ヒカゲシビレタケ

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ヒカゲシビレタケ
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
亜門 : 菌蕈亜門 Hymenomycotina
: 真正担子菌綱 Homobasidiomycetes
: ハラタケ目 Agaricales
: モエギタケ科 Strophariaceae
: シビレタケ属 Psilocybe
: ヒカゲシビレタケ P. argentipes
学名
Psilocybe argentipes
和名
ヒカゲシビレタケ

ヒカゲシビレタケは、ハラタケ目モエギタケ科シビレタケ属キノコである。

概説[編集]

本種は1977年に毒キノコ研究の第一人者、横山和正により新種記載された。本種の子実体は傘が直径1-5cm程度であり、茶褐色。粘性はない。幼菌時は釣鐘型で、生長するとが開く。夏から秋にかけて日陰の道端や林などに束生する。後述の通り催幻覚性の毒キノコである。日本では本州のみで分布が確認されており、特に温暖な地方に多い。 見た目には食菌のような色・形態であるため、間違って食べてしまう事故が多い。シロシビンを含む本属は傷つけると、その部分が暗いに変色するという特徴があるので、誤食を防ぐ目安にするとよい。

なお、本種とごく近縁絵のオオシビレタケPsilocybe subaeruginascensは人家周辺に比較的普通に生えているキノコであり、ナラタケによく似ているために、大量に採取したナラタケの中に本種が混じったまま味噌汁に入れて一家が中毒した例が報告されるなど誤食が多い。しかし味は極めて不味いといわれている。

規制対象種[編集]

本種はシビレタケ属の中でも催幻覚性成分のシロシビンの含有率が非常に高い。いわゆるマジックマッシュルームの一種として知られており、麻薬及び向精神薬取締法で麻薬原料植物及び麻薬として規制され、採取・所持・販売が禁じられている。

なお2005年10月内閣総理大臣官邸玄関脇のシラカシの根元に4cmほどの本種が数本発生しているのが発見された。もちろん本来この国に自生しているキノコであるので、このような場所での発生が確認されること自体は何ら不自然なことではない。これを目にした当時の内閣総理大臣小泉純一郎が「食べられるのかね? 東京でキノコか、面白いね」と語ったことが報道で取り上げられた。

中毒症状と対処[編集]

摂取して30分~1時間ほど後に酔ったような興奮状態となって、吐き気を伴う不快感、めまい、幻聴、幻覚、麻痺、手足のしびれといった症状が出る。中毒状態は通常4~6時間程度持続するが、めまい等の症状がしばらく残る場合もある。中枢神経における伝達物質の一つであるセロトニンとシロシビンは分子構造が似ているため、セロトニン受容体に作用して以上のような症状を引き起こすと考えられている。シロシビンの毒性に痙攣や昏睡を引き起こすといった危険性は少ないが、しかしこの仲間のキノコを食べてショック死したというケースもあり[1]、また、精神錯乱による無謀行動や自傷行為を起こすこともあるため、興味本位の喫食は厳に慎むべきである。

誤食した際の特別な治療は必要ないが、多量に食べて重篤な中毒に陥った場合には鎮静剤を投与し、患者から目を離さないことが大切である。

脚注[編集]

  1. ^ 出典:小宮山勝司著「きのこ」244頁(2000年永岡書店