ファースト・ソーラー
| 種類 | 公開会社 |
|---|---|
| 市場情報 | NASDAQ: FSLR
|
| 本社所在地 | アリゾナ州テンピ |
| 設立 | 1999年(当初の社名は First Solar Holdings, LLC) |
| 業種 | 製造業 |
| 代表者 | Robert J. Gillette, CEO Michael J. Ahearn, 会長 |
| 売上高 | |
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| 純資産 | |
| 総資産 | |
| 従業員数 | |
| 外部リンク | www.firstsolar.com |
ファースト・ソーラー(First Solar)は、太陽光を電力に変換する低コストの薄膜太陽電池モジュール(ソーラーパネル)を製造・販売する企業。一般的な結晶シリコンではなくテルル化カドミウム (CdTe) を使い、より低コストで様々な温度や太陽光の条件下でも発電能力の高いモジュールを製造している[2]。実験室での評価では、CdTeテクノロジーを使ったソーラーパネルの発電効率は高くないが[2]、屋外での評価ではシリコンをベースとしたものと同等かそれ以上の性能を発揮する[3]。
ファースト・ソーラーは世界で初めて発電能力1ワット当たりの製造コストを1ドル未満にした企業であり、太陽光発電コストを従来の発電方法のレベルにまで下げた[4]。これが太陽光発電産業の転換点になったと考えられる。
目次 |
[編集] テクノロジー
ガラス上にテルル化カドミウム (CdTe) の薄膜を形成した太陽電池モジュールを製造している[2]。最近では変換効率11%を達成した。CdTeテクノロジーは太陽電池技術の中でも環境にやさしいといわれている[5]。
[編集] 歴史
1984年、ハロルド・マクマスター (en) が Glasstech Solar を創業。マクマスターは薄膜太陽電池を大規模に製造しようと考えていた。アモルファスシリコンを試した後、ジム・ノーランの勧めでCdTeに移行し、1990年に Solar Cells, Inc. (SCI) を創業[6]。1999年2月、マクマスターは会社をウォルマートのオーナーとして有名なウォルトン家が運営するベンチャーキャピタル True North Partners に売却した[7]。新会社の取締役会にはジョン・T・ウォルトン (en) も参加し、True North の Mike Ahearn がCEOに就任して新社名をファースト・ソーラーとした。当初ファースト・ソーラーの太陽電池モジュールの変換効率は低く、7%程度だった。
ファースト・ソーラーは2002年に製品の生産を開始し、2005年には年間生産量を発電量に換算して25メガワットに到達[8]。2009年末には年間生産量が1ギガワットを越え[9]、世界一の太陽電池モジュール製造企業となった[10]。
本社はアリゾナ州テンピにあり、工場はオハイオ州トレド近郊、ドイツのフランクフルト・アン・デア・オーダー、マレーシアのクリムにある。また、フランス、アメリカ合衆国、ベトナムで新たに工場を建設中である[11]。さらに、天然ガス供給会社 Enbridge と共同で世界最大の太陽光発電所をアメリカとカナダの国境に近いオンタリオ州サーニアに建設した[12]。
2010年7月、ファースト・ソーラーはユーティリティ・ビジネス部門を創設し、大規模太陽光発電ソリューション市場に進出した。様々な顧客へのソーラーパネル製造販売、エンジニアリング、調達、建設、操作、保守といったサービスを続けながら、新部門では太陽光発電所で発電した電力を顧客に売るユーティリティ事業を展開する[13]。
[編集] 市場の変遷
ファースト・ソーラーはソーラーパネルを設置業者、システムインテグレーター、独立発電業者などに販売している。当初は、2000年に太陽光発電を優遇する法律ができたドイツでの売り上げが主力だった。アメリカ合衆国では太陽光発電で電力供給(販売)できるようになるための企業買収を行い、今後売り上げが増えることが期待されている。実際、アメリカ国内で売電している太陽光発電施設の40%以上がファーストソーラーの製品を使っている[14]。
ファースト・ソーラーは長期契約の受注残を抱えており、総額約63億ドルとなっている[15]。ファースト・ソーラーの製品を使っているヨーロッパの開発業者、システムインテグレーターなどは15社ある。2007年、そのうちの6社(Blitzstrom GmbH、Colexon Energy AG、Conergy AG、Gehrlicher Umweltschonende Energiesysteme GmbH、Juwi Solar GmbH、フェニックス・ソーラー)がファースト・ソーラーの売り上げの10%から23%を占めていた。2007年、新たに EDF Energies Nouvelles、Sechilienne-Sidec、Rio Energie、Sun Edison と契約を結んだ。また、Juwi との契約内容を拡大した[16][17]。2010年8月、Colexonとの契約を拡大している[18]。
ファースト・ソーラーの1ワットの発電能力当たりの製造コストは、2007年には1.23ドル、2008年には1.08ドルだった。2009年2月24日、その値は1ドルの壁を突き破り0.98ドルとなった。2010年第1四半期には、1ワット当たり0.77ドルにまで低減されている[19]。
2010年3月、ファースト・ソーラーはソーラーパネル専門業者として初めてデザーテック(Desertec Industrial Initiative、DII)に参加した[20]。デザーテックはサハラ砂漠で太陽光や風力などで大規模に発電し、その電力をアフリカやヨーロッパに供給するという巨大プロジェクトである。ファースト・ソーラーは太陽光発電施設についての専門知識でこのプロジェクトに貢献する。
[編集] 生産能力の変遷
2009年時点で、24の製造ラインがあり、1,228メガワットの製造能力がある。各製造ラインの製造能力は53メガワットである。最初の工場はオハイオ州に建設し、その後ドイツのフランクフルト・アン・デア・オーダーに4つの製造ラインを持つ工場を建設した。2007年4月、マレーシアの Kulim Hi-Tech Park に工場を建設することを発表し、2009年には同地域に4工場を持つまでになった。2008年10月、オハイオ州の最初の工場の拡張を開始し、2010年に工事が完了した[21]。それによって年間生産能力が1,228メガワットとなった。
2009年、マレーシアにてさらに2工場(それぞれ4製造ライン)の建設を開始した。さらに2009年夏、フランスに第4の工場を建設する計画を発表。2010年10月には、ベトナムとアメリカ合衆国に4製造ラインの工場を建設することを発表した。このような拡大路線により、ファースト・ソーラーの生産能力は2010年には1.4ギガワット、2012年には2.7ギガワットとなる(2009年時点の稼働率を維持した場合)[22]。
同社はまた、ドイツの工場の生産能力を2倍にすることを計画している。ヨーロッパでの需要増に応えるためで、236メガワットから約472メガワットへと増強する[23]。
| 国 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 製造ライン毎の生産能力 | 25 MW | 33 MW | 44 MW | 48 MW | 53.4 MW | 59.6 MW | 59.6 MW | 59.6 MW |
| USA(オハイオ州) | 25 MW | 99 MW | 132 MW | 143 MW | 160 MW | 238 MW | 238 MW | 238 MW |
| ドイツ | - | - | 176 MW | 191 MW | 214 MW | 238 MW | 477 MW | 477 MW |
| マレーシア | - | - | - | 382 MW | 854 MW | 954 MW | 1430 MW | 1430 MW |
| フランス | - | - | - | - | - | - | - | 119 MW |
| ベトナム | - | - | - | - | - | - | - | 238 MW |
| 総生産能力 | 25 MW | 100 MW | 308 MW | 716 MW | 1228 MW | 1430 MW | 2146 MW | 2742 MW |
- 出典: First Solar Financial Report for Quarter 3 2010
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[編集] 業績
同社の財務報告によると、2009年度の利益は6億4010万ドルで、一株あたり7.53ドルとなった[24]。2010年度は第3四半期末時点で利益が5億800万ドルとなり、通期で前年度を上回ることが確実である[24]。
2008年11月、フォーチュン誌はファースト・ソーラーについて「目標達成を至上課題とする経営陣によって、不要なコストを削減し、定期的に自らの目標や市場の予想を超えて行く」と評している[25]。ファースト・ソーラーの成功の主要因はその経営にあるが、ソーラーパネルの低価格さがその根幹にある。シリコンの代わりにテルル化カドミウムを使ったことが低価格達成を可能とした。例えば結晶シリコンのソーラーパネルでは1ワット当たり平均で1.85ドルのコストがかかる[26]。
[編集] グリッドパリティ
詳細は「グリッドパリティ」を参照
ファースト・ソーラーは2010年第3四半期に1ワット当たりの製造コストが77セントとなったことを発表した。2014年までに1ワット当たりの製造コストを52セントから63セントまで下げることを計画している。コスト低減の最大要因は生産効率の向上である[27]。
[編集] 導入実績
ファースト・ソーラーが関わった大規模な太陽光発電プロジェクトを示す。
[編集] ヨーロッパ
- 2008年10月、Riedel Recycling がドイツ最大の薄膜ソーラーパネルによるルーフ発電システムをデュイスブルク近郊のメールスに設置。11,000枚のファースト・ソーラー製パネルで、837kWの発電能力がある[28]。
- ドイツのトリーアにある Stadtwerke Trier (SWT) は世界有数の薄膜ソーラーパネルによる太陽光発電施設。2009年2月現在、年間9GWhの電力を発電すると見積もられており、2,400戸の電力消費をまかなえるとされている。また、20年間に渡って10万トンのCO2を削減すると見積もられている[29]。
- ドイツのライプツィヒ近郊の Walkdpolenz Solar Park は世界有数の薄膜ソーラーパネルによる太陽光発電施設。Juwi Group が建設し、40MWの発電能力がある。2008年に本格稼働を開始。
- かつての陸軍の訓練場だった126ヘクタールの土地を使って建設されたドイツの Lieberose Solar Park は2009年12月に稼働開始し、53MWの発電能力を有する。70万枚のソーラーパネルを使用している[30]。
- イタリアのヴェローナにある競技場スタディオ・マルカントニオ・ベンテゴディでは、ファースト・ソーラー製薄膜ソーラーパネルを1万3千枚屋根に設置している[31]。
[編集] 北米
- ネバダ州ボールダーシティの El Dorado Solar Power Plant は、Sempra Generation が開発・運営しており、面積88エーカーで10MWの発電能力がある。2008年7月建設が始まった[32]。2009年4月、Sempraとファースト・ソーラーは発電能力を48MWに拡張することを発表。2011年にこの拡張が完了すると、3万戸の電力消費をまかなえ、毎年5万トンのCO2削減となるという[33]。
- カリフォルニア州ブライスには、NRG Energy が運営する21MWの太陽光発電施設がある。面積は200エーカーで、毎年1万2千トンのCO2削減となっている[32]。
- カリフォルニア州のデザートセンターには550MWの太陽光発電所を建設予定であり、Pacific Gas and Electric Company(300MW)と Southern California Edison(250MW)に電力を売る契約をしている。約16万戸の電力消費をまかなえる能力がある[34][35]。
- カナダのオンタリオ州サーニアには80MWの太陽光発電所がある。ファースト・ソーラーとEnbridgeが2010年10月に完成させた。稼働中の太陽光発電所としては世界最大であり、1万2800戸の電力消費をまかなえる[36]。
- カリフォルニア州サンルイスオビスポ郡に建設予定の550MWの Topaz Solar Farm は Pacific Gas and Electric Company に電力を売る契約となっている[37]。
- ニューメキシコ州シマロンにある30MWの太陽光発電所は Southern Company と Turner Renewable Energy が買い取ったもので、ファースト・ソーラーが開発・建設を行った。また、25年契約で運用と保守を請け負っている。約9000戸または18000人の電力消費をまかなえ、毎年4万5千トンのCO2削減となっている[38]。
[編集] アジア
[編集] 関連項目
- 国際電気標準会議 (IEC)
- アメリカ保険業者安全試験所 (UL)
[編集] 脚注・出典
- ^ a b c d e f CORRECTING and REPLACING First Solar, Inc. Announces 2009 Fourth Quarter and Year-end Financial Results - Maintains Previously Issued 2010 Guidance, Feb 19, 2010, News Release, First Solar
- ^ a b c Fast-growing First Solar announces deals and plants, CNet.com, 11/6/07
- ^ "PHOTON Yield Measurement 2010", Photon Laboratory, June, 2010
- ^ Anya Kamenetz, "Most Innovative Companies: 2010", Fast Company, 2/17/10
- ^ Vasilis M. Fthenakis, Life cycle impact analysis of cadmium in CdTe PV production, 2003
- ^ After long wait, McMaster to join hall of fame、toledoBlade.com
- ^ D. H. Rose, Oct. 1999, p. Viii (preface)
- ^ "First Solar annual manufacturing levels". FirstSolar.com. 2008.
- ^ First Solar Top Module Supplier, Ships 1-GW in 2009、RenewableEnergyWorld.com、2010年5月6日
- ^ First Solar to Produce Twice as Much as Leading Crystalline Solar Module Suppliers in 2009、iSuppli、2009年9月4日
- ^ E.D.F. and First Solar to Build Largest French Solar Plant、ニューヨーク・タイムズ、2009年7月23日
- ^ Enbridge and First Solar complete Sarnia Solar Project、iStockAnalyst、2010年10月5日
- ^ First Solar Creates Utility Systems Business、First Solar、2010年7月1日
- ^ US Utility Solar-Farm Market To Double Annually By 2015-Study、ウォールストリート・ジャーナル、2010年11月30日
- ^ First Solar, Inc. Q3 2008 Earnings Conference Call Transcript Page 6 of 10, October 29, 2008, about: FSLR
- ^ http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1274494/000095015308000367/p75017e10vk.htm#111 First Solar Inc. SEC Form 10-K for the Fiscal Year Ended December 29, 2007, page 5
- ^ First Solar Announces Expansion、First Solar、2007年9月27日
- ^ COLEXON secures additional volume of First Solar modules、Colexon、2010年8月27日
- ^ First Solar shares fall after average cost of panels rises、toledoBlade.com、2010年10月30日
- ^ First Solar Joins Desertec、First Solar
- ^ First Solar Planning U.S. Manufacturing Plant That Would Add 600 New Jobs、The Solar Home & Business Journal、2010年10月14日
- ^ First Solar Announces Plans for Two New Manufacturing Facilities、First Solar、2010年10月14日
- ^ Onwards and upwards: First Solar to double Frankfurt (Oder) capacity to 446MW、PV-Tech、2010年6月8日
- ^ a b CORRECTING and REPLACING First Solar, Inc. Announces 2009 Fourth Quarter and Year-end Financial Results - Maintains Previously Issued 2010 Guidance、First Solar、2010年2月19日
- ^ Solar stocks for a rainy day、CNN Money.com、2008年11月4日
- ^ Suntech Abandons Thin Film, Wafer Experiments、greentech media、2010年8月6日
- ^ First Solar goes for reduction in manufacturing cost, 2 July 2009, Thin Film Today
- ^ Germany’s largest thin-film pitched roof system begins production, 28 October 2008, By Syanne Olson, Photovoltaics International
- ^ Thin-film solar park in Trier connected to the grid、Thin Film Today、2009年2月6日
- ^ Germany Turns On World's Biggest Solar Power Project、Spiegel Online、2009年8月20日
- ^ juwi rüstet Stadion in Verona mit Photovoltaik-Anlage aus; bis 2012 PV-Anlagen mit insgesamt 2.500 Megawatt geplant、SolarServer、2009年9月21日
- ^ a b UTILITY-SCALE SOLUTIONS、First Solar
- ^ Sempra to expand solar power plant near Boulder City、Las Vegas Sun、2009年4月15日
- ^ First Solar Signs Contract with PG&E for 300 MW Photovoltaic Solar Power Project、First Solar、2010年3月9日
- ^ First Solar Sells 550 MW To PG&E, Southern California Edison、Green Energy Reporter、2010年3月9日
- ^ Enbridge and First Solar Complete the Largest Photovoltaic Facility in the World、First Solar、2010年10月4日
- ^ PG&E plans big investment in solar power、SFGate、2008年8月15日
- ^ First Solar Sells 30 Megawatt Solar Photovoltaic Power Project to Southern Company and Turner Renewable Energy、First Solar、2010年3月15日
[編集] 外部リンク
[編集] ニュース
- "First Solar: Quest for the $1 Watt," IEEE Spectrum, August 2008
- First Solar goes for reduction in manufacturing cost
- First Solar Profit Soars on Rising Solar-Panel Sales
- Managing director of First Solar GmbH speaks about developments in thin-film
- First Solar Completes 2-MW Project for SCE and is Awarded Second Contract
- First Solar's Bright Future - BusinessWeek
- Expert Representative for Malaysia in the International Energy Agency Photovoltaic Power System (IEA PVPS) Task 13 (Performance and Reliability of PV systems) 2010 - 2014 by Pusat Tenaga Malaysia