ピアノソナタ第17番 (ベートーヴェン)

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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲のピアノ・ソナタ第17番ニ短調作品31-2は、一般に『テンペスト』の名で知られ、ベートーヴェンのピアノソナタのなかでは比較的有名な部類に属する。特に第3楽章が有名であり単独で演奏される機会も多い。この第3楽章は、ごく短い動機が楽章全体を支配しているという点で、後の交響曲第5番にもつながる実験的な試みのひとつとして考えられている。また、3つの楽章のいずれもがソナタ形式で作曲されている点もこの作品のユニークな点として知られている。

『テンペスト』という通称は、弟子のアントン・シンドラーがこの曲とピアノ・ソナタ第23番の解釈について尋ねたとき、ベートーヴェンが「シェイクスピアの『テンペスト』を読め」と言ったとされることに由来している。

曲の構成[編集]

第1楽章 Largo-Allegro
ニ短調。ソナタ形式。ラルゴアレグロを主体としながらもテンポ表示は頻繁に変わる。全体は3つの部分からなる。再現部の前の朗詠調のレシタチーヴォ、刻々と変わる発想記号などは朗読劇を聞いているようで、中期作曲者の劇的な作風の典型である。終結も陰鬱な低音が静かに現れるだけである。演者が(幕が下り)静かに立ち去る様子を模写しているように映る。
第2楽章 Adagio
変ロ長調。展開部を欠くソナタ形式。第1楽章との間にも緊密な関連がある。
第3楽章 Allegretto
ニ短調。ソナタ形式。単純な音型を休みなく繰り返すが、単に激しい速さで演奏するものでないだけにAllegrettoの記号が不気味さを演出している。もとは馬車の走行から採譜したものといわれている。