ヒュメナイオス
ヒュメナイオス(古希: Ὑμέναιος, Hymenaios, 英語: Hymenaeus)とは、ギリシア神話における結婚の祝祭の神で、祝宴、賛美歌や祝婚歌などの歌を祝する。ヒュメーン (古希: Ὑμήν, Hymēn) とも。
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[編集] 概要
ヒュメナイオスはすべての結婚式に現れ、もし現れなければその結婚の悲劇性が証明されるだろうと考えられていた。そのため、ギリシアの人々はヒュメナイオスの名を声を出して呼びまわった。
ギリシア神話で彼は、すべての神とその子供たちのため、多数の結婚式の司会を務めた。結婚の祝宴をヒュメナイオスが取り仕切るということで、彼と結婚(hymen)という単語との関係が推測できる。しかし辞書編集者は、語源の類似性というよりは、発音の一致というべきだと主張する。
ヒュメーンは英語(hymen:ハイメン発音注意)で処女膜の意味を持っているが、この語源はギリシア語の膜からであり、ヒュメナイオスとの語源とは異なっている。
[編集] 表現
少なくともイタリア・ルネサンス以来、ヒュメナイオスは芸術上に於いて、頭に花環を付けて、片手に燃える松明を持ち、紫のベストを着た若者の姿で表現される。
[編集] 出典
ヒュメナイオスについて、ホメーロスは『イーリアス』の中のアキレウスの盾の鍛造の記述で次のように言及している。
- "With weddings and wedding feasts in one
- and under glowing torches they brought forth the brides
- from the women's chambers, marching through the streets
- while choir on choir the wedding song rose high
- and the young men came dancing, whirling round in rings
- and among them flutes and harps kept up their stirring call—
- women rushed to the doors and each stood moved with wonder."
さらにウェルギリウスも『アエネーイス』の中で、ウィリアム・シェイクスピアは『ハムレット』[1]、『テンペスト』、『空騒ぎ』[2]、『お気に召すまま』という4つの戯曲の中でヒュメナイオスのことを書いている。『お気に召すまま』の最後で、ヒュメナイオスは結婚するカップルたちを祝福する。
- "'Tis Hymen peoples every town;
- High wedlock then be honoured.
- Honour, high honour, and renown,
- To Hymen, god of every town!"
他にも、紀元前7世紀から紀元前6世紀の詩人サッポーの詩にもヒュメナイオスは登場する。
ヒュメナイオスはディオニューソス(酒宴)とアプロディーテー(愛)の子供とされるが、アポローンとムーサの一柱との子供であるとする伝承もある。
出自については、他にもさまざまな説があり、たとえば、ヘーシオドス作と言われる『名婦列伝』(en:Catalogue of Women) の現存する断片の1つには、マグネースが「とても美しい子ヒュメナイオスをもった。アポローンはその子を見て、好きになり、マグネースの家をなかなか去ろうとしなかった」[3]とある。この逸話は、アントニヌス・リベラリス (en:Antoninus Liberalis) も自分の著作で取り上げている[4]。一方で、スーダ辞典では、ヒュメナイオスのエラステース(年長の男性の愛人)はタミュリュス (en:Thamyris) としている。
アリストパネースの『平和』は、農夫のトリガエウス(Trygaeus)とコロスが結婚の歌を歌うところで幕を閉じる。その中で、「おお、ヒュメーン! おお、ヒュメナイオス!」[5]というフレーズが繰り返される[6]。
[編集] 後世の作品
後のロマンスでは、ヒュメナイオスは素晴らしい美貌の持ち主だが生まれは下層階級のアテーナイの若者として登場し、町の裕福な男の娘に恋をする。ヒュメナイオスは身分の違いから彼女に話しかけることも求愛することもできず、しかたなく彼女の後をつけ回す。
ヒュメナイオスは女性しか行くことを許されないエレウシースの秘儀への行列に女装して参加する。しかし一行は海賊の捕虜になる。ヒュメナイオスは女性たちを励まし一緒に計略を練る。そして、海賊たちを全員で殺害する。それからヒュメナイオスは、女性たちの誰かと結婚することを条件に女性たちをアテーナイに連れて帰り自由にする。ヒュメナイオスは約束を果たし結婚するが、その結婚式はアテーナイ市民がヒュメナイオスを賞賛する祭と重なってとても幸せなものとなった。
[編集] 脚注
[編集] 外部リンク
- William Smith, editor. A dictionary of Greek and Roman biography and mythology (11.57)
See Ovid in both Medea and Metamorphoses 12; Virgil's Aeneid 1 and following, and Catullus's poem 62.