フェリックス・シュタイナー

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シュタイナー親衛隊中将(1942年12月)

フェリックス・マルティン・ユリウス・シュタイナー(Felix Martin Julius Steiner, 1896年5月23日1966年5月12日)は、ドイツ軍人親衛隊大将

経歴[編集]

東プロイセンエーベンローデ生まれ。1914年3月、陸軍に志願しティルジットの歩兵第41(第5東プロイセン)「フォン・ボイェン」連隊に士官候補生として配属される。その年に勃発した第一次世界大戦に従軍。1914年11月に重傷を負い、1915年1月、少尉に任官。1918年まで西部戦線東部戦線の各戦地で従軍し、1918年10月に中尉に昇進。

終戦後の1919年、東プロイセンで義勇軍に加入。1921年、軍に採用されるが、ヒトラー政権が成立した1933年に少佐を最後に辞す。同年ナチ党に入党し突撃隊に入隊、教育部長に就任し、突撃隊を第二国軍とするための軍事教練の教書を変名で書く。1935年、親衛隊に転じる。

1936年7月1日、親衛隊大佐として新設の親衛隊特務部隊「ドイチュラント」連隊指揮官に任命される。同年10月、バート・テルツの親衛隊士官学校教官に就任。カッシウス・フォン・モンティグニー男爵(de:Cassius Freiherr von Montigny)と共に、武装親衛隊の戦術教官を務める。1938年、ドイチュラント連隊を率いてズテーテン進駐に従事。

第二次世界大戦が始まると、同連隊を率いポーランド侵攻西方電撃戦に従軍。戦功により1940年8月に騎士鉄十字章を受章し、11月には親衛隊少将に昇進。12月、第5SS装甲師団「ヴィーキング」師団長に補される。独ソ戦に従軍し、1942年1月に親衛隊中将に昇進、12月23日、柏葉付騎士鉄十字章を受章。1943年3月に第3SS(ゲルマン)装甲軍団司令官に就任。1943年10月、病気のため司令官を辞す。1944年8月、剣付柏葉騎士鉄十字章を受章。健康が回復したためポンメルン第11装甲軍司令官に就任。

1945年3月、ベルリン北方を守る「シュタイナー軍集団」司令官に任命されるが、軍集団とは名ばかりの書類上の存在だった。ベルリンの戦いの最中、シュタイナー軍集団はソ連軍の包囲下にあるベルリン援護を命じられたが、戦力が不足していたためシュタイナーは攻撃命令を実行しなかった。このため命令不服従のかどで4月27日に司令官を解任された。5月3日、エルベ川アメリカ軍の捕虜となる。ニュルンベルク裁判では人道に対する罪などで戦争犯罪人として裁かれた。1948年に釈放される。

戦後は『嫌われ者の軍隊』『義勇兵』などの著作や、第二次世界大戦を舞台とした小説を書いた。戦後シュタイナーは武装親衛隊について、ナチ党や親衛隊とは独立した普通の軍隊であったことを一貫して主張した。いわく、武装親衛隊は軍事組織であったにもかかわらず、ナチズムの犯罪行為に結び付けられて語られる「嫌われ者の軍隊」であると。確かに戦争中、シュタイナー、パウル・ハウサーヴィルヘルム・ビットリッヒらは親衛隊やハインリヒ・ヒムラーの支配から距離を置こうと試みていた。しかし一方で、武装親衛隊の士官学校ではナチズムの思想が教え込まれていた。シュタイナーは、武装親衛隊が上層部に命じられ数多くの犯罪に手を染めていた軍隊であったことには触れなかった。

ミュンヘンにて死去。

ちなみにアメリカ合衆国の陸軍士官学校には彼の肖像画が飾られている。

SSとの関わり[編集]

シュタイナーはパウル・ハウサーと並んで、武装親衛隊の育成に貢献した人物である。武装親衛隊は早くから構想されていたが、軍事力としての親衛隊の育成が始まったのはナチ政権成立後である。親衛隊は基本的にはヒトラー個人の私兵という政治的軍隊であった。しかしシュタイナーはライプシュタンダルテ・SS・アドルフ・ヒトラーには懐疑的で、ミュンヘンでの親衛隊会合の席上、ゼップ・ディートリッヒの目の前で「LSSAHは仰々しいものだ、しかし総統がその配下の金髪の神々の連中の能力のなさに気がついたら、クビになるだろうさ」と罵倒している。

シュタイナーは親衛隊を武装組織に変える訓練が出来た、親衛隊では数少ないプロの元軍人だった。伝統的なプロイセン参謀本部の流れをくむ同僚のハウサーが保守的な軍事思想を持っていたのに対し、シュタイナーは前線での経験から、突撃部隊による浸透戦術を用いた機動戦を重視した。そのため、ドイツ国防軍のような集団教練ではなく、個人の肉体鍛練を目的としたスポーツ訓練を重視した。

参考文献[編集]

(翻訳元であるドイツ語版ウィキペディアに掲載されているもの)

  • Mark P. Gingerich, Felix Steiner- Himmlers "ausgesprochenes Lieblingskind" in Die SS: Elite unter dem dem Totenkopf-30 Lebensläufe, Hrsg. Ronald Smelser, Enrico Syring, Darmstadt 2003.
  • Gordon Williamson: Die SS - Hitlers Instrument der Macht, Neuer Kaiser Verlag Gesellschaft m.b.H., Klagenfurt 2005
  • Christopher Ailsby: Die Geschichte der Waffen- SS, Tosa Verlag, Wien 2004