フィッシャー症候群

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フィッシャー症候群(フィッシャーしょうこうぐん、英語: Fisher's syndrome)は、ギラン・バレー症候群の亜型とされる疾患である。急性・単相性の疾患であり、先行感染髄液蛋白細胞解離を伴うという点ではギラン・バレー症候群と類似しているが、上肢運動麻痺はないという点が異なる。ランビエ絞輪周囲の髄鞘に局在するガングリオシドGQ1bに対する抗体により動眼神経滑車神経外転神経が障害を受け、外眼筋麻痺を示す。

ギラン・バレー症候群と同等の治療を行うこともあるが、経過観察で自然治癒することも多い。

歴史[編集]

1956年フィッシャー(Fisher)が急性発症の外眼筋麻痺と運動失調、腱反射消失を主徴とし、単相性の経過をたどる3例を報告した。責任病巣に関しては2010年現在も未だに論争中である。

ビッカースタッフ型脳幹脳炎との関係[編集]

1951年ビッカースタッフ(Bickersttaff)が Mesencephalitis and rhombencephalitis と題して3例、次いで1957年に Brainstem encephalitis として5例を加えた8例の報告を行った。カンピロバクターやインフルエンザ桿菌による先行感染後、外眼筋麻痺、失調、意識障害などを呈し、脳波でも全般性徐波が認められ、単相性の予後良好な疾患でありビッカースタッフ型脳幹脳炎と言われるようになった。ギラン・バレー症候群と同様の分子相同性疾患と考えられており、責任抗体も抗GQ1b抗体でありフィッシャー症候群に類似する。脳波体性感覚誘発電位など電気生理学的検査や病的反射陽性例や深部腱反射亢進といった臨床症状で中枢神経系の障害が認められる点がフィッシャー症候群と異なる。ギラン・バレー症候群を合併し、四肢の筋力低下も伴うことがある。しかし、合併例と非合併例で臨床所見に有意差が認められない。ビッカースタッフ型脳幹脳炎とフィッシャー症候群を連続する疾患単位ととらえて Fisher-Bicerstaff 症候群と呼称したり、anti-GQ1b IgG antibody syndorome としてとらえる動きもある。anti-GQ1b IgG antibody syndorome にはPCB[1]も含まれる。重要な鑑別疾患に治療可能なウェルニッケ脳症がある。

脚注[編集]

  1. ^ : pharygeal-cervical-brashial weakness

参考文献[編集]

  • Fisher syndrome and Bickerstaff brainstem encephalitis (Fisher-Bickerstaff syndrome).、Yuki N. J Neuroimmunol誌 2009年10月30日;215(1-2):1-9. Epub 2009 Jul 29. Review.PMID 19643503
  • Clinical features, pathogenesis, and treatment of Guillain-Barré syndrome.、van Doorn PA, Ruts L, Jacobs BC. Lancet Neurol誌 2008年10月;7(10):939-50. Review.PMID 18848313
  • Clinical and immunological spectrum of the Miller Fisher syndrome.、Lo YL、Muscle Nerve誌 2007年11月;36(5):615-27. Review.PMID 17657801

外部リンク[編集]