フォーサーズシステム

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フォーサーズシステムFour Thirds System)は、日本の光学機器メーカーオリンパスとアメリカの写真用フィルム・写真機器メーカーイーストマン・コダックによって提唱された、デジタル一眼レフカメラの共通規格。 名称の由来となった4/3型(約17.3×13mm)のイメージセンサー(撮像素子)と、これに適する標準規格化されたレンズマウント及びデジタル専用設計の交換レンズが規格の中核となっている。

本項目ではフォーサーズシステムの他、拡張規格であるデジタル一眼カメラ規格、「マイクロフォーサーズシステム」についても解説する。

目次

[編集] 概要

フォーサーズシステムのフランジバックは38.67mm、イメージサークルは対角が21.63mmと規格化されている。 イメージサークルは従来の35mmフィルムカメラと比較して約半分であり、そのため、フォーサーズシステムのレンズの焦点距離は、同じ画角を有した35mmフィルムカメラのレンズの焦点距離に対し、約半分の値となる。 これにより望遠レンズにおいては、より大型のセンサーを採用する他社のデジタル一眼レフシステムと比較して小さく軽く設計することが可能である。 また、イメージセンサーのアスペクト比が 4:3 であるため、標準的なコンピューターディスプレイ(640×480,1024×768,1600×1200 等)において、フルスクリーンで表示させることが可能である。

フォーサーズ・システムはオープン規格としてカメラメーカー等の業界団体に対しNDA(Non-Disclosure Agreement)ベースで公開されており、他のメーカーの参入を可能としている。フォーサーズシステムにおいてはメーカーを問わずレンズやボディ間の互換性が保たれる。

従来の一眼レフカメラのシステムを流用したデジタル一眼レフカメラにおいては、以下の問題が残されている。

  1. イメージセンサーの光電子変換素子となるフォトダイオードは構造的に深い部分に配置されている。そのため、垂直から大きく外れた角度で光を入射するとケラレによりフォトダイオードまで十分に光が届かない。また、イメージセンサーはピクセルの大きさに対しフォトダイオードの大きさが小さい[1]ため、たとえ垂直に光が入射しても、フォトダイオードに当たらない光は無駄になっていた。これらの問題を軽減させるため、通常イメージセンサーはマイクロレンズと組み合わせて使用される。マイクロレンズに入射した光はフォトダイオードの中心でスポットを結ぶように設計されているため、開口率が大幅に改善される。しかし、入射する光線の角度が垂直から大きく外れるとスポットがフォトダイオードから外れてしまうため光量の低下を招く。この現象は、デジタル一眼レフカメラにおいて周辺光量の低下となって現れる。
  2. イメージセンサに対して垂直から大きく外れた角度の光線が入射すると、マイクロレンズに入射した光が本来向かうべきフォトダイオードから外れ、隣接するフォトダイオードに光が漏れる。周辺部の光線角度が大きくなる広角レンズをデジタル一眼レフに使った場合、この現象によって周辺部の解像力の低下を招く[2]
  3. 一般的なカラーのイメージセンサーにはローパスフィルターが使われており、これによって偽色やモアレの発生を低減させている。しかし、ローパスフィルターの効果は入射角度に依存して大きくなるため、像側の周辺部の光線角度が大きいレンズをデジタル一眼レフに使った場合、ローパスフィルターの効果が過剰に現れ、周辺部の解像力が大きく低下する。
  4. 従来の一眼レフカメラのシステムでは、レンズの後玉と撮像面(フィルム)の間には空気しか存在しない条件で設計されていたが、ディジタル一眼レフはローパスフィルターやイメージセンサーのカバーガラス等が存在するため、銀塩用として設計されたレンズを流用した場合には収差が発生することになる。これはFナンバーの小さい(明るい)レンズや、イメージセンサーに対して光線角度が大きくなる広角レンズの周辺部において影響が大きくなる[3]

1,2,3の理由により、レンズ一体型のデジタルカメラやレンズ交換を前提とした一部の業務用カメラシステムでは、像側のテレセントリック性を高めたレンズ設計が行われている。

フォーサーズシステムはこれらの問題を抜本的に解決するため、従来のマウントを捨てデジタル専用として設計を一新させた。この専用システムの構築によりイメージセンサーの中心部から周辺部まで垂直に近い光が届く、テレセントリック性の高い光学設計が可能となっているのが最大の特徴である。 これにより、フォーサーズシステムでは望遠から超広角に至るまで、開放においても画面の中心部から周辺部まで安定した画質を得ることに成功している。

フォーサーズシステムのもう一つの大きな特長として、オリンパスが開発したダストリダクションシステムの存在がある。これは、外界との隔壁となる円形の薄いガラス製の光学窓を、円周状の圧電アクチュエーターにて共振周波数(約30KHz の超音波帯域)で振動させることで付着したゴミを振るい落とし、下部に設けられた粘着剤付きのポケットに集塵するシステムである。この光学窓はフォーサーズシステム特有のバックフォーカスの長さを逆手に利用し、イメージセンサーから光軸方向に離れた位置に配置されているため、万一ゴミが取りきれなかったとしても比較的写り込み難いと考えられる。このシステムがフォーサーズシステムに内包されているかどうかは不明であるが、現在のところ呼び名は異なるが他のメーカーのフォーサーズ準拠のカメラボディにも組み込まれており、恐らく今後発売されるフォーサーズ準拠のカメラボディには、メーカーを問わず同様のシステムが搭載されてくると予想される。

[編集] フォーサーズシステムの特質

  • テレセントリック性の追求によりレンズの口径やフランジバック長が大きくなってしまったため、当初はより大型のセンサーを採用した他社のデジタル一眼レフカメラと同等程度の大きさとなった。しかしその後小型化が進み、2007年4月現在で世界最小、最軽量のレンズ交換式デジタル一眼レフは、フォーサーズシステムを採用したオリンパスのE-400(日本国内未発売)及びE-410となっており、またレンズの小型化も進行している。更に小型化を志向するものとして、マイクロフォーサーズシステムも登場した。
  • イメージセンサーの面積が比較的小さい[4]ため、同じピクセル数を有すると仮定した場合、ピクセルあたりの光量はフォーマットの面積と比例して小さい。そのためISO感度を高くとった場合のノイズ特性が原理的に若干劣る。オリンパス機では、「トゥルーピックV」等の画像処理エンジンによって、ノイズの低減に取り組んでいる。
  • 同様にイメージセンサーの大きさに起因する特徴として被写界深度の深さがあげられる。これを欠点とするか利点とするかは撮影者、撮影シーンによって意見の分かれるところである。
  • マットスクリーンに結ぶ像が小さいことによるファインダー像の小ささが欠点としてあげられる。これにより、他のフォーマットのデジタル一眼レフよりもマニュアルフォーカス時のピント合わせの難易度が高い。ただし、オリンパスE-3では、大型のペンタプリズムを搭載し、ファインダー倍率1.15倍とすることで、ライバル機として挙げられるニコンD300やキヤノン40Dよりも大きいファインダーとなっている。
  • 2005年まで、オリンパス以外のメーカーからはボディが発売されず、ユニバーサルマウントとして疑問の声があがっていたが、2006年にはパナソニックよりDMC-L1、及び、ライカよりDIGILUX 3が発売されている[5]

[編集] マイクロフォーサーズシステム

マイクロフォーサーズシステム(Micro Four Thirds System)は、オリンパスとパナソニックによって策定された、フォーサーズシステムの拡張規格。2008年8月5日に発表された。

フォーサーズシステムの基本規格をそのままに、マウントについて以下の変更が加えられている。

  1. フランジバックの長さを約半分(約20mm)に短縮
  2. マウント外径を約6mm縮小
  3. マウント電気接点を11点に増加

フランジバックが短縮されることで、同一の光束を通すマウント外径が約6mm縮小した。この変更により、これまでのフォーサーズシステムよりもボディ・レンズの一層の小型軽量化・薄型化が実現可能となる。またフランジバックが半分に短縮されることで、ミラーを搭載することが不可能となるため、事実上ライブビュー専用規格になる見込みである。このためライブビューのAF機能の円滑化やレンズ・ボディ間の通信速度の向上などを目的に、マウント電気接点が増加されている。

その反面、ミラーが無くなることで、レンジファインダーカメラ用レンズに見られるバックフォーカスの短いレンズを搭載可能になり、レンズ設計の自由度が増すほか、構造上不可能だった動画撮影にも対応可能となる。特に動画撮影に対しては、マウント電気接点の増加が動画対応をはじめとする将来的な機能の拡張を見越して行われただけでなく、撮影画面サイズもフォーサーズシステムの有効画素エリア対角長内で、これまでの4:3のほか、3:2や16:9などの複数のアスペクト比にも対応可能にしている。

なお、これまでのフォーサーズシステム用レンズはマウントアダプターを使用することでマイクロフォーサーズシステム用ボディに装着することが可能となっている(その逆は不可)。

[編集] カメラ・一覧

[編集] フォーサーズシステム

  • オリンパス

詳細は「オリンパスE-システム#カメラ一覧」を参照

[編集] マイクロフォーサーズシステム

  • オリンパス
    • ペン E-P1 - オリンパス・ペンの名を冠した、オリンパス初のマイクロフォーサーズ採用モデル。公式サイト上では「マイクロ一眼」としている。
  • パナソニック
    • DMC-G1 - マイクロフォーサーズを採用した最初のカメラ。スペックシートでは「レンズ交換式デジタル一眼カメラ」という型式名になっている。
    • DMC-GH1 - ハイビジョン動画記録に対応したモデル。

[編集] レンズ・スペック一覧

[編集] フォーサーズシステム用

フォーサーズシステムレンズ群の一部
  • オリンパス - ズイコーデジタルレンズ#フォーサーズシステム用参照
  • シグマ - DC/DGレンズ[6]
  • パナソニック/ライカ - LEICA D レンズ
    • LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm/F2.8-3.5 ASPH./MEGA O.I.S.
    • LEICA D SUMMILUX 25mm/F1.4 ASPH.
    • LEICA D VARIO-ELMAR 14-150mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
    • LEICA D VARIO-ELMAR 14-50mm/F3.8-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.(唯一絞り環が無い)

[編集] マイクロフォーサーズシステム用

[編集] マウントアダプター

フォーサーズシステムのボディに対し次のレンズ用のマウントアダプターが純正オプションとして発売されている。

マイクロフォーサーズシステムのボディに対し次のレンズ用が純正オプションとして発売されている。

[編集] 規格賛同メーカー

  • オリンパス - 規格提唱メーカー、初期からボディを発売。
  • イーストマン・コダック - 規格提唱メーカー、現在は主にCCDイメージセンサを供給している。
  • 富士フイルム - 2003年に規格賛同。
  • 三洋電機 - 2004年に規格賛同、ボディ開発供給を表明。しかし現時点ではフォーサーズ対応ボディは発売されていない。
  • シグマ - 2004年に規格賛同、交換レンズを発売。
  • パナソニック - 2004年に規格賛同、2005年にオリンパスとの一眼レフカメラ共同開発を発表、イメージセンサーとして1980年代に開発されたCPD(Charge Primary Device)センサの流れを受け継ぐνMaicoviconをスチルカメラ用に最適化したLiveMOSを供給。2006年にボディを発売。また2008年にはマイクロフォーサーズシステムの策定にも関わり、初の機種としてルミックスDMC-G1を発売。
  • ライカカメラAG - 2006年に規格賛同、パナソニックへのライセンス供与という形で交換レンズの供給を行なう。またパナソニックからのOEMを受けてボディを発売している。

[編集] 脚注

  1. ^ これらの面積の比を開口率という。
  2. ^ 最新のイメージセンサでは、ピクセル間に障壁を設けることで、漏れ光を防いでいる製品もある。
  3. ^ デジタル対応として専用に設計されたレンズでは、これらの光学ガラスの存在を見込んで設計され、収差を抑えた物もある。
  4. ^ 35mmサイズと比較して0.26倍、ニコン DXフォーマットと比較して0.6倍、キヤノン EOS Kiss デジタルXのイメージセンサーと比較して0.68倍となっている。
  5. ^ なお、パナソニック/ライカのLeica D レンズには絞りリングがあり、既に独自規格化が見られる。
  6. ^ 但し、他社のマウントと違い対応製品が販売されていないレンズあり。

[編集] 外部リンク