川徳

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株式会社川徳
Kawatoku Co.,Ltd.
パルクアベニューカワトク(2022年11月)
川徳本店「パルクアベニューカワトク」
(2022年11月撮影)
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
020-8655
岩手県盛岡市中ノ橋通1-6-8[1]

岩手県盛岡市菜園1-10-1[2]
設立 2022年令和4年)12月27日

旧法人 - 1952年昭和27年)2月1日[2]
1866年慶応2年)創業[2]
業種 小売業
法人番号 1400001016103 ウィキデータを編集
事業内容 百貨店業[2]
代表者 代表取締役社長 荒道泰之
資本金 5,000万円
売上高 201億円
(2020年2月期)
純利益 ▲3億8900万円
(2022年02月28日時点)[3]
総資産 130億6300万円
(2022年02月28日時点)[3]
従業員数 333人
(2021年6月時点)
決算期 2月[2]
主要株主 川徳商事
関係する人物 川村徳松(創業者)、川村徳助、川村宗生
外部リンク www.kawatoku.com ウィキデータを編集
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株式会社川徳(かわとく、英称Kawatoku Co.,Ltd.)は、岩手県盛岡市に本社を置く百貨店である[2]日本百貨店協会加盟。

1866年慶応2年)創業[2]、創業150年を誇る老舗。盛岡市菜園の本店「パルクアベニューカワトク」は盛岡市街地唯一の日本百貨店協会加盟店である。

概要[編集]

「カワトクスーパーシャトル」2代目専用車両
パルクアベニューカワトク付近にて

本店「パルクアベニューカワトク」は売場面積25,673平方メートル2005年時点での売上高は236億7300万円で全国85位[4]

毎年11月に開催するセール「えびす講」は三陸地方など県内各地から客が殺到することで知られる。盛岡市内の道路整備が遅れていた時代には、来店客を乗せたバスや自家用車による「えびす講渋滞」が盛岡の晩秋の風物詩だった[5]

本店に隣接して別館「Cube-II」、盛岡市緑が丘には食品スーパー核店舗とする複合店舗「アネックスカワトク」を運営。百貨店事業の他、クレジットカード事業、旅行会社「カワトクトラベル」、チケット販売、レストラン等を経営する「グルトンカワトク」、セレクトショップ「葡萄屋」、県産品・クラフトセンター「かわとく壱番館」など多様な事業を展開している。

商品仕入れは伊勢丹系列の全日本デパートメントストアーズ開発機構に加盟している。2005年にはイーバンク銀行(現・楽天銀行)と提携、最近ではハウスカードである「パルクカード」からセゾンカードと提携し(提携先のクレディセゾンの前身は、かつて盛岡にも店舗があった緑屋である)「カワトクカード」に一新するなど、新しい試みも行われている。

かつてはアネックスカワトクと本店を結ぶカワトク会員専用の無料送迎バス「カワトクスーパーシャトル」がハイデッカータイプの専用塗装車で運行されていたが、2020年6月30日をもって廃止された[6]。車種は日野・セレガハイブリッドで(日によって一般車で運行の場合あり)、岩手県北自動車盛岡営業所に運行を委託していた。

お中元お歳暮の「KAWATOKU」の包装紙は盛岡市内はもとより岩手県内でも強固なブランドでありイメージは高いものの、近年は地盤である北東北地方の景気回復の遅れ、またお膝元である盛岡市郊外へのイオンモール盛岡(2003年8月)やイオンモール盛岡南(2006年9月)の出店もあり業績は伸び悩んでいる。県内各地にあったサテライトショップ「プラザカワトク」(宮古市水沢市大船渡市久慈市一関市)も徐々に閉鎖し2005年に全廃した。百貨店業態は本店のみで多店舗展開はしなかったため大きな打撃こそ受けてはいないが、旗艦店である本店の売上高回復が喫緊の課題となっている。

東日本大震災後、沿岸部へ外商窓口を兼ねた小型店舗で出店を再開。2012年に宮古市、2017年に大船渡市、前後して2015年には初の県外店舗として青森県八戸市にも進出している。

しかし、新型コロナウィルス禍において売上が減少し、メインバンクの岩手銀行を中心とした地元銀行と再建に向けた協議を進めていたが、2022年12月29日、川徳に対する債権を保有する地元銀行団(岩手銀行北日本銀行東北銀行)が、既存の川徳の現法人とは別の新しい法人(受け皿法人)を2023年春頃新設した上で、東京の中小企業支援ファンドであるルネッサンスキャピタルに川徳の債権を売却する方針であり、事実上再生ファンド主導の元で再建される[7][8]。これにより川徳の現法人は株式会社KWへ商号変更の上で清算され[9]、新法人の下で川徳の名称や店舗内で営業しているテナントや店舗、会員制の積み立てサービス「川徳友の会」、従業員の雇用等は引き続き維持すると表明した。新法人では引き続き現社長が経営の指揮を執り、外部の人材を登用して売り場をリニューアルする[10]

沿革[編集]

  • 1866年慶応2年) - 盛岡の鉈屋町で、木綿商を川村徳松が創業[5]
  • 1875年明治8年) - 肴町に進出。「徳田屋徳松」と称す。
  • 1885年(明治18年) - 「徳田屋」を改めて「川村徳助商店」とする。
  • 1898年(明治31年) - 「川村徳助商店」を改めて「川徳呉服店」とする。
  • 1919年大正8年) - 元旦から川徳呉服店の商号を用いる。
  • 1920年(大正9年) - 第1回えびす講開催。
  • 1937年昭和12年) - 百貨店法が施行され、百貨店の許可を得る。
  • 1938年(昭和13年) - 川徳呉服店を合名会社川徳とする[5]
  • 1952年(昭和27年)2月1日 - 株式会社川徳を創設[2]
  • 1954年(昭和29年) - 第1回川徳友の会発足。
  • 1956年(昭和31年) - 地下1階地上3階の鉄筋コンクリート店舗完成。
  • 1961年(昭和36年) - 第1次増築として4,5階を増築し、地上33mの展望台が完成。
  • 1966年(昭和41年) - 創業100年を迎える。
  • 1970年(昭和45年) - 本店増築(新館・地下1階、地上8階)完成。
  • 1980年(昭和55年)
    • 10月6日 - 明治8年(1875年)以来105年続いた、肴町(中ノ橋通)での営業を終える。肴町の店舗建物は青森市に本店を置く中三に譲渡。
    • 10月18日 - 菜園の元青果市場跡地に移転し「パルクアベニュー・カワトク」としてオープン。CI実施(旧来の「○に徳」から、現在の正方形で「K」をデザインしたロゴマークに変更)。
  • 1989年平成元年) - 郊外地の需要をにらみ、緑が丘に複合店舗「アネックスカワトク」を開設。ハウスカード「パルクカード」導入。
  • 1991年(平成3年) - 無料送迎バス「カワトクスーパーシャトル」運行開始。
  • 1995年(平成7年) - 本店隣接地に駐車場とリビングを中心とした複合店舗「Cube-II」(キューブツー)開店。
    • 9月 - 株式会社川徳ストア、株式会社アネックスカワトクを合併。
  • 2000年(平成12年) - 菜園移転20年を迎える。
  • 2006年(平成18年) - 創業140年。クレディセゾンと提携、ハウスカードを「カワトクカード」にリニューアル。
  • 2010年(平成22年) - 菜園移転30年を迎える。
  • 2012年(平成24年)
    • 3月8日 - 岩手県内初となるロフト(盛岡ロフト)が、6階にオープン。
    • 4月26日 - 宮古市にて「カワトク宮古」開店。
  • 2015年(平成27年)4月10日 - 八戸市にて「カワトク八戸」開店。
  • 2016年(平成28年) - 創業150年を迎える。
  • 2017年(平成29年)
  • 2020年令和2年)
    • 6月30日 - カワトクスーパーシャトル運行終了。
    • 8月10日 - カワトク八戸閉店[11]
  • 2021年(令和3年)1月17日 - かわとく壱番館内丸店閉店[12]
  • 2022年(令和4年)12月27日 - 経営不振により、川徳の事業を譲受する新会社として。再生ファンドが株式会社川徳(新社)を設立。新社の登記上の本店は盛岡市大沢川原の川徳別館に置く[13]
  • 2023年(令和5年)4月1日 - 株式会社川徳(以下新社)に株式会社川徳(旧社、同日付で株式会社KWへ商号変更)から経営権を移譲される。新社の登記上の本店を盛岡市菜園へ移転。同時にグループ企業3社を再編[9][13][14]
  • 2024年(令和6年)2月26日 - カワトク宮古閉店[15]

店舗[編集]

パルクアベニュー・カワトク[編集]

パルクアベニュー・カワトク
Parc Ave. KAWATOKU
店舗概要
所在地 020-8655
盛岡市菜園一丁目10番1号
座標 北緯39度42分2.5秒 東経141度8分48.8秒 / 北緯39.700694度 東経141.146889度 / 39.700694; 141.146889 (川徳)座標: 北緯39度42分2.5秒 東経141度8分48.8秒 / 北緯39.700694度 東経141.146889度 / 39.700694; 141.146889 (川徳)
開業日 1980年(昭和55年)10月18日
営業時間 10:00 - 19:00
最寄駅 盛岡駅
外部リンク https://www.kawatoku.com/
KAWATOKU
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パルクアベニュー・カワトクは、株式会社川徳が運営する百貨店で、本店にあたる。

前述の通り、元々肴町(中ノ橋通)にあった川徳を移転させる形で開業した。

主なテナント

別館「Cube-II」[編集]

パルクアベニュー・カワトクに隣接している商業施設。かつてはかわとく壱番館(かわとくいちばんかん)という県産品販売を行う店舗が出店していたが閉店し、現在はカフェなどが営業。

アネックスカワトク[編集]

アネックスカワトク
ANNEX KAWATOKU
アネックスカワトク
店舗概要
所在地 020-0117
盛岡市緑が丘四丁目1番50号
開業日 1989年(平成元年)
営業時間 10:00 - 19:00
最寄バス停 緑が丘三丁目停留所
外部リンク https://www.kawatoku.com/store/annex/
KAWATOKU
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アネックスカワトクは、株式会社川徳が運営するショッピングセンター1989年百貨店と、当時展開していたスーパーマーケット「川徳ストア」の運営ノウハウを生かし、盛岡市郊外に開店。百貨店と総合スーパー(GMS)の中間的な店舗。テナント棟・オフィスビルの「アスティ緑が丘」を併設している(運営主体は別)。

ユニクロが岩手県初出店テナントとして出店していた時期がある。同店がイオン盛岡南に移転後はやや精彩を欠いているが、川徳本店とたびたび連携セールを展開するなどの施策を打ち出すほか、当初より友の会会員向けに本店とのシャトルバスを運行するなど、近隣住民にとっては「ミニ川徳」として定着している。

テナント

家電量販店ヤマダデンキ(元々はベスト電器の岩手1号店)や、東北地方唯一のシェーキーズなどが営業している。

その他営業中の店舗[編集]

  • 葡萄屋 - セレクトショップ、テナントビル。川徳の近隣地で「ミュージアム」、「フロムハート」を営業。
  • パルクアウトレット - 近隣地で営業。ミセス向けのアパレル・雑貨品のアウトレット店

過去に存在した店舗[編集]

  • 川徳ストア - パルクアベニュー・カワトクの地下1階や、大通、松園、厨川、開店当初の等に店舗展開したスーパーマーケット。1995年に川徳に吸収合併。
  • カワトクヤングタウン - 中の橋通の商業ビル光フェアビル ジュネス内(3階・4階)に1969年~1972年頃まで出店。服飾、雑貨など販売。
  • カワトク キューブ ミニ - 盛岡駅駅ビルフェザン内に出店。食品、雑貨、服飾などを揃えるセレクトショップ形態として2017年4月にオープンしたが、売上不振から2018年5月での閉店を発表。わずか1年での撤退となった。
  • カワトク八戸
  • かわとく壱番館 - 県産品販売。Cube-IIに展開していた。
  • カワトク宮古、カワトク大船渡 - 小規模売店。外商窓口を兼ねていた。

主な関連会社[編集]

  • 川徳友の会 - 1973年(昭和45年)3月設立、持株比率60.0%、本社盛岡市、友の会事業[2]
  • 川徳食堂 - 1940年(昭和15年)10月設立、持株比率39.1%、本社盛岡市、食堂業[2]
  • かわとく壱番館 - 1971年(昭和46年)9月設立、持株比率75.0%、本社盛岡市、民芸・工芸品販売[2]
  • 葡萄屋 - 1984年(昭和59年)8月設立、持株比率100.0%、本社盛岡市、衣料品販売[2]

脚注[編集]

  1. ^ 日本商業年鑑 1972年版, 商業界, (1972), pp. 498 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 流通会社年鑑 1990年版, 日本経済新聞社, (1990-11-24), pp. 18-19 
  3. ^ a b 株式会社川徳 第7期決算公告
  4. ^ 2005年度百貨店調査、日本経済新聞社
  5. ^ a b c 【老舗あり】盛岡市・川徳/岩手の小売業を牽引 晩秋の名物「えびす講渋滞」『産経新聞』朝刊2018年10月21日(地方面)。
  6. ^ スーパーシャトルバス - 川徳
  7. ^ “[ https://news.tvi.jp/news117bar805jjl8gwr1xc.html  岩手県盛岡市 新型コロナで経営悪化...「川徳」の経営再建に向けて県内の地銀など新会社設立へ ]”. テレビ岩手 (2022年12月29日12:21配信). 2022年12月30日閲覧。
  8. ^ “[ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC200LU0Q2A221C2000000/  百貨店の川徳、銀行団が債権の売却方針 再生ファンドに]”. 日本経済新聞 (2022年12月28日2:00配信). 2022年12月30日閲覧。
  9. ^ a b 株式会社KW国税庁法人番号公表サイト
  10. ^ 盛岡の老舗デパート川徳 新会社設立で経営再建へ ”. NHK盛岡放送局 (2022年12月29日配信). 2022年12月30日閲覧。
  11. ^ 「カワトク八戸」が10日で閉店、売り上げ低迷が要因か - デーリー東北(2020年8月5日)2021年7月29日閲覧。
  12. ^ 惜しまれ 半世紀の歴史に幕 盛岡・かわとく壱番館内丸店閉店 - 岩手日報(2021年1月18日)2021年1月19日閲覧。
  13. ^ a b 株式会社川徳国税庁法人番号公表サイト
  14. ^ “[ https://www.iwate-np.co.jp/article/2023/4/1/138707  川徳、再出発 きょう新会社に移行、本館の売り場を刷新へ ]”. 岩手日報 (2023年4月1日配信). 2023年4月1日閲覧。
  15. ^ 「カワトク宮古」閉店のお知らせ”. 川徳 (2024年2月24日配信). 2024年3月29日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]