ヒヤリ・ハット

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ヒヤリ・ハットとは、重大な災害事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の発見をいう。文字通り、「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」である。

概要[編集]

ヒヤリ・ハットは、結果として事故に至らなかったものであるので、見過ごされてしまうことが多い。すなわち「ああよかった」と、直ぐに忘れがちになってしまうものである。

しかし、重大な事故が発生した際には、その前に多くのヒヤリ・ハットが潜んでいる可能性があり、ヒヤリ・ハットの事例を集めることで重大な災害や事故を予防することができる。そこで、職場や作業現場などではあえて各個人が経験したヒヤリ・ハットの情報を公開し蓄積または共有することによって、重大な災害や事故の発生を未然に防止する活動が行われている。

このような活動は、ヒヤリ・ハット・キガカリ活動とも呼ばれる。ハインリッヒの法則は、「重大事故の陰に29倍の軽度事故と、300倍のニアミスが存在する」ということを示したもので、この活動の根拠となっている。

医療現場におけるヒヤリ・ハット[編集]

一件の重大なトラブル・災害の裏には、29件の軽微なミス、そして300件のヒヤリ・ハットがあるとされる。詳細は、ハインリッヒの法則を参照のこと。

医療におけるヒヤリ・ハット(英語ではMedical incidentと呼ばれる)は、医療的準則に従った医療行為が行われなかった(人的なエラーが発生した)が結果として被害(不利益)が生じなかった事例に使われる。看護学においても、普及した言葉である。また、厚生労働省が発表する「リスクマネージメントマニュアル作成指針」にも定義されている。また、近年医療事故が社会問題に発展する中、「ヒヤリ・ハット」をマスコミ等で「医療ミス」と表現する場合があるが、これは完全な誤用である。

ヒヤリ・ハットの典型例[編集]

  • ある医療行為が実際には実施されなかったけれども、仮に実施したら、患者に被害が発生したと予想される場合。
(例)間違った内服薬を患者に渡したが、患者がいつもの薬と違うことに気づき、実際には内服しなかった。
  • ある医療行為が実際に実施されたけれども、結果的に患者に被害は無かった場合。
(例)患者は間違った薬を渡されたため渡された内服薬をそのまま内服してしまったが、実際にはそれによって健康被害を起こさなかった。患者からのクレームもなかった。

ヒヤリ・ハット事例の活用[編集]

ニアミスが続くと医療事故にもつながる可能性があるため「ヒヤリ・ハット」の事例を記録し蓄積または共有することによって、医療事故の防止・医療安全に役立てられている。

参考文献[編集]

関連項目[編集]