パール・ハーバー (映画)

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パール・ハーバー
Pearl Harbor
監督 マイケル・ベイ
製作総指揮 マイク・ステンソン
バリー・ウォルドマン
ランダル・ウォレス
チャド・オーマン
ブルース・ヘンドリックス
製作 ジェリー・ブラッカイマー
マイケル・ベイ
脚本 ランダル・ウォレス
出演者 ベン・アフレック
ジョシュ・ハートネット
ケイト・ベッキンセイル
音楽 ハンス・ジマー
主題歌 「永遠に愛されて」フェイス・ヒル
撮影 ジョン・シュワルツマン
編集 クリス・レベンゾン
スティーヴン・ローゼンブラム
マーク・ゴールドブラット
配給 ブエナビスタインターナショナル
公開 アメリカ合衆国の旗 2001年5月25日
カナダの旗 2001年5月25日
イギリスの旗 2001年6月1日
ドイツの旗 2001年6月6日
香港の旗 2001年6月21日
日本の旗 2001年7月14日
上映時間 183分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
allcinema
キネマ旬報
IMDb
  

パール・ハーバー』(Pearl Harbor)は、2001年5月より公開された第二次世界大戦(特に真珠湾攻撃)を題材としたアメリカ戦争映画である。日本では同年7月から公開された。『アルマゲドン』や『ザ・ロック』といったヒット映画を生み出してきたジェリー・ブラッカイマーマイケル・ベイによる制作で、監督はベイが務めた。総制作費1億3225万ドル

第二次世界大戦開戦前後から日本軍による真珠湾攻撃を経てアメリカ初の日本本土に対する攻撃ドーリットル空襲に至るまでの時代背景をモチーフとし、アメリカ陸軍航空隊に所属する主人公達の恋愛と闘いを描いた作品。

戦闘シーンにはSFXとして当時最先端のCGが多用され、迫力のある音響演出と相まってそのリアルさが話題になった。その一方で近年の戦争映画としては設定・考証面で史実を無視あるいは大幅に脚色した演出が多くなされており、特に滑稽とも言える日本軍の描写が物議を呼んだ。2001年のアカデミー賞では音響効果賞を受賞した。一方、同年のゴールデンラズベリー賞(最低映画賞)にもノミネートされたが受賞はしなかった。

約2分の映像を付け加えたディレクターズ・カット版もリリースされている。


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] ストーリー

アメリカ陸軍航空隊の戦闘機パイロット、レイフとダニーは深い絆で結ばれた親友同士であった。幼い頃から兄弟同然に育ち、いつも一緒だった。やがてレイフは美しい看護婦のイヴリンと出会い、恋に落ちる。 しかし、レイフは理想と義憤を抱いてヨーロッパ戦線に参加し、イギリスのイーグル飛行中隊の一員としてドイツ空軍と激しい戦闘を繰り広げる。

その頃、ダニーとイヴリンはハワイパール・ハーバーに転属となる。だがその直後、二人に届けられたのはレイフの戦死の知らせだった。悲しみに沈むダニーとイヴリンはお互いを慰めあううちにやがて深い関係になってしまう。実は生き延びていたレイフはイヴリンへの想いを励みに苦労の末にアメリカへと帰国するが、二人が恋仲になっていることを知って愕然とする。

イヴリンを巡って対立するレイフとダニーであったが、そんな1941年12月7日の朝、真珠湾攻撃のためにハワイ北西沖へと到着した大日本帝国海軍空母機動部隊の攻撃隊が平穏なパール・ハーバーを目指して飛び立っていたのだった…

[編集] スタッフ

[編集] キャスト(括弧内はDVD版とTV版の吹き替え声優)

[編集] 評価

日本での配給においては戦争映画として売り出される一方で『タイタニック』(1997年)や『スターリングラード』(2001年)のような歴史的悲劇の中の恋愛映画として大々的に宣伝が行われ、興行的には大ヒットすることとなった。また、リアリティと迫力に溢れた映像および音響演出は話題となり、その年のアカデミー賞では音響効果賞を受賞している。

しかし、誤解や偏見に基づくとみられる多くの奇妙な日本描写が少なからぬ失笑・批判を招き、それを悪意によるものと捉えた観客からは顰蹙を買うこととなった[1]。本作の偏見的な描写はアメリカ国内でも注目され、アメリカの有名な映画評論家であるロジャー・エバートは「この作品は真珠湾攻撃を知らないか、第二次世界大戦さえも知らない観客を対象に作ったのだろう」と批評した。また、トレイ・パーカーらによるブラック人形劇コメディ映画『チーム・アメリカ』(2004年)は、挿入歌に本作への痛烈な批判ネタを織り込んでいる。

試写会が大々的に真珠湾内で行われ、会場となったのは空母『ジョン・C・ステニス (空母)』艦上だったが、 日本と日系の報道機関はシャットアウトして行われた[2]。また試写会の為だけに同空母をサンディエゴからもって来ることに一部から批判も出た。

[編集] 史実と異なるとして批判された点

奇妙な日本描写の代表例
  • 劇中において、東條英機、山本五十六ら軍部の重鎮達による真珠湾攻撃の是非を問う作戦会議が野原に置かれた卓で行われている。しかも子供がその近くで遊んでいたり、「軍機密」と大書きした看板が掲げられている。現実には家屋の用意できない最前線でもなければ屋外で会議が行われることなどあり得ず、真珠湾攻撃のような重要な決定は最終的に御前会議の場で承認された。また、近くに設置された鳥居には旭日旗が上からぶら下げられているが、日本では過去も現在も国旗をそのように掲げる習慣はない。
  • 不自然に鳥居の置かれた屋外の小さなプールで、艦船模型を用いて模擬演習か作戦会議のようなものが行われているシーンがあるが、実際に何の様子を描いているのかは不明である[3]。しかもプールの周りの風景が日本とは思えないような南国で、ロケーションの違和感も拭えない。
  • 日本軍の艦船内で照明として異常な数の蝋燭が燃やされているシーンがある。通常、艦船には電灯が完備されており、本作品に描かれていたような蝋燭の配置は火災の原因ともなりうるので、電力系統に障害が起こった場合でもなければ蝋燭の使用は考えられない。
  • 山本五十六が真珠湾攻撃成功後に空母甲板上(具体な艦船名は不明)で「眠れる獅子(=アメリカ)を起こしてしまった」と発言するシーンがあるが、山本は真珠湾攻撃当時、広島県沖の連合艦隊旗艦長門戦艦)にいたはずであり、シチュエーションとロケーションの不自然さが否めない[4]
真珠湾攻撃のシーンについて
  • 日本軍が真珠湾において爆弾や機銃掃射で民間病院や民間人を攻撃しているシーンがあるが、これを過剰演出として批判する意見がある。ただし、史実によると日本側の諜報活動のミスにより民間施設が軍事施設として誤って攻撃対象になっていた場合もあるようで、実際にそれによる死傷者も出ている[5]
  • 劇中で登場する零戦の実写シーンにはプレーンズ・オブ・フェイムen:Planes of Fame)で動態保存されている五二型の実機と、ロシアで復元された二二型の飛行可能なレプリカを使用しているが、実際に真珠湾攻撃に参加したのは二一型である。これは制作当時に飛行可能な機体が限られていた[6]ので仕方がないことだが、緑色の機体色(史実では戦争中期以降使用)や五二型の推力式単排気管が展示・保存時のままで改修やCGでの補正がなされておらず、こだわりが足りないと批判されることがある[7]
  • 劇中で登場する攻撃を受けるアメリカ海軍艦艇にスプルーアンス級駆逐艦が写っている。真珠湾内で保管(モスボール)状態で係留されていた数隻の同級駆逐艦を撮影に使われたが、どう考えても真珠湾攻撃時には存在しないアメリカ海軍艦艇であり、実際に存在するのは真珠湾攻撃から30年後の1975年に同級1番艦が就航した。また空戦シーンに湾内に保管状態にある別の艦も写りこんでいる。
  • 真珠湾攻撃シーンのハイライトとも言えるレイフとダニーの駆るP-40と零戦の対決では、10機前後の零戦がたった2機の、しかも運動性に劣るP-40にやられてしまうが、これもよく物議の対象となった。史実での日本側の記録においては零戦隊の損害は9機のみで、その内訳は空戦による被撃墜だけではない。 ただしその一方で、ジョージ・ウェルク(George Welch)とケニス・テイラー(Kenneth M. Taylor)という2人のパイロットが真珠湾攻撃の際に2機のP-40で多数の零戦に対して戦いを挑み、その内6〜10機を落としたという証言(テイラー機が被弾し、片方の主翼半分を吹き飛ばされるも無事生還したという)もあり、一概に過剰な脚色とは言いきれない[5][8]
ドーリットル空襲のシーンについて
  • ドーリットルの作戦に戦闘機パイロットであるレイフとダニーが参加するが、実際は戦闘機パイロットにそのような資格はなく、爆撃機専門のパイロットが作戦を遂行した。また、日本軍の対空砲火により乗員が負傷・死亡するシーンがあるが、史実の作戦で犠牲となったのは不時着時に死亡した3名と日本側の捕虜として処刑された3名、および捕虜として餓死した1名である。なお、史実では空襲に来たB-25の機銃掃射で何人かの小学生が狙われ、その内1人が銃弾を受け死亡するという事件もあったが、劇中では軍事施設以外は攻撃しなかったと説明されている。ちなみに空襲シーンで爆撃を受ける工場に生産している兵器名を示す看板が立てられているが、軍事機密を考えれば具体的な兵器名を表示することはあり得ず、これも本作の考証の甘い日本描写の一つに数えられている。その空襲を受ける工場名に「笹原兵器工場」と看板があるがこちらも、軍事機密を考えれば表示することはありえない。
  • ドーリットル空襲の空母艦隊が日本海軍駆逐艦に発見され、交戦するシーンがあるが、実際は日本軍特設監視艇として徴用された、漁船第二十三日東丸に発見された。


史実再現に努力が見られる点
  • 日本海軍攻撃隊発艦シーンにおいて、『トラ・トラ・トラ!』に続き、再度退役米空母レキシントンが日本空母役を務めている。『トラ〜』では通常通り艦前方から発艦しているため、戦中の艦には無い横にせり出したアングルドデッキがどうしても目立ってしまっていたが、本作ではレキシントンの前後を逆に見立てて後方から発艦させるという手法をとっている。これにより、アングルドデッキが目立たなくなるだけでなく、日本空母独特の左舷艦橋の再現にも成功している。ただし、発進するシーンの機体は実際に実機を発艦させたのではなく、CGの可能性がある。

[編集] 脚注・参考文献

  1. ^ このような感情に配慮したのかは不明だが、『日曜洋画劇場』(テレビ朝日系列)で2004年3月28日に本作が初めてテレビ放送された際には偏見的な日本描写がなされているシーンの一部はカットされていた。
  2. ^えひめ丸事件」の蒸し返しを恐れていたのではないかとも推測される。
  3. ^ これは戦時中に製作された日本映画『ハワイ・マレー沖海戦』(1942年)の特撮中の宣伝用スチル写真(特撮用プールに入り、攻撃を受ける米戦艦の模型を準備している)を見て、作戦会議の写真だと勘違いしたものと推測されている。
  4. ^ 実際の真珠湾攻撃の日本軍機動艦隊の司令官は南雲忠一
  5. ^ a b Gordon W.Prange 原著、千早正隆 翻訳 『トラトラトラ - 太平洋戦争はこうして始まった』 並木書房、2001年(新装版)、ISBN 978-4-89063-138-4
  6. ^ 当時、飛行可能な状態にレストアされた二一型のレプリカも存在していたが、故障等の事情で使用できなかったと言われる。
  7. ^ 対照的に、本作以前に日米共同で作られた『トラ・トラ・トラ!』(1970年)の制作時には飛行可能な実機が存在しなかったため、練習機T-6を改造してできる限り実物の零戦に近づけるような努力が行われていた。なお、本作のスタッフ内には史実に沿った塗色(明灰白色)とすべきという意見もあったが、マイケル・ベイ監督の「零戦のイメージは緑」という判断により、結果的に濃緑の旧日本海軍機色となったとも言われている。
  8. ^ 日本側記録では、飛行場強襲任務中に敵戦闘機に襲われた99艦爆の部隊があり、また零戦隊が米機撃墜のスコアも報告しているため、ウェルク(当時の日本表記ではウェルチ)とテイラーが撃ち落したのが劇中のようにすべて零戦とは限らない。また米軍戦闘機で離陸に成功したのはこの2機だけではなく、実際には数機が上がったようであるが、前述の2機以外は零戦隊に食われてしまったと思われる。ちなみにトラ・トラ・トラ!劇中では日米双方の記録を参考にして戦闘シーンを演出したと思われ、ウェルチとテイラーのコンビが99艦爆を数機撃墜し、駆けつけてきた多数の零戦隊とドッグファイトを繰り広げ、2機を返り討ちにして雲の中に逃走、無事生還している。

[編集] 関連項目

  • 戦争映画
  • 反日 - 本作品は反日映画として捉えられることもある。
真珠湾攻撃を扱った映画
映画のモチーフとなった出来事
この映画をモチーフとしたゲーム

[編集] 外部リンク