ビゲロー・エアロスペース

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ビゲロー・エアロスペース
Bigelow Aerospace
種類 Private company
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ネバダ州 ノースラスベガス
設立 1999年
業種 サービス業
事業内容 商業宇宙ステーションの開発・運営
代表者 ロバート・ビゲロー英語版(創業者 兼 社長)
従業員数 50人(2011年10月)[1]
外部リンク BigelowAerospace.com
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ビゲロー・エアロスペース: Bigelow Aerospace)は、膨張式の宇宙ステーションモジュールを手がけるアメリカ合衆国の宇宙ベンチャー企業である。ネバダ州ノースラスベガスに本社を持つ。1999年ホテル王のロバート・ビゲロー英語版により設立された。

膨張式の宇宙構造物は、打ち上げ時のロケットの直径にサイズが制限されることなく、また重量も軽減できる。軌道に上がり膨らんだモジュールは、宇宙飛行士に大きな空間を提供することができる。膨張式のモジュールはもともとアメリカ航空宇宙局 (NASA) の下でトランスハブ計画として提案・開発が行われていた。後に計画はキャンセルされたが、ビゲロー・エアロスペースはNASAと契約を結び、膨張式モジュールの重要な技術を商業化に向けて使用できるようになった。

モジュール[編集]

モジュールの内部(モックアップ

2006年7月12日と2007年6月28日にビゲローはそれぞれジェネシスIIIモジュールを打ち上げた。2008年半ばにはビゲローはギャラクシーモジュールを完成したが打ち上げ費用の高騰により打ち上げには至っていない[2]。新しいギャラクシーの技術は2006年と2007年のジェネシスの成功により実質的には部分的に実証された[3]。残されたモジュールは、北ラスベガスの施設で地上試験に用いられた。

ビゲローは2014年スペースX社のファルコン9による打ち上げを予約しているが、2011年現在まだ積載物は発表されていない。ファルコン9はサンダンサーまたはBA 330モジュールを打ち上げる能力を持つ。ビゲローは同様にロッキード・マーティンアトラスV-401ロケットの打ち上げに関して契約について交渉している。[4][5]

注記:打ち上げの日付は計画段階であり、更新される可能性がある。

モジュールタイプ モジュール名 体積 打ち上げ日時 打ち上げロケット ミッションの状態
ジェネシスパスファインダー
(Genesis Pathfinder)
ジェネシスI
(Genesis I)
11.5 m3 (410 cu ft)[6] 2006年7月12日 14:53 (UTC) ドニエプル 打ち上げ成功[7]
ジェネシスII
(Genesis II)
11.5 m3 (410 cu ft)[6] 2007年6月28日 15:02 (UTC) ドニエプル 打ち上げ成功[8]
ギャラクシー
(Galaxy)
ギャラクシー 16.7 m3 (590 cu ft) 中止 打ち上げキャンセル、地上で試験を実施[3]
サンダンサー
(Sundancer)
不明 180 m3 (6,357 cu ft) 中止 打ち上げキャンセル、直接BA 330を開発する計画に置き換えられた[9]
BA 330 不明 330 m3 (11,654 cu ft) 2016年[10] 不明 モックアップが作られた段階
BA 2100英語版 不明 2,100 m3 (74,161 cu ft) 不明 不明 計画

ジェネシス I[編集]

2006年7月12日にジェネシスIがロシアのオレンブルク州ヤースヌイ宇宙基地からドニエプルロケットで打ち上げられた。打ち上げはビゲローとISCコスモトラスによって行われた。打ち上げ時に地上側の困難にもかかわらず、予定した軌道へ投入され、与圧部を膨張させて太陽電池パネルを展開し、内部のシステムを起動した。[11] 予定された任務は5年間に渡るもので宇宙船の梱包、展開の手順やスペースデブリやたの宇宙の危険な状況に対する耐性の試験を含む性能を試験する大規模な観測が含まれる。ビゲロー社の企業弁護士のMike Goldは"私達のビゲロー・エアロスペースにおけるモットーは'早期に、頻繁に飛ばす事'です。ジェネシス1の結果に関係なく素早く次の打ち上げ計画を進めます。"と語った。[7]

BEAM[編集]

BEAMの実物大モックアップ

上記以外にも、ビゲロー社は国際宇宙ステーション (ISS) にBEAM (Bigelow Expandable Activity Module) というインフレータブル構造のモジュールを試験的にノード3に設置する予定[12]。このモジュールは全長が4m、直径が3.2mで、重さは1,360kg[13]。2013年1月16日、NASAはBEAMを2015年のファルコン9で打ち上げるドラゴン補給船による8回目のISS輸送ミッションで打ち上げ、2年間の試験運用を行うことを発表した。ISSのロボットアームでノード3後方の共通結合機構に結合させ、BEAM内に空気を満たして膨張させる。2年かけて空気のリーク量や構造の健全さ、放射線や温度変化などの宇宙環境による影響などのデータを取得し、従来型の金属モジュールとの比較ができるようにする。試験終了後は、ISSから分離して大気圏に再突入して処分する予定。この計画のために、NASAはビゲロー社に1,780万ドルの資金を提供する。[14]

ビゲロー商業用宇宙ステーション[編集]

スペース・コンプレックス・アルファの実物大モックアップ

ビゲロー・エアロスペースでは、いくつかのモジュールを組み合わせて民間による宇宙複合施設を建設することを計画している。この宇宙ステーションは、サンダンサーBA 330の二種類の膨張式モジュール、中央のドッキングノード英語版、推進装置、太陽電池アレイ、それに乗員用の宇宙船から構成される。コンポーネントの最初の打ち上げは2014年に計画されており、ステーションの一部は2015年の早いうちにも利用可能となるとしている。[15] ビゲローでは、9つのBA 330モジュールを設置した構成では、その居住空間は 100,000 cu ft (2,800 m3) にも達すると語っている[16]。2010年10月、ビゲローは2機のサンダンサーと1機のBA 330からなる最初の構成について、スペース・コンプレックス・アルファ (Space Complex Alpha) という名称で言及している[17]

また、4機のBA 330からなるより大型の構成を スペース・コンプレックス・ブラボー (Space Complex Bravo) としており、2016年の打ち上げを目指すとしている[18]

2010年10月、ビゲローは商業宇宙ステーションの施設の利用について、イギリスオランダオーストラリアシンガポール日本スウェーデン、の6つの国のクライアントと合意を結んだと発表した[16]。2011年2月時点ではさらに増え7カ国となっている[19]

より昔の、2005年当時の構想では、世界初の宇宙ホテルとしてCSSスカイウォーカー (CSS Skywalker, Commercial Space Station Skywalker) という宇宙ステーションが計画されていた[20]。スカイウォーカーは複数のノーチラス居住モジュール(後のBA 330)から構成されており、MDPM (Multi-Directional Propulsion Module) により、惑星間空間や月軌道への移動もできるとしていた[21]

2010年11月、ビゲローは市場の拡大が期待できるとして、将来的には10からそれ以上の宇宙ステーションを建設したいと述べた[22]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ Berger, Brian (2011年9月30日). “Bigelow Aerospace Downsizes Dramatically”. Space News. http://www.spacenews.com/venture_space/110930-bigelow-downsizes.html 2011年9月30日閲覧。 
  2. ^ Company sees future in space, Las Vegas Review-Journal英語版, 2008-08-15, accessed 2010-05-03
  3. ^ a b “Special Announcement From Robert T. Bigelow” (プレスリリース), Bigelow Aerospace, (2007年8月13日), http://www.bigelowaerospace.com/news/?Special_Announcement 2010年5月3日閲覧, "This dramatic rise in launch costs has forced us to rethink our strategy with Galaxy. Due to the fact that a high percentage of the systems Galaxy was meant to test can be effectively validated on a terrestrial basis, the technical value of launching the spacecraft - particularly after the successful launch of both Genesis I and II - is somewhat marginal. Therefore, we have decided to expedite our schedule yet again, and are now planning to move ahead directly with Bigelow Aerospace's first human habitable spacecraft, the Sundancer." 
  4. ^ “Bigelow Aerospace and Lockheed Martin Converging on Terms for Launch Services” (プレスリリース), Bigelow Aerospace, (2008年2月5日), http://www.bigelowaerospace.com/news 2008年3月9日閲覧。 
  5. ^ No major hurdles to upgrade Atlas V rockets for people, David Shiga, NewScientist.com, 2008-02-07, accessed 2010-03-01
  6. ^ a b David, Leonard (2007年3月26日). “Bigelow Aerospace Sets a Business Trajectory”. Space.com. http://www.space.com/spacenews/070326_bigelow_businessmonday.html 2011年2月11日閲覧。 
  7. ^ a b David, Leonard (2006年7月12日). “Bigelow Orbital Module Launched into Space”. Space.com. http://space.com/missionlaunches/060712_genesis-1_launch.html 2007年3月11日閲覧。 
  8. ^ Malik, Tariq; and Leonard David (2007年6月28日). “Bigelow's Second Orbital Module Launches Into Space”. Space.com. http://www.space.com/missionlaunches/070628_genesis2_update.html 2007年6月29日閲覧。 
  9. ^ Bigelow Aerospace Expediting BA 330 Development”. BigelowAerospace.com (2011年7月). 2011年7月13日閲覧。
  10. ^ Sierra Nevada Corp. To Build ISS Berthing Hardware for Bigelow Module”. SpaceNews (2013年6月12日). 2013年10月23日閲覧。
  11. ^ “Launch of Genesis I Pathfinder Ushers in a New Era of Commercial Space Development”. SpaceFellowship.com. (2006年7月15日). http://www.spacefellowship.com/News/?p=1616 2007年3月12日閲覧。 
  12. ^ “International Space Station Could Get Private Inflatable Room”. Space.com. (2011年1月26日). http://www.space.com/10686-nasa-bigelow-module-international-space-station.html 2011年12月5日閲覧。 
  13. ^ 風船みたいな宇宙居住棟開発へ…NASAが資金”. 読売新聞 (2013年1月17日). 2013年1月17日閲覧。
  14. ^ NASA to Test Bigelow Expandable Module on Space Station”. アメリカ航空宇宙局 (2013年1月16日). 2013年1月17日閲覧。
  15. ^ Bigelow Aerospace — Next-Generation Commercial Space Stations: Orbital Complex Construction, Bigelow Aerospace, accessed 2010-07-15
  16. ^ a b Bigelow Aerospace Shows Off Bigger, Badder Space Real Estate, Popular Mechanics英語版, 2010-10-28, accessed 2010-10-30
  17. ^ Bigelow still thinks big, The Space Review, 2010-11-01, accessed 2010-11-02.
  18. ^ Balloons in Space: A History, Space.com英語版, 2010-11-12, accessed 2010-11-14
  19. ^ “I-Team: Bigelow Aerospace Begins Big Expansion”. 8 News NOW. (2011年2月4日). http://www.8newsnow.com/story/13967660/i-team-bigelow-aerospace-begins-big-expansion 2-11-02-05閲覧. "Bigelow expects the plant to be open for business by this time next year. It means his lean workforce of 115 would expand by an additional 1,200 new positions -- engineers, technicians, and support staff. "The only purpose this addition has is for production. We have three spacecraft, three production lines and the assembly plant you would normally have," [Bigelow] said. ... "Seven countries have already signed on."" 
  20. ^ The Five-Billion-Star Hotel, 1 Mar 2005
  21. ^ "CSS Skywalker". Encyclopedia Astronautica
  22. ^ Space, Inc. moving closer to launch: Private companies put forth some lofty ideas for space travel . . . and they're closer to reality than you might think, Florida Today英語版, 2010-11-14, accessed 2010-12-05. "We hope to build a number of commercial space stations, not just one or two. We'd like to have 10 or 15 or 20. We think the markets are substantial, so that's exactly what we're trying to accomplish."

外部リンク[編集]