ピノ・ノワール

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ピノ・ノワール
ピノ・ノワールの実
ピノ・ノワールの実
別名 ブラオブルグンダー
シュペートブルグンダー
主な産地 シャンパーニュ
ブルゴーニュ
マールボロ
セントラル・オタゴ
オレゴン州
カサブランカ・バレー
ルーマニア
主なワイン ジュヴレ=シャンベルタンニュイ=サン=ジョルジュ
土壌 粘土質
ワインの特徴
特徴 軽いタンニン
低温気候 キャベツ、濡れ落ち葉の香り
中温気候 苺、ラズベリー、さくらんぼ、マッシュルーム、肉のような香り
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ピノ・ノワールPinot Noir)は、葡萄の品種の1つで、時にヴィニフェラとも呼ばれるヨーロッパ・ブドウの系統であり、フランスブルゴーニュを原産地とする。殆ど黒に近い、紫みを帯びた青色の果皮を持ち、主に醸造に使用され、赤ワインを造る代表的な品種の1つである。また、時としてこの品種から造られたワインそのものも指して呼ばれる。

もう一つの代表的赤ワイン用品種である カベルネ・ソーヴィニヨン種(Cabernet Sauvignon)とあらゆる部分に於て対照的な品種であり、ピノ・ノワール種を用いた赤ワインは比較的軽口で、渋み、タンニンが少ない。このため、カベルネ・ソーヴィニヨン種が上級者向けといわれるのに対し、ピノ・ノワール種は、テンプラニーリョ種(TEMPRANILLO)と並んで、赤ワイン初心者向けと宣伝されることも多く、軽口で飲みやすいものが多い。


栽培にはやや冷涼な気候を好み、高温多湿には特に神経を使う。この品種は遺伝子的に不安定で、この突然変異種に緑みを帯びた黄色の果皮を持つピノ・ブランPinot Blanc)や褐色のピノ・グリPinot Gris)などがあり、時には同じ樹に異なった色の果実がなるともいわれている。

ピノ・ノワールは、イタリアでは ピノ・ネロPinot Nero)として、また、ドイツでは シュペートブルグンダーSpätburgunder)の名で知られる。

ピノ・ノワールの栽培地域[編集]

フランス[編集]

ブルゴーニュ[編集]

AOCブルゴーニュの赤ワインには、ピノ・ノワールの 品種明記 (セパージュ) をしてあるものがあるが、コート・ドール県内で地区名・村名・畑名を名乗る高級赤ワインは、ほぼピノ・ノワール100%である。しかしこの品種は、ミクロ・クリマと呼ばれるほんのわずかな気候や土壌などの違いにより、香味が微妙に変わるため、畑や村ごとに、希少価値の高い個性的なワインが作られるのである。

アルザス[編集]

アルザスで唯一作られている赤ワイン用品種がこれである。ブルゴーニュのものに比べると、色が明るく、フレッシュで軽い香味のワインになる。

ラングドック=ルシヨン地方[編集]

いわゆる南仏の、ヴァン・ド・ペイと呼ばれるクラスのワインにもピノ・ノワールが見られる。この地方のワインの進歩はめざましく、シラー(ブドウ)やカベルネ・ソーヴィニョンなどではかなり評価が高いものも出ているが、気候が暑すぎるだけに、ピノ・ノワールではまだ余りよいワインは出てきていない。

シャンパーニュ[編集]

シャンパーニュは、わずかにロゼがあるほかは大半が白だが、こくを出すために、ピノ・ノワールとその枝変わり品種であるピノ・ムニエがブレンドされている。

ドイツ[編集]

ドイツのワインは圧倒的に白が多いが、高級赤ワイン用品種として唯一作られてきているのが、ドイツ語でシュペートブルグンダーSpätburgunderと呼ばれるピノ・ノワール種で、高級ワイン産地として知られるラインガウで栽培されている。

オーストリア[編集]

オーストリアではブラウアーブルグンダーBlauerburgunderと呼ばれ、最もポピュラーな赤ワイン用品種である。ベートーヴェンが一時店子になっていたマイヤー家で作られる「ベートーベンワイン」は、彼の肖像画と「第九」の楽譜の一部がラベルになっているいかにもオーストリアらしいワインであるが、赤はピノ・ノワールで作られている。

アメリカ合衆国[編集]

最大産地のカリフォルニア州はもちろん、オレゴン州ワシントン州など各地で生産されており、特にカリフォルニア州では、カレラ・ワイン・カンパニー(Calera Wine Company)やオーボンクリマ(Au Bon Climat)、ロバート・モンダヴィ(Robert Mondavi)、そしてウィリアム・セリイェム(William Selyem)等、ブルゴーニュ産ワインと同等以上の評価を受けているワイナリーも多い。最近ではオレゴン州ウィラメット・ヴァレーAVAが世界的に脚光をあびている。ただ、一般的には、アメリカやオーストラリアなどのワインは、ミネラル香が強い傾向があり、生産者によってはブルゴーニュワインとはイメージが異なる場合がある。

そのほかの国[編集]

イタリア北部、スイス、ルーマニア、チュニジア、チリ、アルゼンチン、ニュージーランドなどで作られており、かなり評価の上がってきているものもある。

突然変異種[編集]

  • ピノ・グリPinot gris
  • ピノ・ブラン
  • ピノ・ムニエPinot Meunier) 単に「ムニエ」(Meunier)とも呼ばれ、この名前は、葉の表面が粉をふいた様に見えることに由来する。シャンパーニュに使用の認められた3つの品種のうち、黒い果皮を持つ1つである。

また、以下の品種は、ピノ・ノワールと何らかの関係があると言われている。

ピノ・ノワールのクローン[編集]

ピノ・ノワールには、多数のクローン(その品種の中で、特に際立った性質を持つ一族)が存在するが、中でもとくに著名なものを下に挙げる。

  • ピノ・ファンPinot Fin) 果粒が小さく果皮が厚いために、より特徴の際立ったワインを造ることができるとされるが、樹(幹)が真っ直ぐに育たず収量が低い。
  • ピノ・ブーロPinot Beurot
  • ピノ・リエボーPinot Liébault

関連項目[編集]

外部リンク[編集]