ヒヨコマメ

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ヒヨコマメ
Cicer arietinum HabitusFruits BotGardBln0906a.jpg
莢を付けたヒヨコマメ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: ヒヨコマメ属 Cicer
: ヒヨコマメ C. arietinum
学名
Cicer arietinum L.
和名
ヒヨコマメ
英名
Chickpea,
Garbanzo beans,
Bengal gram
ヒヨコマメ(生豆)
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価
エネルギー 1,525 kJ (364 kcal)
60.65 g
糖分 10.7 g
食物繊維 17.4 g
6.04 g
飽和脂肪酸 0.626 g
一価不飽和脂肪酸 1.358 g
多価不飽和脂肪酸 2.694 g
19.3 g
トリプトファン 0.185 g
トレオニン 0.716 g
イソロイシン 0.828 g
ロイシン 1.374 g
リシン 1.291 g
メチオニン 0.253 g
シスチン 0.259 g
フェニルアラニン 1.034 g
チロシン 0.479 g
バリン 0.809 g
アルギニン 1.819 g
ヒスチジン 0.531 g
アラニン 0.828 g
アスパラギン酸 2.27 g
グルタミン酸 3.375 g
グリシン 0.803 g
プロリン 0.797 g
セリン 0.973 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
3 μg
(0%)
40 μg
0 μg
チアミン(B1)
(41%)
0.477 mg
リボフラビン(B2)
(18%)
0.212 mg
ナイアシン(B3)
(10%)
1.541 mg
(32%)
1.588 mg
ビタミンB6
(41%)
0.535 mg
葉酸(B9)
(139%)
557 μg
ビタミンB12
(0%)
0 μg
コリン
(19%)
95.2 mg
ビタミンC
(5%)
4 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(5%)
0.82 mg
ビタミンK
(9%)
9 μg
ミネラル
カルシウム
(11%)
105 mg
鉄分
(48%)
6.24 mg
マグネシウム
(32%)
115 mg
マンガン
(105%)
2.204 mg
セレン
(12%)
8.2 μg
リン
(52%)
366 mg
カリウム
(19%)
875 mg
ナトリウム
塩分の可能性あり)
(2%)
24 mg
亜鉛
(36%)
3.43 mg
他の成分
水分 11.53 g

成分名「塩分」を「ナトリウム」に修正したことに伴い、各記事のナトリウム量を確認中ですが、当記事のナトリウム量は未確認です。(詳細

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

ヒヨコマメ(雛豆、学名:Cicer arietinum)は、マメ科ヒヨコマメ属の自殖作物である。

名称[編集]

ガルバンソ (スペイン語: Garbanzo) 、エジプト豆などの名でも知られる。

属名 Cicer は「ひよこ豆」を指すローマ時代からのラテン語。 種小名 arietinum は「雄羊のような」の意で、豆の形をヒツジの顔面に見立てたもの。

英名 Chickpea は「ひよこみたいな豆の形」による命名であると一般に認識されており、和名の由来ともなっているが、本来は古いフランス語から来た言葉であり、さらにさかのぼれば、この語の前半は属名と同じラテン語: cicer に由来している[1]。「ひよこ豆」の名は一種の民間語源の産物であると言えよう。

歴史[編集]

中東の「肥沃な三日月地帯」を中心に栽培された。歴史上、最古の記録としてヒヨコマメが登場するのは7500年前、トルコハジュラルにおいてである。紀元前4000年には地中海一帯に、紀元前2000年にはインドにまで伝播した。特に古代エジプトで栽培が盛んであった。古代ローマにおいてもあらゆる階級に食されるポピュラーな食物であったが、貧困層や農民の食べ物とみなされることもあった。インドではチャナーと呼ばれ、インドの食文化において古今重要な食物となっている。

形態[編集]

トルコ南東部が起源とされる。中東、北アフリカ、インドが主な栽培地。39の近縁野生種があるが、本種と交雑可能なものはC. reticulatumのみである。種子は球状であるが、吸水線付近が盛り上がっている。春から初夏にかけて、白や董色の花を咲かせ、その後毛の生えた芙をつける。芙の大きさは35mmまで達し、中に球状の種子を含む。種子は白、黒、茶色などの色を帯び、丸くふちを巻いた形をしている。その為雄牛の頭蓋骨を意味する学名を命名された。染色体数は2n=16で、ゲノムサイズは7.5×108bpである。

栽培種としてのヒヨコマメ[編集]

イスラエルのヒヨコマメ畑
左:ベンガル種、右:ヨーロッパ種

主として半乾燥地域で栽培されている。中南米では、スペイン人の植民後に栽培が始まった。

品種[編集]

インドでは、種皮色の違いにより2つに大別される。デーシー(ヒンディー語:देशी「田舎」「地元」の意)またはカーラー(काला、「褐色」)種はベンガル豆とも呼ばれ、表面は褐色でざらっとしており、インド亜大陸周辺およびエチオピアメキシコイランで主に栽培される。

カーブリー(ヒンディー語:काबुली)種は乳白色でデーシー種よりも大粒で表面がつるっとした品種で、南ヨーロッパおよび北アフリカ地中海沿岸諸国のほか、アフガニスタンパキスタンチリが生産地として知られる。インド亜大陸には18世紀ごろにアフガニスタンから持ち込まれたと考えられている。インドではまた、チャナー・ダール (: Chana daalヒンディー語: चना दाल) という小豆粒大の品種も栽培されている(種皮は褐色、発芽前の子葉は黄色)。

原産地はトルコ南部とみられており、栽培種の中でもデーシーの方がより野生種に近いとされる。またデーシーはカーブリーに比べて食物繊維が多くグリセミック指数が低いため、血糖値が高い人も利用しやすい。

デーシー種の表皮を取り除いて子葉を二つに割ったものを「チャナー・ダール」と呼び、インド料理ではダールなどに用いる。

一般的なものではないが、デーシー種よりも粒が大きく表皮がより黒っぽい品種がイタリアで栽培されている。

生産[編集]

インドが最大の産地で、パキスタントルコがこれに次いでいる。

10大産出国 (2008年)
国名 生産量 (トン) 脚注
インドの旗 インド 5,970,000
パキスタンの旗 パキスタン 842,000
トルコの旗 トルコ 523,000
オーストラリアの旗 オーストラリア 313,000
イランの旗 イラン 310,000 F
ミャンマーの旗 ミャンマー 225,000 F
カナダの旗 カナダ 215,000
エチオピアの旗 エチオピア 190,000 F
メキシコの旗 メキシコ 165,000 F
イラクの旗 イラク 85,000 F
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 75,000[2] (2012) C
 世界合計 9,000,000 A
無印:各国の公式数字、F:FAOによる推定、C:計算値、A:総計(推定値)

出典: Food And Agricultural Organization of United Nations: Economic And Social
Department: The Statistical Division
, faostat.fao.org

食材としてのヒヨコマメ[編集]

スペインラ・マンチャ地方のひよこ豆とシラタマソウの煮込み料理ポタへ・デ・ガルバンソス・イ・コジェハス(Potaje de garbanzos y collejas)
スペインのひよこ豆と鶏肉のコシード英語版
グアテマラのヒヨコマメのデザート

栄養[編集]

ヒヨコマメは亜鉛葉酸及びタンパク質の摂取源となる[3][4]。 また、脂質の含有量は少なくその多くは多価不飽和脂肪酸である。食品成分では繊維分の含有量がデーシー、チャナー(小粒種)は他の種皮の色が薄い品種に比べ多くなっている。

完熟したヒヨコマメをゆでたもの100グラムの食品成分[5]

  • 164kcal
  • 炭水化物27.42g
    • 糖分4.8g
    • 食物繊維7.6g
  • 脂質2.59g
    • 飽和脂肪酸0.269g
    • モノ不飽和脂肪酸0.583g
    • 多価不飽和脂肪酸1.156g
  • タンパク質8.86g

国際半乾燥熱帯作物研究所 (en) によるヒヨコマメ種子の平均値

  • タンパク質23%
  • 総炭水化物64%(デンプン47%、可溶性糖6%)
  • 脂質5%
  • 粗繊維6%
  • 灰分3%

ミネラル含有量が高いとする報告での数値では

  • リン340mg/100g
  • カルシウム190mg/100g
  • マグネシウム140mg/100g
  • 鉄7mg/100g
  • 亜鉛3mg/100g

タスマニア大学の最近の研究報告では、血液中のコレステロールを下げるはたらきがみられる[6]

料理[編集]

乾燥させた熟した種子(豆)を水でもどしてから茹でて食べることが多いが、若い豆は生でも食することができる。煮込み料理やスープ類の具材としても適しており、くせがないのでサラダなどにもあわせやすく、欧米ではサラダバーでもよく見られる。原産地では欠かせない食材である他、南ヨーロッパ、北アフリカ、ラテンアメリカなどでも一般的に見られるものである。

インド料理では、豆を煮込んだ料理「ダール」として食べることが多いが、未熟種子やスプラウトも生食、あるいは食材として利用される。製粉したひよこ豆の粉はヒンディー語ベサン (: Besanヒンディー語: बेसन) と呼ばれ、菜食主義者の貴重なタンパク質源となっている。ベサンからパンケーキやパスタを作ったり、パコーラー(野菜の揚げ物)の衣にすることもある。ブータンでもページーと呼ばれる天麩羅に似た野菜の料理の衣に使われる。

ミャンマーでは、ひよこ豆の粉から一種の豆腐を作る。フィリピンでは、甘く煮たひよこ豆をハロハロトッピングにする。

中東では、ゆでたひよこ豆をペーストにしてタヒーナ(胡麻のペースト)、レモン汁、ニンニクを加えたフムスや、ひよこ豆をハーブ香辛料と一緒にすりつぶして丸め、揚げたファラフェルが有名である。マグリブではしばしばクスクスの具の一つとされ、エジプトではコシャリの素材とする。イランでは炒ったひよこ豆をおやつとして食べる。アフガニスタンでは軽食として茹でたひよこ豆にミントソースを添えて食べる。

イタリアカンパニア州にはヒヨコマメとパスタを煮込んだランピ・エ・トゥオニ(lampi e tuoni)またはパスタ・エ・チェーチ(pasta e ceci)というパスタ料理がある[7]。前者は「稲妻」という意味で、ヒヨコマメの堅い食感とパスタの柔らかな食感の調和を表現したものである。

日本では20世紀末まで比較的なじみの薄い食材であったが、近年は水煮缶詰レトルト食品にした製品なども見られるようになった。乾燥豆の場合は数時間以上水に戻してから茹でて調理に用いる。

トリビア[編集]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Online Etymology Dictionary によれば、16世紀のフランス語形は chich-pease。 現代フランス語では pois chiche という(pois は「豆」の意)。 Le Trésor de la Langue Française informatisé によれば chiche の語形は13世紀から記録があり、ラテン語: cicer に直結する別形 cice が別語 chiche 「貧弱な、けちな」の影響で変形したものとされる。
  2. ^ Growers find big bucks in chickpeas | State of Agriculture | Tri-CityHerald.com
  3. ^ Vegsoc.org, "zinc", retrieved 31 January 2008
  4. ^ Vegsoc.org, "Protein", retrieved 31 January 2008
  5. ^ 訳注:National Nutrient Database、"chickpea"、2010年8月14日閲覧
  6. ^ Ncbi.nlm.nih.gov
  7. ^ Schwartz, Arthur. Naples at Table: Cooking in Campania. Harper Collins, New York, 1998.

参考文献[編集]

  • バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(編) 『世界の食用植物文化図鑑』 山本紀夫(訳)、柊風舎、194ページ。ISBN 978-4-903530-35-2

関連項目[編集]