フォックス・テリアタイプ犬種

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フォックス・テリアタイプ犬種(フォックス・テリアタイプけんしゅ)は、ボディタイプやもともとの使役方法がイギリス原産のスムース・フォックス・テリアに類似する犬種のことを指す犬種群の呼称である。フォックス・テリアグループフォックス・テリアズなどとも呼ばれる事がある。これらの犬種はほとんどの種類の容姿が似ていて、時には専門家でさえ見分けがつかないこともあるといわれている。この犬種群の外見は主に

  • 小型でスクウェアな体格
  • 耳は垂れ耳又はボタン耳(立っているが先が垂れていて耳孔をふさいでいる耳形)、尾は垂れ尾(断尾する種類もある)
  • マズルと脚がやや長く、コートは長毛種・短毛種ともに硬めである

の3つの特徴を備えていて、キツネ狩りなどのために使われたためを掘る事が大好きで活発である事が共通点である。しかしながら、一見するとみな同じように見えるこれらの犬種も、全ての点において同じであるというわけではない。それぞれが別の地域で改良された、別の特性や特徴を備えた独立犬種である。

日本において最も人気の高いフォックス・テリア・タイプ犬種の一種はジャック・ラッセル・テリアであるが、これとそれの兄弟種であるパーソン・ラッセル・テリア以外のものはあまり知られておらず、国内への輸入もほとんどされていない。

ちなみにこの犬種郡名はあくまで類似犬種の仲間のグループをさす呼称であって、各国のケネルクラブの犬種区分のグループとは全く別のものである。なお、ケネルクラブでの公認犬種のグループ分けの仕方は主に使役内容によって分けられている。図鑑等によっては「フォックス・テリアの仲間」といった旨の表記がなされていることもあるが、この犬種群の呼称はあまり一般的には普及していない。

フォックス・テリアタイプ犬種の一覧[編集]

ワイアーヘアード・フォックス・テリア
スムース・フォックス・テリア
トイ・フォックス・テリア
  • スムース・フォックス・テリア(英:Smooth Fox Terrier )
    イギリスのイングランド原産。この犬種群の由来となった犬種である。現地などでは現在もワーキング・テリアとしてキツネ狩りに用いられている。原産地外の国ではペットとしても地味ながら根強い人気があるが、日本ではワイア・フォックス・テリアやジャック・ラッセル・テリアの人気の陰に隠れてあまり年間登録頭数が多くなく、未登録の年度も少なくない。ワイア・フォックス・テリアはこれをワイアーヘアに改良したものをもとに作出された。
  • アイリッシュ・ジャック・ラッセル・テリア(英:Ilish Jack Russell Terrier)
    アイルランド及びアメリカ合衆国原産。ジャック・ラッセル・テリアの兄弟種の一つで、アイルランドで作出されたが移民によってアメリカ合衆国に渡って更なる改良が加えられたため二つの原産国を持つ。ジャック・ラッセル・テリアの愛好家などにはアイリッシュ種若しくはアイリッシュジャックとも呼ばれている。
  • アメリカン・ヘアレス・テリア(英:American Hairless Terrier)
    アメリカ合衆国原産。珍しいヘアレスのフォックス・テリアタイプ犬種で、アメリカン・ラット・テリアの突然変異の無毛個体を基に作出された愛玩用犬種である。ヘアレス犬種のルーツを紐解く重要な手がかりにもなった。
  • アメリカン・ラット・テリア(英:American Rat Terrier)
    アメリカ合衆国原産。もとはネズミ狩りの犬種だが、原産国ではペットとしても人気がある。アメリカン・ヘアレス・テリアはこれの突然変異個体をもとに作出された。兄弟種には胴長短足のテディ・ルーズベルト・テリアがある。
  • アンダルシアン・マウス・ハンティング・テリア(英:Andalusian Mouse-Hunting Terrier)
    スペインアンダルシア地方原産。小型で本来はネズミ狩り用の犬種だが、キツネ狩りも行える。正式な犬種名をめぐっての争いが絶えず、異名も数多い。原産地外ではめったに見られないが、外見がよくジャック・ラッセル・テリアに似る。
  • イングリッシュ・ラット・テリア(英:English Rat Terrier)
    イギリス原産。アメリカン・ラット・テリアテディ・ルーズベルト・テリア原種でもある。
  • シーリデール・テリア(英:Sealydale Terrier)
    南アフリカ原産の古い二重純血犬種シーリハム・テリアエアデール・テリアを交配させたものをもとに作出され、ネズミ狩りや害獣駆除に用いられていた。1940年代に作出されたが、1960年代以降の記録が確認されていないため絶滅した可能性が高い。
  • シュロプシャー・テリア(英:Shropshire Terrier)
    イギリスのイングランド原産。シェロプシャー・テリアともいう。もともとスムース・フォックス・テリアから派生したキツネ狩り用の犬種であったが、攻撃的な性格のため番犬やその他の獣を狩る猟犬として重宝された。20世紀頃に純血の犬は絶滅した。
  • ジャック・ラッセル・テリア(英:Jack Russell Terrier)
    イギリスのイングランド原産。この犬種群の中で最も知名度が高く、人気のある犬種である。もとはキツネ狩りに使われていて、外見よりも能力を重視して作出されたため現在でもコートにバリエーションがあり、スムースラフワイアの3種類のタイプがある。パーソン・ラッセル・テリアとアイリッシュ・ジャク・ラッセル・テリアはこれの兄弟種である。
  • チリアン・テリア(英:Chilean Terrier )
    チリ原産。チリアン・フォックス・テリアとも呼ばれる。ネズミやキツネを狩るための犬種で、原産国では一般的である。ブラジルのブラジリアン・テリアは兄弟種で姿も似ているが、チリアン・テリアのほうが細身でマズルが長い。
  • テディ・ルーズベルト・テリア(英:Teddy Roosevelt Terrier)
    アメリカ合衆国原産。これより胴が短く脚の長いアメリカン・ラット・テリアの兄弟種である。犬種名は本種とラット・テリアの熱烈な愛好家であったセオドア・ルーズベルトアメリカ合衆国大統領のニックネームにちなんでつけられた。
  • テンターフィールド・テリア(英:Tenterfield Terrier)
    オーストラリア原産。主に大農場の大規模なネズミ狩り・害獣駆除に使われる珍しい犬種。専ら作業犬として使われている犬種で、外見はややスムースコートのジャック・ラッセル・テリアに似る。害獣に噛まれないように断尾が施される事がある。
  • トイ・フォックス・テリア(英:Toy Fox Terrier)
    アメリカ合衆国原産。ペット兼ネズミ狩りのための犬種を作り出すため、スムース・フォックス・テリアにチワワミニチュア・ピンシャーなどをかけ合わせて作出された。小柄で華奢だがフォックス・テリアの特徴を残している。又、耳と瞳が大きい。
  • トイ・ラット・テリア(英:Toy Rat Terrier)
    アメリカ合衆国原産。アメリカン・ラット・テリアの作出の際に出来た小型のものを固定化し、犬種としたものである。主に愛玩犬として作出されたが、アメリカン・ラット・テリアのようにネズミを狩ることが出来る。
  • 日本テリア(英:Japanese Terrier)
    日本の神戸市原産。スムース・フォックス・テリアの血の入ったミックス犬とトイ・ブル・テリアの交配によって生まれたクロ号に地元の小型猟犬を交配させて作出された。猟犬の血を引くものの狩猟本能は無くおしとやかな性格で、純粋に愛玩犬としてのみ飼育される。原産国である日本でもあまり見かけない犬種だが、アメリカやイギリスでは人気が有り、日本女性のような繊細な美しさがあると賞賛されている。
  • パーソン・ラッセル・テリア(英:Parson Russell Terrier)
    イギリスのイングランド原産。ジャック・ラッセル・テリアとアイリッシュ・ジャック・ラッセル・テリアの兄弟種で、これはとともに走ることが出来るように脚が長く俊足になるように改良されている。キツネ狩りに使われる他、ペットとしても飼育されていて、日本にも年に数頭登録されている。
  • ブラジリアン・テリア(英:Brazilian Terrier)
    ブラジル原産。ジャック・ラッセル・テリアがブラジルに渡り、他犬種と混血し固定したものである。非常に頭がよく、いたずらも大好きである。しつけや狩猟の方法もよく飲み込むため、原産国では人気の犬種である。
  • ワイアーヘアード・フォックス・テリア(英:Wire Fox Terrier)
    イギリスのイングランド原産。スムース・フォックス・テリアをワイアーヘアに改良して怪我の防止を図ったものである。現在では世界的に原種のスムースよりも人気が高い。

参考[編集]

  • 『犬のカタログ2004』(学研)中島眞理 監督・写真
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2007』(辰巳出版)佐草一優監修
  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』(誠文堂新光社)デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2009』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著

関連項目[編集]