ヒダントイン

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ヒダントイン
識別情報
CAS登録番号 461-72-3
PubChem 10006
ChemSpider 9612
日化辞番号 J2.588G
KEGG C05146
ChEBI
ChEMBL CHEMBL122334
特性
化学式 C3H4N2O2
モル質量 100.08 g mol−1
融点

220°C

への溶解度 39.7 g/L (100°C)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヒダントイン(Hydantoin)は複素環式化合物の一つ。構造上はグリコール酸尿素の環状縮合物に当たることからグリコリル尿素(Glycolylurea)とも呼ばれる。またイミダゾリジンの2位と4位の炭素原子がカルボニルになった「2,4-イミダゾリジンジオン」とも見られる。遊離のヒダントインは、天然には糖蜜に存在する[1]。ヒダントインは1861年、アドルフ・フォン・バイヤーによりアラントイン(Allantoin)の水素化Hydrogenation)によって得られ、これにより命名された。

合成法[編集]

アミノ酸シアン酸カリウムから(5-置換)ヒダントイン誘導体が得られる(ユーレクのヒダントイン合成:1873年ユーレクにより発見[2])。

ユーレクのヒダントイン合成

またシアノヒドリン炭酸アンモニウムから5,5-ジ置換ヒダントイン誘導体を得ることができる(ブヘラ・ベルクス反応ストレッカー合成の変法)[3][4][5]

利用[編集]

ヒダントインを加水分解するとグリシンが得られる。同様に5-置換ヒダントインの加水分解により各種アミノ酸が得られる。

誘導体[編集]

ヒダントイン骨格を持つ化合物には、生物由来のアラントインのほか、次のようなものがある[6]

参考文献[編集]

  1. ^ 『岩波理化学辞典』第5版
  2. ^ Urech, F. (1873). “XXI. Ueber Lacturaminsäure und Lactylharnstoff”. Ann. 165: 99. doi:10.1002/jlac.18731650110. 
  3. ^ E. C. Wagner and Manuel Baizer (1940). "5,5-DIMETHYLHYDANTOIN". Organic Syntheses (英語). 20: 42.; Collective Volume, vol. 3, p. 323
  4. ^ Bucherer, H. T.; Steiner, W. (1934). J. Prakt. Chem. 140: 291. 
  5. ^ Bergs, Ger. pat. 566,094 (1929) [C. A., 27, 1001 (1933)].
  6. ^ Elinor Ware (1950). “The Chemistry of the Hydantoins”. Chem. Rev. 46 (3): 403-470. doi:10.1021/cr60145a001.