ピアノ五重奏曲 (シューマン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ピアノ五重奏曲(ピアノごじゅうそうきょく)変ホ長調作品44(独:Klavierquintett Es-Dur op.44)は、ロベルト・シューマンの代表的な室内楽作品である。多くのピアノ五重奏曲と同じように、ピアノ弦楽四重奏(2本のヴァイオリンヴィオラチェロ)のために書かれている。

背景[編集]

この作品は、『室内楽の年』として知られる1842年の9月から10月にかけてのわずか数週間のうちに作曲された。妻のクララ・シューマンに献呈している。ごく初期のピアノ四重奏曲を例外として、シューマンはそれまで室内楽作品を一曲も完成させていなかったが、突如としてこのジャンルに集中し、同年中に3曲の弦楽四重奏曲ピアノ四重奏曲を作曲している。

初演は翌1843年1月8日、ライプツィヒにて行われた。クララ・シューマンがピアノを担当した。日本初演は1907年12月14日、東京の奏楽堂にて。R.v.コイベル(ピアノ)、A.ユンケル、H.ハイドリッヒ(ヴァイオリン)、幸田延(ヴィオラ)、H.ヴェルクマイスター(チェロ)による。

形式[編集]

この作品は典型的な4楽章の組み合わせで書かれている。

  1. Allegro brillante 変ホ長調、2/2拍子、ソナタ形式。力強く輝かしい第1主題と柔らかく優雅な第2主題からなり、2つの主題がいわめて巧妙に扱われていく。
  2. In modo d'una marcia. Un poco largamente ハ短調、2/2拍子。葬送行進曲風の楽章である。
  3. Scherzo: Molto vivace 変ホ長調、6/8拍子。2つのトリオをもつ形で書いており、第1トリオの旋律は第1楽章の第2主題との関連がある。
  4. Allegro ma non troppo 変ホ長調、2/2拍子。自由なソナタ形式。結尾において、終楽章の主題と第1楽章の主題が見事な2重フーガで組み合わされている。

受容[編集]

シューマンの室内楽曲の中では演奏される機会は多く、人気も高い。

ちなみにリストはこの曲をシューマンの家で聴いているが、全く気に入らなかったらしく、「あまりにライプツィヒ的すぎる」と斬り捨てている。この発言をきっかけに、シューマンはリストに対して距離を置くようになる。

参考文献[編集]

  • Daverio, John. “'Beautiful and Abstruse Conversations': The Chamber Music of Schumann.” Nineteenth-Century Chamber Music. Ed. Stephen E. Hefling. New York: Schirmer, 1998: 208–41.
  • Nelson, J.C. ‘Progressive Tonality in the Finale of the Piano Quintet, op.44 of Robert Schumann’. Indiana Theory Review, xiii/1 (1992): 41–51.
  • Wollenberg, Susan. ‘Schumann's Piano Quintet in E flat: the Bach Legacy’, The Music Review, lii (1991): 299–305.
  • Westrup, J. ‘The Sketch for Schumann's Piano Quintet op.44’, Convivium musicorum: Festschrift Wolfgang Boetticher. Ed. H. Hüschen and D.-R. Moser. Berlin, 1974: 367–71.
  • Tovey, D.F. Essays in Musical Analysis: Chamber Music. London: Oxford, 1944: 149–54.

外部リンク[編集]