フェラーリ・250TR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
1961 Ferrari 250TR61

250TR(テスタロッサ)は58年からのワールド・スポーツカー・チャンピオンシップ用に、スクーデリア・フェラーリが開発したレース用車両。19台の市販型と、ワークスが使用した15台がある。

概要[編集]

1953年から始まったワールド・スポーツカー・チャンピオンシップには、排気量制限が定められていなかったため、メルセデス・ベンツや、アストン・マーティンジャガーマセラッティフェラーリなどが大排気量のマシンを投入し、セブリングニュルブルクリングミッレミリアル・マン24時間レースなどのレースに参加していた。

メルセデスは1955年のルマンでの事故により、55年以降参加することは無かったが、フェラーリチームは、53年、54年、56年、57年とチャンピオンシップを獲得している。尚、55年にル・マンで大事故を起こしたメルセデスは、レースを途中棄権したが、それまでのポイントにより、55年のチャンピオンを獲得した。

57年のシーズン終了後、CSIはスピードが上がりすぎるのを抑制する目的で、58年シーズンからレーシングスポーツの排気量を3ℓまでに制限すると発表した。

250TR61のTestaRossaエンジン

開発[編集]

フェラーリ社では、開発に先立ち搭載するエンジンの選択に迫られたが、315Sの4カム(DOHC)や、ディーノV6等は開発期間の問題から却下され、コロンボ系のV12エンジンに決定された。これは、少量ながら市販される前提のため、プライベートユーザーの手に渡った場合、DOHCは扱いがシビアすぎるとの見解からも見送られ、SOHCの250GTユニットに決定された。

新型3ℓマシンへの搭載にあたり、それまでの250GTユニットからの改良点は、点火プラグの位置をVバンクの内側から、排気ポート側へ移動、それにより6基のツインチョーク・ダウンドラフト・ウェーバー・キャブレターが搭載可能になった。さらにバルブ径の拡大や、軽量化されたコンロッドやピストンへ変更された結果、最高出力が従来型の240~260bhpから300bhp/7200rpmへ強化された。このエンジンの開発時、カムカバーを旧型エンジンとの識別のために赤く塗っていたため、新型マシンは250TestaRossa(赤い頭)とネーミングされた(250は当時のフェラーリの伝統に習い、一気筒当りの排気量を表す)。250TRと略される場合がある。

尚、TRと呼ばれるモデルはこれ以前に、500TR(ランプレディ設計の4気筒エンジン搭載)がある。

シャーシは従来型と変わらず、航空機用の太い鋼管によるラダーフレーム、サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーンとコイル、リアは横置きリーフスプリングド・ディオンアクスルか、トレーリングアームとリーフスプリングによるリジットアクスルが選択できた(市販型は後者のみ、後者のリアサスペンションは250GTOまで使われた)。

初期型のボディはいわゆるポンツーンフェンダーを持ち、グリル脇から切れ込むようなデザインを持っている(主にフロントドラムブレーキの冷却目的)。デザイン及び製作はスカリエッティで、オールアルミニウムによる叩き出しで製作されていた。尚、同じボディを持つ250モンツァと呼ばれるモデルも存在する。

1958 FERRARI 250TestaRossa

TR/57年型[編集]

最も初期型となるTR57年型は、58年までに19台製造され市販された。初期型TRの250ユニットはピストンにクラックが入るトラブルが多く発生していたため、勝てなかったレースも多かった。

57年型のスペック

  • エンジン:V型12気筒 SOHC 2バルブ 2953cc 300bhp/7200rpm
  • 燃料供給:ウェーバーキャブレター38DCN ×6
  • 点火装置:バッテリー&コイル
  • 変速機:フェラーリ自社製4段+リバース サイレントシンクロメッシュ
  • ホイールベース:2350mm トレッド:フロント/1308mm リア/1300mm
  • サスペンション:フロント/ダブルウィッシュボーン リア/トレーリングアーム
  • ブレーキ:フロント/リアともアルフィン付ドラム(F:ツーリーディング、R:リーディング・トレーリング)
  • タイヤサイズ:フロント/5.50×16 リア/6.00×16
  • 燃料タンク容量:140ℓ
  • 乾燥重量:800Kg
1962 Ferrari 330 TRI-LM

ワークスカー[編集]

ワークスで使用されたTestaRossaには、プロトタイプとして製作された2台、TR58が2台、TR59が2台、TR59/60が4台、TRI60が2台、TR61が2台、4ℓエンジンを搭載し62年のル・マンで優勝した330LM(TRI)の合計15台がある。初期のプロトタイプ以外は、全てダンロップ製の4輪ディスクブレーキを装備する。

TR59以降はボディがピニンファリーナデザインとなり、ディスクブレーキを採用した結果、不用になったポンツーンフェンダーからラウンドノーズへ変更された。

TRI60のIはIndependent:独立サスペンションを意味し、その後250P等にも採用されるダブルウィッシュボーンサスペンションを採用していた。この年のレギュレーション変更により、ウインドシールドが大型化され、コックピット全体を覆うものへ変更された。

TR61はボディデザインを一新、いわゆる山猫スタイルの、2分割エアインテークグリルのノーズとカットオフテールのリアボディを採用していた。

330LM/TRIは、4ℓエンジンを搭載、TR61のフロント周りと、空気の清流効果を狙ったウイング状のロールバーを採用していた。

330LM/TRIは、ル・マン24時間レースで優勝した最後のフロントエンジンカーとなった。

外部リンク[編集]

フェラーリ ロードカータイムライン 1940年代-1960年代  Next ->
タイプ 1940年代 1950年代 1960年代
7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
FR スポーツ 125S 166S 195S 212エクスポート 225S 250MM 250モンツァ 250GT
ツールドフランス
250GT
SWB
250GTO 250LM
159S 250S 250
エクスポート
GT 166
インター
195
インター
212インター 250ヨーロッパ 250GT
ヨーロッパ
250GT
ボアノ
250GT
エレナ
250GT
クーペ
/スパイダー
250GT
ルッソ
275GTB 275GTB/4 365GTB/4
デイトナ
2+2 250GTE 330GT 365GT
MR ディーノ206
アメリカ 340
アメリカ
375
アメリカ
/MM
410
スーパーアメリカ
400
スーパーアメリカ
500
スーパーファスト
365
カリフォルニア