ピアノソナタ第18番 (ベートーヴェン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

ピアノソナタ第18番 変ホ長調 作品31-3は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン1802年に作曲したピアノソナタ。第16番第17番『テンペスト』とともに作品31として出版された。3曲中唯一4楽章制を採るが、緩徐楽章を置かず、全体的に軽い曲想が支配していることから「狩」と呼ばれることがある。変ホ長調吹奏楽編曲に適しており、「狩」の愛称は実際の狩猟に用いられる角笛(ホルン)の様子を模したものといえる。「運命の動機」が形を出した最初の作といえ、鳥の囀りを模したという推理には一定の妥当性がある。

[編集] 曲の構成

第1楽章 Allegro
ソナタ形式。第1主題はII7の第1展開形という和音に開始され、音響上の新たな試みがなされている他、楽節構造に新しいものがみられる。これは冒頭に斬新な和声を用いた交響曲第1番と同様である。第2主題は変ロ)長調のアルベルティ・バスの上に軽快に歌われる。展開部は第1主題に現れたリズム動機による。途中にいわゆる「運命の動機」が現れる。中期のベートーヴェンの試行錯誤の創作過程が看取できる。
第2楽章 Scherzo, Allegretto vivace
スケルツォであるが、ソナタ形式をとり、しかも2/4拍子である。終始軽快に進む。左手低音の変イ長調のスタッカートは弦楽器のピチカートを模しており、再現部では右手親指でスタッカートが斉唱される。
第3楽章 Menuetto, Moderato e grazioso
発想記号の通りの中庸優美なメヌエットである。落ち着いた主部と、飛び跳ねるようなトリオからなる。主部は変ホ長調の主題を低音が支える構図になっており、澄み切った管楽三重奏風となっている。トリオはやや重厚な高音低音の掛け合い。
第4楽章 Presto con fuoco
ソナタ形式。左手にタランテラを思わせる激しいリズムが提示され、それが全曲を支配している。終楽章にタランテラを設けるのは中期の定石である。

[編集] 備考

カミーユ・サン=サーンスは、第3楽章のトリオを基にして二台ピアノのための「ベートーヴェンの主題による変奏曲」作品35を1874年に作曲している。

ヴィルヘルム・バックハウス1969年の生涯最後のリサイタルでこのピアノソナタを演奏したが、第3楽章の途中で心臓発作を起こし、控室に戻った。医者にこれ以上弾くのは良くないといわれたがその忠告を退け、プログラムを変更して シューマンの『幻想小曲集』(作品12)から「夕べに」と「なぜに」、そしてシューベルト即興曲(作品142-2)を弾き、その後病院に搬送されたが一週間後に息を引き取った。


個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語