはじめたのは1971年からであり、それ以前は「フォーミュラ・フランス」という名称が使われていた。2008年からはフォーミュラ・ルノー・ウェスト・ヨーロピアン・カップへと移行した。

2003年までは基本的に年間10イベント前後・各1戦の全10戦前後で争われたが、2004年から各イベント2戦ずつで争われるようになり、年間7〜8イベント全14〜16戦で争われていた。

最初のフォーミュラ・ルノー選手権であるとともに、フォーミュラ・ルノーの中でも最も歴史が古く、アラン・プロストはじめ、多くのフランス人ドライバーほか、片山右京などのドライバーがその門を叩いた。近年の出身者では、2004年〜2007年にチャンプカー・ワールド・シリーズで4連覇を果たし、2008、2009年にF1へスクーデリア・トロ・ロッソから参戦したセバスチャン・ボーデや、2009年途中からルノーF1チームのレギュラーシートを獲得したロマン・グロージャンなどがいる。

下位カテゴリとしてフランスF4French F4 Championship、旧:フォーミュラ・ルノー・キャンパス(Formula Renault Campus ))を有す。

トピック[編集]

フランスF4も含め、初級フォーミュラシリーズとしては名門中の名門といってよい選手権であり、今日においてもGP2ほかル・マン24時間レースなどのレースカテゴリで活躍している出身者は数多い。アラン・プロストオリビエ・パニスロマン・グロージャンなどがF1のレギュラードライバーまで到達した。

開催サーキット[編集]

ディジョンポーマニ・クールブガッティ(ル・マン)、ノガロ、など、フランス国内の錚々たるサーキットで行われるのが常だが、近年では、ポルトガルエストリルほか、スペインイギリスのサーキットで開催されたこともある。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン
2007年 フランスの旗 ジュール・ビアンキ
2006年 フランスの旗 ローラン・グロッピ(Laurent Groppi)
2005年 フランスの旗 ロマン・グロージャン
2004年 フランスの旗 パトリック・ピレ(Patrick Pilet)
2003年 フランスの旗 ロイック・デュバル
2002年 フランスの旗 アレクサンドル・プレマ
2001年 フランスの旗 エリック・サリニョン(Eric Salignon)
2000年 フランスの旗 ルノー・デルロ(Renaud Derlot)
1999年 フランスの旗 ルカス・ラセール(Lucas Lassere)
1998年 イギリスの旗 マシュー・デーヴィス(Matthew Davies)
1997年 フランスの旗 ジョナサン・コシェ
1996年 ベルギーの旗 ジェフ・ファン・ホーイドンク
1995年 フランスの旗 シリル・サウヴァージュ
1994年 フランスの旗 ステファン・サラザン
1993年 フランスの旗 ダヴィッド・デュッソウ(David Dussau)
1992年 フランスの旗 ジャン=フィリップ・ベロク
1991年 フランスの旗 オリヴィエ・コウヴィール(Olivier Couvreur)
1990年 フランスの旗 エマニュエル・コラール
1989年 フランスの旗 オリビエ・パニス
1988年 フランスの旗 リュドヴィク・フォーレ(Ludovic Faure)
1987年 フランスの旗 クロード・デグレモン(Claude Degremont)
1986年 フランスの旗 エリック・コマス
1985年 フランスの旗 エリック・ベルナール
1984年 フランスの旗 ヤニック・ダルマス
1983年 フランスの旗 ジャン=ピエール・Hoursourigaray(Jean-Pierre Hoursourigaray)
1982年 フランスの旗 ジル・ランペルール(Gilles Lempereur)
1981年 フランスの旗 フィリップ・ルノー(Philippe Renault)
1980年 フランスの旗 デニス・モリン(Denis Morin)
1979年 フランスの旗 アラン・フェルテ
1978年 フランスの旗 フィリップ・アリオー
1977年 フランスの旗 ジョエル・グイエ(Joel Gouhier)
1976年 フランスの旗 アラン・プロスト
1975年 フランスの旗 クリスチアン・デビアス(Christian Debias)
1974年 (開催されず)
1973年 (開催されず)
1972年 フランスの旗 ジャック・ラフィット
1971年 フランスの旗 ミシェル・ルクレール(Michel Leclère)
1970年 フランスの旗 フランソワーズ・ラキャロウ(François Lacarrau)
1969年 フランスの旗 ドニ・ダヤン(Denis Dayan)
1968年 フランスの旗 ジャン・マックス(Jean Max)

イギリスの旗 イギリス・フォーミュラ・ルノー[編集]

ドニントン・パークでのレース

イギリスにおけるフォーミュラ・ルノー選手権はフォーミュラ・ルノーUKFormula Renault UK)と、BARC・フォーミュラ・ルノーBARC Formula Renault。正式名称はFormula Renault BARC Championship)の2種類が存在する。

概要[編集]

イギリスにおける最初のフォーミュラ・ルノーは、1989年にイギリス自動車レーシングクラブ(British Automobile Racing Club, BARC)の主催によって開催されたものだが、翌年以降はルノー・イギリスが主催となり、イギリス・フォーミュラ・ルノー(British Formula Renault)が開催されるようになった。今日、「イギリスのフォーミュラ・ルノー」と言う場合、通常は後者を指す。なお、イギリス・フォーミュラ・ルノーの名称は2005年にフォーミュラ・ルノーUK(Formula Renault UK)に変更された。

フォーミュラ・ルノーUKについては、近年の注目度の高さを反映し、ミシュランが選手権のタイトルスポンサーとなっており、入門カテゴリに過ぎないにもかかわらず、レースの模様はイギリス最大の民間放送局ITVによって月曜早朝に録画放送されている。

当初は1,700cc(140馬力)のエンジンを使用していたが、1995年に2,000ccに改められ、2000年には選手権の名称も“Formula Renault 2000”に改められた。表記としては、“Formula Renault 2.0”と記載されることも多い。

フォーミュラ・ルノーUK[編集]

レギュラーシリーズのほか、冬季シリーズを有する。

レギュラーシリーズについて、以前は1イベント各1戦という形式を基本にイベントによって2戦開催を組み込む形で、年間10イベント前後・全14戦前後で争われたが、2004年以降は年間10イベント・全20戦で争われている。

冬期シリーズはシーズン終了後の11月・12月頃に数イベント開催される。2011年はファイナル・シリーズと呼称された。

2011年が最後のシリーズとなり、2012年以降は開催されていない。

BARC・フォーミュラ・ルノー[編集]

1995年に、イギリス自動車レーシングクラブが再び自身の主催による選手権を開始したため、区別の必要から、こちらは同クラブの略称BARCを冠してBARCフォーミュラ・ルノー等と呼ばれるのが通例である。使用している車体の規格は両者とも同じものであるが、最低重量の規定は5kg重く設定されている。

年間8イベント前後で、イベントによって2戦開催とし、全12戦前後で争われるのが常である。

フォーミュラ・ルノーUKとは対立関係にあるわけではなく、開催日程も共同開催のイベント以外は重ならないよう共に調整するなど、緊密な協力関係にある。

こちらはレース好きなアマチュア向けにルノー・ラグアに搭載されているエンジンをベースとした1,700ccのルノーエンジン(およそ175馬力を出力)と、1990年代以前に使用されていた古いシャシーを用いた「クラブ・クラス(Club Class)」と呼ばれるカテゴリを用意し、レースの場を提供するという独特な試みを行ってもおり、また、メインカテゴリであるFR2000クラスも、前年度チャンピオンが翌年もエントリーできるなど、フォーミュラ・ルノーの他のシリーズとは違う特色を持っている。

トピック[編集]

イギリス・フォーミュラ・ルノー(フォーミュラ・ルノーUK)出身のキミ・ライコネンがF1のザウバーチームによってレギュラードライバーに抜擢され、2001年にF1に直接ステップアップしたことはレース関係者に衝撃を与え、さらに彼の実力がF1においても通用することを見事に証明してみせたため、この「事件」はフォーミュラ・ルノー隆盛の端緒となった。

開催サーキット[編集]

イギリス・フォーミュラ・ルノーはイギリスと名乗っているが、基本的にシルバーストン・サーキットドニントンブランズハッチといったイングランドのサーキットを中心に開催され、これにスコットランドのノックヒル・サーキット(Knockhill)での1戦が組み込まれることが通例である。2003年のように全戦をイングランドのサーキットで開催することもある。

BARC・フォーミュラ・ルノーについては、全てイングランド域内のサーキットで開催される。

歴代チャンピオン[編集]

  • フォーミュラ・ルノーUK(Formula Renault UK) - レギュラーシリーズ
チャンピオン
2011年 イギリスの旗 アレックス・リン
2010年 イギリスの旗 トム・ブロンクビスト
2009年 イギリスの旗 ディーン・スミス (Dean Smith)
2008年 イギリスの旗 アダム・クリストドーロー (Adam Christodoulou)
2007年 イギリスの旗 ダンカン・タッピー (Duncan Tappy)
2006年 スウェーデンの旗 セバスティアン・ホーエンタール(Sebastian Hohenthal)
2005年 イギリスの旗 オリバー・ジャービス
2004年 イギリスの旗 マイク・コンウェイ
2003年 イギリスの旗 ルイス・ハミルトン
2002年 イギリスの旗 ダニー・ワッツ(Danny Watts)
2001年 イギリスの旗 カール・ブリーズ(Carl Breeze)
2000年 フィンランドの旗 キミ・ライコネン
1999年 ブラジルの旗 アントニオ・ピッツォニア
1998年 ブラジルの旗 アルイズィオ・コエリョ(Aluizio Coelho)
1997年 イギリスの旗 マーク・ハインズ
1996年 ブラジルの旗 デビッド・クック (David Cook)
1995年 イギリスの旗 ガイ・スミス (Guy Smith)
1994年 イギリスの旗 ジェイムス・マシューズ(James Matthews)
1993年 スペインの旗 イバン・アリアス(Ivan Arias)
1992年 スペインの旗 ペドロ・デ・ラ・ロサ
1991年 イギリスの旗 ジェイソン・プラト
1990年 ブラジルの旗 トマス・エルドス(Thomas Erdos)
  • フォーミュラ・ルノーUK(Formula Renault UK) - 冬季シリーズ/ファイナル・シリーズ
チャンピオン
2011年─2012年 イギリスの旗 オリバー・ローランド
2010年─2011年 イギリスの旗 アレックス・リン
2009年─2010年 イギリスの旗 ハリー・ティンクネル
2008年─2009年 イギリスの旗 ジェームス・カラド
2007年─2008年 イギリスの旗 リチャード・シングルトン (Richard Singleton)
2006年─2007年 フランスの旗 フランク・マイルー (Franck Mailleux)
2005年─2006年 オランダの旗 ジュニア・ストロース (Junior Strous)
2004年─2005年 イギリスの旗 スチュワート・ホール(Stuart Hall)
2003年─2004年 イギリスの旗 ジェイ・ハワード(Jay Howard)
2002年─2003年 イギリスの旗 ロバート・ベル(Robert Bell)
2001年─2002年 イギリスの旗 ロバート・ベル(Robert Bell)
2000年─2001年 イギリスの旗 マーク・マクローリン(Mark McLoughlin)
1999年─2000年 フィンランドの旗 キミ・ライコネン
1998年─1999年 ブラジルの旗 アントニオ・ピッツォニア

  • BARC・フォーミュラ・ルノー(BARC Formula Renault)
チャンピオン
2009年 イギリスの旗 キーレン・クラーク(Kieren Clark)
2008年 イギリスの旗 オリー・ハンコック(Ollie Hancock)
2007年 イギリスの旗 ハイウェル・ロイド(Hywel Lloyd)
2006年 イギリスの旗 リチャード・シングルトン(Richard Singleton)
2005年 イギリスの旗 ニック・ウィルコックス(Nick Wilcox)
2004年 イギリスの旗 ニッキー・ウィルソン(Nicky Wilson)
2003年 イギリスの旗 ジェームス・ゴーナル(James Gornall)
2002年 イギリスの旗 ジェレミー・スミス(Jeremy Smith)
2001年 イギリスの旗 マーティン・ウォールバンク(Martin Wallbank)
2000年 イギリスの旗 ジェイミー・ビールズ(Jamie Beales)
1999年 イギリスの旗 エリオット・ルイス(Elliot Lewis)
1998年 イギリスの旗 ニック・ダドフィールド(Nick Dudfield)
1997年 イギリスの旗 ピーター・クラーク(Peter Clarke)
1996年 イギリスの旗 デビッド・クック(David Cook)
1989年 イギリスの旗 ニール・リッディフォード(Neil Riddiford)

ドイツの旗 ドイツ・フォーミュラ・ルノー[編集]

ドイツ・フォーミュラ・ルノー(Deutschen Formel Renault Cup)とは、ドイツで開催されるフォーミュラ・ルノー選手権。1991年初開催。

2001年までは年間8イベント・各1戦の全8戦前後で争われたが、ヨーロッパのフォーミュラ・ルノー選手権としては比較的早い2002年から各イベント2戦ずつの方式を導入し、同年以降は年間7〜8イベント全14〜16戦で選手権を争うようになった。 2006年からはフォーミュラ・ルノー・ノーザン・ヨーロピアン・カップへと移行した。

F1ドライバーとしては、クリスチャン・クリエンらを輩出。

開催サーキット[編集]

基本的にホッケンハイムニュルブルクリンクなど、ドイツ国内のサーキットで開催されるが、年間1戦オーストリアザルツブルクリンクでのレースが組み込まれており、その他、年によっては同じくオーストリアのA1リンクオランダアッセンなどのサーキットでレースが行われることもある。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン
2005年 フィンランドの旗 ペッカ・サーリネン(Pekka Saarinen)
2004年 アメリカ合衆国の旗 スコット・スピード
2003年 イギリスの旗 ライアン・シャープ(Ryan Sharp)
2002年 オーストリアの旗 クリスチャン・クリエン
2001年 ドイツの旗 マルセル・ラセー(Marcel Lasée)
2000年 開催されず
1999年 ハンガリーの旗 ゾルト・バウムガルトナー
1998年 オランダの旗 ヒューゴ・ヴァン・デル・ハム(Hugo van der Ham)
1997年 オーストリアの旗 ロベルト・レヒナー(Robert Lechner)
1996年 ドイツの旗 アレクサンダー・ミュラー(Alexander Müller)
1995年 ドイツの旗 ラルフ・ドルッケンミュラー(Ralf Druckenmüller)
1994年 ドイツの旗 マルセル・ティーマン
1993年 ドイツの旗 アルント・マイアー(Arnd Meier)
1992年 ドイツの旗 トーマス・ヴォールレ(Thomas Wöhrle)
1991年 ドイツの旗 ヨアヒム・ボイレ(Joachim Beule)

イタリアの旗 イタリア・フォーミュラ・ルノー[編集]

イタリア・フォーミュラ・ルノーFormula Renault 2.0 Italia)とは、イタリア国内で開催されるフォーミュラ・ルノー選手権。2000年初開催。

当初は年間10イベント各1戦の全10戦で争われたが、2003年以降は、1イベント各2戦を基本に1イベント1戦のレースも組み込み、年間9イベント・全12戦前後で争われている。

冬季シリーズを有するほか、1,600ccのエンジンを使用する下位クラスを“Formule Renault Monza”の名称で併催している。

フェリペ・マッサロバート・クビサ(2000年〜2001年に参戦)を輩出。2002年チャンピオンのホセ・マリア・ロペスは翌年ユーロカップ・フォーミュラ・ルノーV6選手権でもシリーズチャンピオンとなっている。

開催サーキット[編集]

基本的に開催レースの大部分はモンツァイモラムジェロといったイタリア国内のサーキットで行われるが、近年ではベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットでのレースがカレンダーに組み込まれることも多く、過去にはドイツのホッケンハイム、オーストリアのA1リンクで開催されたこともある。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン
2009年 イタリアの旗 ダニエル・マンチネッリ(Daniel Mancinelli)
2008年 ノルウェーの旗 ポール・ヴァーホーグ (Pål Varhaug)
2007年 フィンランドの旗 ミカ・マキ(Mika Mäki)
2006年 スペインの旗 ダニ・クロス
2005年 日本の旗 小林可夢偉
2004年 ベネズエラの旗 パストール・マルドナド
2003年 フランスの旗 フランク・ペレラ(Franck Perera)
2002年 アルゼンチンの旗 ホセ・マリア・ロペス
2001年 オーストラリアの旗 ライアン・ブリスコー
2000年 ブラジルの旗 フェリペ・マッサ

デンマークの旗スウェーデンの旗 ノルディック・フォーミュラ・ルノー[編集]

ノルディック・フォーミュラ・ルノーFormula Renault 2.0 Nordic Series)とは、デンマークとスウェーデンで開催されていたフォーミュラ・ルノー選手権。2002年から2006年まで開催された。2005年まではスカンジナビア・フォーミュラ・ルノーというシリーズ名だった。

夏が短い北欧に位置するため、他の選手権よりやや遅い4月後半もしくは5月に開幕し、シーズン終了も他のシーズンより早く、9月半ばに終える日程となっていることが多かった。初開催当初より、基本的に年間8イベント各2戦の全16戦で選手権が争われていた。

サーキットで開催される4輪レースが主流ではない地帯であり、地域的にやや不利であることは否めず2004年にチャンピオンに輝いたカスパー・アンデルセンなど、その後、他のフォーミュラ・ルノーに移籍している者もいる。

開催サーキット[編集]

当初はデンマークでの開催が過半を占めたが、その後はスウェーデンとシリーズのほぼ半数ずつ分け合い開催されていた。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン
2006年 デンマークの旗 ステファン・メラー(Steffen Møller)
2005年 デンマークの旗 イェスパー・ヴルフ=ラウルセン(Jesper Wulff Laursen)
2004年 デンマークの旗 カスパー・アンデルセン(Kasper Andersen)
2003年 デンマークの旗 トム・ペダーセン(Tom Pedersen)
2002年 デンマークの旗 フィリップ・アンデルセン(Philip Andersen)

アルゼンチンの旗 アルゼンチン・フォーミュラ・ルノー[編集]

アルゼンチン・フォーミュラ・ルノーは、アルゼンチンで開催されているフォーミュラ・ルノー選手権。1997年初開催。

TC2000のサポートイベントとして開催されており、主にTC2000へのステップアップカテゴリとして機能している。

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開催サーキット[編集]

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歴代チャンピオン[編集]

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アメリカ合衆国の旗カナダの旗 北米・フォーミュラ・ルノー[編集]

北米・フォーミュラ・ルノーとは、アメリカ合衆国カナダで開催されているフォーミュラ・ルノー選手権である。

他のフォーミュラ・ルノーと同じ車体とエンジンを使っているが、当初Fran-Amのシリーズとして開催されていた際は“2000 North American PRO”という名称が用いられ、2004年に主催がFormula TR Proに移って後は名称も正式にフォーミュラ・ルノー(Formula Renault 2000)となっている。

両シリーズ通じて、基本的に年間6〜7イベント全8戦前後で争われている。

1,600ccの下位クラスを有し、こちらのカテゴリでは1990年代に使用されていた古いシャシーを用い、使用されるエンジンは最大およそ123馬力を出力する。

Formula TR Pro Series主催に移ってからこの選手権ではタイヤはミシュランではなくヨコハマタイヤから供給を受けている。

2007年シーズンをもって終了。

開催サーキット[編集]

Fran-Amのシリーズだった頃はカナダのトロントやバンクーバー、あるいはF1が開催されるモントリオールなどでも開催されたが、Formula TR Proの主催となって以後はアメリカ国内のみの開催となっている。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン
2007年 アメリカ合衆国の旗 ビル・ゴーシェン (Bill Goshen)
2006年 アメリカ合衆国の旗 カール・スカーロング(Carl Skerlong)
2005年 アメリカ合衆国の旗 セス・イングハム (Seth Ingham)
2004年 アメリカ合衆国の旗 コリン・ブラウン(Colin Braun)
2003年 カナダの旗 アンドリュー・レンジャー(Andrew Ranger)
2002年 カナダの旗 ブルーノ・スペングラー

メキシコ・フォーミュラ・ルノー[編集]

2,000ccクラスのほか、1,600ccの下位クラスがある。 2005年からはFormula Renault 2000 de Americaとなったが、2008年シーズンは1レースを行ったのみでキャンセルされ、以降は開催されていない。

開催サーキット[編集]

エルマノス・ロドリゲス・サーキットといったメキシコ国内のサーキットの他、グアテマラコスタリカなど、他の中米諸国でも開催される。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン
2007年 メキシコの旗 ヴィクトル・ユーゴー・オリベイラ (Victor Hugo Oliveras)
2006年 メキシコの旗 ホメロ・リチャルド (Homero Richards)
2005年 メキシコの旗 ヘルマン・キローハ(German Quiroga)
2004年 メキシコの旗 ホメロ・リチャルド (Homero Richards)
2003年 メキシコの旗 ホメロ・リチャルド (Homero Richards)
2002年 メキシコの旗 デビッド・マルチネス(David Martinez)

中華人民共和国の旗アジアン・フォーミュラ・ルノー[編集]

アジアン・フォーミュラ・ルノーAsian Formula Renault)は、香港のフォーミュラ・レーシング・デベロップメント(方程式賽車發展有限公司)がヨーロッパで使用されているフォーミュラ・ルノーと同じ車体を用いて開催しているアジア地域におけるフォーミュラ・ルノー選手権。

マレーシアセパンサーキットマカオでのレースを除き、開催レースのほとんどは中国で開催される。アジア選手権は年間7イベント・各2戦開催を基本に、マカオグランプリの前座レースのみ1戦のみの開催となり、計13戦で争われるのが常である。チャイナ選手権はこの内の(マカオを除く)中国本土開催のレースのみの結果を抽出する形で、年間4イベントないし5イベント・全8〜10戦で争われている。

2002年にはフィリピン、2003年には韓国でも開催された。

トピック[編集]

2006年チャンピオンのサーリネンはドイツ選手権の2005年度チャンピオンである。

開催サーキット[編集]

以前はF1でも使用される上海インターナショナルサーキットセパンサーキットといった最新のサーキットで開催され、F3のマカオグランプリの前座としてマカオ市街地コースも使うなど、開催サーキットの点では恵まれた選手権であったが、近年は上海国際サーキットのレースも姿を消した。 2011年は前年までと同様、広東省珠海市の珠海国際サーキットと上海市にある上海国際サーキットの2箇所での開催とアナウンスされたが、実際は2011年、上海サーキットでは行われず珠海国際サーキットのみの開催となっている。 2012年も同様で珠海国際サーキットで行われるパンデルタのサポートレースのみと言う寂しい状況になった。 2013年度は第2ラウンドが上海国際サーキットとアナウンスされているが、実際に開催されるかどうかはウォッチする必要がある。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン
2010年 タイ王国の旗 サンデー・ニコラス・ステュービック(Sandy Nicholas Stuvik)
2009年 イスラエルの旗 アーロン・デイ(Alon Day)
2008年 香港の旗 ジム・カ・トー(Jim Ka To)
2007年 フィンランドの旗 ペッカ・サーリネン(Pekka Saarinen)
2006年 フィンランドの旗 ペッカ・サーリネン(Pekka Saarinen)
2005年 中華民国の旗 林帛亨(Hanss Lin)
2004年 日本の旗 中尾秀彰
2003年 マカオの旗 ロドルフォ・アービラ(Rodolfo Ávila)
2002年 中華人民共和国の旗 フランキー・チェン(Franky Cheng Cong Fu)

近況[編集]

2006年は当初予定されていたマカオグランプリには組み込まれなかった。しかし上海サーキットで行われたA1グランプリ・中国ラウンド等のビッグイベントのサポートレースなどに組み込まれるなど、やはり恵まれた環境のもとで開催されている。ノンタイトルだったがA1グランプリサポートレースで、日本から参加しているPERSON'S RACING 上賽FRDが貴重な一勝を挙げている(同チームはこのレースを最後に活動を休止した)。2008年度はこのシリーズにとって悲劇の年でシリーズが分裂した。 AFOSイベントとしてFormula Asia 2.0とAFRである。これによってエントラントは二分された。そして混乱のシーズンである2008年を経て、Formula Asia 2.0は消滅。この時のチャンピオンはユーロF3やマカオGPで活躍しているスウェーデン人のフェリックス・ローゼンクヴィストである。 そして2009年より再びAFR一本に纏まった。 2009年度終盤より、再び日本から新しいチームGOLD WOLF GP TEAM `現Gold Wolf Racing Ltd.が参戦した。 これは元「オートスポーツ」編集長だった町田英明がプロデュースし、2004年度アジアF3シリーズ2位の三浦健光がディレクターとなって組織されたチームであり、近年、日本からの参加が減少しつつあったアジアン・フォーミュラ・ルノーに再び日本との接点が産まれた。 2010年は、1月下旬に公式テスト、3月下旬から公式戦が全7イベント14戦でプログラムされ、最終戦は長沙での公道レースが予定されている。 2011年は珠海で3イベント/6レース、上海で同じく3イベント/6レースとやや規模を縮小した感じでの開催となっている。 2011年以降、現在までのところ、珠海国際サーキットでしか開催されず、かなりスケールダウンした。 補足ながら2010年以降、Renault Sportsのサポートも打ち切られている。

スウェーデンの旗 スウェディッシュ・フォーミュラ・ルノー[編集]

2009年より2,000ccクラスのシリーズが開催されている。

フォーミュラ・ルノー2.0 主な仕様[編集]

シャシー[編集]

フォーミュラ・ルノー・ブラジル: プロップカー・チーム(2006年)

タトゥース社及びルノー・スポールによるカーボンファイバー製。

現在使用されているシャシーは2000年に採用され、2004年にボディワークなどが更新されたものである。

コクピット[編集]

シャシー設計の中でも事故時のドライバー保護には細心の注意が払われ、FIAが規定した安全基準に適合したものとなっており、横転などに備えたロールフープを有し、横からの衝撃を緩和するためにコクピット横にヘッドレストを設け、特に事故時におけるドライバーの頭部へのダメージを最小限に抑えるデザインがなされている。エンジンも含め、FIAによるクラッシュテストを受けている。

その他、コクピット内に以下のものを備える。

  • 情報表示用に、XAP社製のダッシュボードディスプレイ
  • 取り外し可能なステアリング
  • 6点式で幅3インチのシートベルト。
  • FT3 fuel cell
  • 消火器

エンジン[編集]

"Renault Sport type F4R FRS"エンジン
ギアボックス

16バルブ、直列4気筒のルノー・スポールF4R FRS型エンジンを使用する。このエンジンはルノー・スポールによって製造・開発される。

エンジン本体及び電子制御についてはルノー・スポールによって封印されており、各チームが手を加えることは禁止されている。

ギアボックス[編集]

6速シーケンシャルギアボックスを使用、クラッチは油圧式で、ドライバーは右のシフトスティックを前後に(前ダウン、後アップ)動かしギアチェンジ操作を行う。

サスペンション[編集]

プッシュロッド式であり、フロントに1本、リアに2本備える。

タイヤ[編集]

基本的に、ミシュラン製のタイヤとOZ社製のアルミニウムホイールを用いる。タイヤのサイズはドライ、レイン共通である。

例外として、北米選手権はヨコハマタイヤ、ブラジル選手権はピレリ、アジア選手権はクムホを使用している。

諸元[編集]

車体(シャシー)
全長 約4,115 mm
全高 約1,160 mm
全幅 約1,780 mm
ホイールベース 2,645 mm
フロントトレッド 1,434 mm
リアトレッド 1,318 mm
最低重量*1 492 kg(車体のみ)
565 kg(ドライバー込み)
エンジン
排気量 1,998 cc
最大馬力 約190 馬力(6,500rpm・時)
最大トルク 約22 kgm(5,500rpm・時)
ボア x ストローク 82.8 x 93.0 mm
燃料タンク容量 38 liter
潤滑油 エンジン、ギアボックス共にelf製を使用
スパークプラグ NGK社製PFR6E10
制御系 マニエッティ・マレリ社製MF4L

*1 最低重量:これらの重量にはエンジンの重さも含む。例外として、イギリス・フォーミュラ・ルノー(フォーミュラ・ルノーUK)は、車体のみの最低重量を490kgと定めており、同じくイギリスのBARC・フォーミュラ・ルノーも、車体のみの最低重量を495kg、ドライバー込みの最低重量を570kgと定めている。

下位カテゴリ[編集]

スペインの旗 スペイン・フォーミュラ・ルノー[編集]

1,600ccのクラスのみを有しており、1991年にペドロ・デ・ラ・ロサがシリーズチャンピオンに輝いている。

消滅ないし他カテゴリに移行したシリーズ[編集]

欧州連合の旗 フォーミュラ・ルノー・ヨーロッパ[編集]

フォーミュラ・ルノー・ヨーロッパ(Formula Renault Europe)とは、フランス・フォーミュラ・ルノーが主体となって、1970年代にフランス、イタリアなどで開催されたフォーミュラ・ルノー選手権である。1971年に初開催され、1977年のシリーズをもって消滅した。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン
1977年 フランスの旗 アラン・プロスト
1976年 フランスの旗 ディディエ・ピローニ
1975年 フランスの旗 ルネ・アルヌー
1974年 フランスの旗 ディディエ・ピローニ
1973年 フランスの旗 ルネ・アルヌー
1972年 フランスの旗 アラン・クーディニ

欧州連合の旗 ユーロカップ・フォーミュラ・ルノーV6[編集]

フォーミュラ・ルノーV6・ユーロカップを参照のこと

ユーロカップ・フォーミュラ・ルノーV6Eurocup Formula Renault V6 )とは、2003年に創設されたフォーミュラ・ルノー選手権。2003年と2004年の2年間開催したのみでワールドシリーズ・バイ・ニッサンと統合され、2005年から「フォーミュラ・ルノー3.5(ワールドシリーズ・バイ・ルノー)」となった。

ブラジルの旗 ブラジル・フォーミュラ・ルノー[編集]

ブラジル・フォーミュラ・ルノー

ブラジル・フォーミュラ・ルノーCampeonato Brasileiro de Fórmula Renault )とは、2002年から2006年までブラジル国内で開催されていたフォーミュラ・ルノー選手権。ブラジルの若手ドライバー育成のために元F1ドライバーであるペドロ・ディニスによってヨーロッパより移入され、2002年に初めて開催され、ディニスが設立したPPDスポーツ社によって主催・運営され、これにルノー現地法人がスポンサーなどの形で協力するという体制となっていた。

初開催から当初は年間10イベント・各1戦を基本に年13〜14戦が開催されたが、2006年にイベント数の削減がはかられ、各イベント2戦を基本にF1のブラジルGPの前座レースと市街地開催レースを例外的に各1戦とする形で、年間8イベント・全13戦の開催となった。

タイヤはミシュランではなくピレリから供給を受けた。車体とエンジンについては、ヨーロッパから遠いという事情もあり、ブラジルでは同国のストックカーなどと同じく同国のコンストラクターZFレーシングが車両とエンジンの管理ほか、補機の製造などを手がけるという形を採っていた。

F1のブラジルGPの前座レースとなる場合などの例外を除いて、主にクリオ・カップとの併催でルノー・スピード・ショーのメインイベントとして開催される。ブラジルではそこそこの人気があり、レースの模様はテレビ放映され、主催者発表によれば、レースによっては1イベントで2万人程度の観客を動員していた。

2006年限りでPPDスポーツ社がレースの主催と運営から下り、ルノー・ブラジル支社も支援の引継ぎに難色を示したため選手権は消滅した。

トピック[編集]

  • 単独開催のジュニア・フォーミュラとしては珍しく、市街地コースを有し、2002年の初年度からブラジル東南部エスピリトサント州の州都ヴィトーリア市街で毎年開催されている選手権であった。2005年にはサルバドールでも市街地レースが開催され、市街地レースが年間で2戦開催されるというフォーミュラカーとしては珍しいシリーズとなった。2005年のサルバドールのレースにおいては、警察発表によれば、20万人の市民がレースを観戦した。
  • 2005年、カンポ・グランジで開催されたレースにおいて、女性ドライバーのアナ・ベアトリスが優勝した。これは、フォーミュラ・ルノーにおいて女性ドライバーが優勝した初めての例である。彼女は、この後、ヴィトーリアで開催されたレースとタルマで開催されたレースにおいても優勝を挙げ、さらに4つのポールポジション、3つのファステストラップを記録し、タイトル争いに名乗りをあげ、最終的にランキング3位でシリーズを終えた。

開催サーキット[編集]

インテルラゴスサーキットネルソン・ピケ・サーキットリオデジャネイロブラジリア)、ほかで開催される。開催サーキットの中でパーマネントサーキットの大部分は国際規格を満たしているが、これらについてコースの短縮などは行われず、国際レース規格のまま開催されている。

歴代チャンピオン[編集]

チャンピオン
2006年 ブラジルの旗 フェリペ・ラペッナ(Felipe Lapenna)
2005年 ブラジルの旗 ネルソン・メルロ(Nelson Merlo)
2004年 ブラジルの旗 ダニエル・セラ(Daniel Serra)
2003年 ブラジルの旗 アラン・コダイール(Allam Khodair)
2002年 ブラジルの旗 セルジオ・ヒメネス(Sergio Jimenez)

その他の事項[編集]

フォーミュラ・ルノーで結果を残した日本人[編集]

  • 片山右京 - 1986年にフランス選手権に参戦。第7戦で離脱しフランスF3にステップアップ、この時点でランキング5位だった。この頃に「カミカゼ右京」とあだ名された
  • 福田良 - 1997年からフランス選手権に参戦。1998年にランキング3位を記録。2005年にフォーミュラ・ルノー3.5に参戦
  • 中澤信也 - 1997年からフランス選手権に参戦。最終戦で3位入賞。1998年度イギリス フォーミュラ・パーマーシリーズに参戦。
  • 松浦孝亮 - 2003年にユーロカップ・フォーミュラ・ルノーV6に参戦。ランキング3位を記録
  • 平手晃平 - 2003年からイタリア選手権に参戦。2004年にランキング2位を記録
  • 中尾秀彰 - 2004年 AFR(アジアン・フォーミュラ・ルノー)でシリーズチャンピオンを獲得
  • 渋谷崇 -2004年 AFR(アジアン・フォーミュラ・ルノー)のノービスクラスチャンピオン。2005年もスポット参加。
  • 小林可夢偉 - 2005年、ユーロカップ、イタリア選手権ともにシリーズチャンピオンを獲得
  • 西谷拓也- 2005年 AFR(アジアン・フォーミュラ・ルノー)でシリーズ5位。2006年は6位を記録。
  • 行方由久- 2005年 AFR(アジアン・フォーミュラ・ルノー)でシリーズ3位。

関連カテゴリ[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Smith, Luke (2020年10月31日). “Formula Regional Europe merges with Renault Eurocup for 2021”. Motorsport.com (Motorsport.com). https://www.motorsport.com/frenault/news/formula-regional-european-merger-2021/4901832/?ic_source=home-page-widget&ic_medium=widget&ic_campaign=widget-22 2020年10月31日閲覧。 

外部リンク[編集]

各公式サイト[編集]

フォーミュラ・ルノー3.5[編集]

フォーミュラ・ルノー2.0[編集]

ヨーロッパ[編集]
アメリカ[編集]
アジア[編集]

統括団体[編集]