ビゴス

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Bigos in Kraków (Rynek Główny).jpg

ビゴス(Bigos)は、ポーランドおよびリトアニアの代表的な煮込み料理

繊切りしたキャベツザワークラウト肉類豚肉ソーセージベーコン)や炒めたタマネギキノコ類といっしょに火にかけたり、おろしたりを繰り返しながら、2-3日間かけて煮こんだもの。ミシリフスキ(猟師風)、リテフスキ(リトアニア風)など、色々なレシピがある[1]

トマトを入れるものやプルーンを入れるものなど各家庭によりレシピが異なり、多くのバリエーションがある。それぞれの家庭のレシピは母から娘に受け継がれ、ポーランドの「おふくろの味」とも言える[1]。かつては軍隊の遠征で大鍋に入れられたビゴスが持ち運ばれ、貴族狩猟では夕暮れのビゴスが締めくくりの料理として食べられた[1]

伝統的なビゴスの作り方[編集]

材料[編集]

作り方[編集]

  1. 細かく刻んだ生キャベツとザワークラウト、細切れにしたキノコ類を、塩、コショウ、ローリエとともに柔らかくなるまで煮込む(だいたい2-3時間)。
  2. 薄切りにしたベーコンをフライパンで軽く焼き、出てきたベーコンの油で肉とソーセージを炒める。
  3. 煮たキャベツからでた水分で、鍋の水分が多くなりすぎたらある程度を取り除き、そこに炒めたベーコン、肉、ソーセージを炒めた油と一緒に鍋に入れる。これをできる限り長時間煮込む(長ければ長いほどよい)。いったん火からおろし、一晩寝かせてから再度煮なおすという工程を2-3回繰り返す。水分がかなり少なくなり、ゴテっとした感じになるまで十分に煮込めば完成。程よい酸味と燻製ベーコンの香りが効いているとよい。

材料としてキャラウェイマージョラム(マヨラナ)、乾燥または燻製のはたんきょう、赤ワイントマトピューレを足すこともある。

肉とキャベツを同量とするレシピもある。また生キャベツを用いずザワークラウトのみで作ることも可能だが、この場合は酸味が強くなってしまう。この酸味を抑えるためにはザワークラウトをいちど流水で洗うか、先に別の鍋で煮るかするとよい。

ビゴスは何度も火にかけたり下ろしたりしているうちに旨みが増していく。かつては冬であれば、火からおろして鍋を外に出しておくか雪の中に入れて冷していたが、現在では冷蔵庫で冷すことができる。またポーランドでは地下室で寝かせることもよく行われる。

伝統的には、ビゴスは酸味のある黒パンウォッカとともに食べられ、リースリングのような程よい酸味の白ワインもビゴスには合う。ビゴスは主菜というより、酒肴の方が近いのではと考える人もいる[2]

起源と名称[編集]

ビゴスはヴワディスワフ2世ヤギェウォによってリトアニアからポーランドにもたらされたとされる。彼は狩猟の際にこの料理をふるまったといわれている。

「ビゴス」はポーランド人の苗字としても使用されるが、「滑稽な姓、人の尊厳を傷つける姓」と見なされて改姓が認められた例もある[3]

また、なんとなく滑稽でかわいらしいことから、ペット)の名前としても人気がある。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 渡辺『ポーランドを知るための60章』、162頁
  2. ^ 沼野『中欧 ポーランド・チェコ スロヴァキア・ハンガリー』、300頁
  3. ^ 渡辺『ポーランドを知るための60章』、185頁

参考文献[編集]

  • 沼野充義監修『中欧 ポーランド・チェコ スロヴァキア・ハンガリー』(読んで旅する世界の歴史と文化, 新潮社, 1996年2月)
  • 渡辺克義編著『ポーランドを知るための60章』(エリア・スタディーズ, 明石書店, 2001年9月)

外部リンク[編集]