パワーアクティ

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パワーアクティ(POWER ACTY)は、株式会社コンパイルがかつて開発・販売していたグループウェア

概要[編集]

「ビジネスおもしろ化計画始動!」をキャッチフレーズに、ゲーム開発のノウハウをビジネスソフトに生かすというコンセプトを持つ。インターフェースのデザインにゲームのデザインを持ち込んだり、ヘルプに「ぷよぷよ」のキャラクターを登場させるなど、遊び心を取り入れたものになっていた。

しかし若年層をメインとした同社のユーザにグループウェアの需要は薄く、加えて一般的なビジネスソフトの購買層にはゲームメーカー製ソフトウェアが受け入れられず、失敗に終わった。

羽田空港のガレリアを借り切った販促イベント(1998年1月15日から1週間開催)や川島なお美中尾彬を起用したCMは話題にこそなったが売上には繋がらず、これらの宣伝費やソフトの開発費が、後に同社を経営悪化による和議申請に追い込んだ一因となった[1]

1998年3月の同社の和議申請とともに販売を縮小[1]。購入者向けのサポートは継続して行われていたが、2002年の同社の解散により打ち切りとなった。現在は入手困難。

本製品の他に、イントラネット構築や予約管理など、「POWER」を冠した多くのビジネスソフトが計画されていたとされる。

和議申請時、コンパイルの広報担当者は売れる気配があったとしつつも、「爆発的に売れるゲームとは異なり、ビジネスソフトは少しずつ売れていくものだという認識がなかった」と話していた[1]。 また、コンパイル代表取締役社長であった仁井谷正充は後に敗因として「ビジネスソフトを売るためのルートを作っていなかったこと」と「インターネットに対応していなかったこと」を挙げている[2]

機能[編集]

メッセージ
リアルタイムにメッセージを送信できる。○×や選択肢でも返答ができる。電子メールにメッセージを転送できる機能もあった。
アクティビティ
Todoリスト。
スケジューラ
グラフタイプの予定表。予定と実績をそれぞれ入力・表示できる。
ヘルプ
同社のゲームソフト「ぷよぷよ」に登場する、カーバンクル、ルルー、サタン[3]の他、オリジナルのキャラクター3名から選べる。

スケジューラとメッセージ機能は自社で行っていたゲームイベントで使用するために開発していた「イベントシステム」がベースとなっている。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 若名麻里 (1998年3月19日). “コンパイルが広島地裁に和議申請、今後はイベントを縮小しゲーム制作を柱に”. ASCII.jp. 2007年10月20日閲覧。
  2. ^ Inc, Aetas. “コンパイルという十字架,蟄居の気持ちから再起して「にょきにょき」へ。コンパイル○社長・仁井谷正充氏インタビュー”. www.4gamer.net. 2021年2月14日閲覧。
  3. ^ ビジネスソフトウェアということもあり、3名ともスーツを着用していた。また、発売時に配布されたパンフレットではこの3名のほかにすけとうだらも登場していたが、同様にスーツを着用していた。

参考文献[編集]

  • 『月刊コンパイルクラブ』第75号(1998年2月)、および第77号(1998年4月)、株式会社コンパイル

関連項目[編集]